競馬場でのアルバイト その1

大学時代を福島県福島市で過ごしたわたくし。
いわゆる貧乏学生で遊びに行くなんてことはほとんどなかったがそのお金がない感じを楽しんでいた感じ。
幸い月1万5千円の寮に入ることができました。
寮に入れるかはいろいろ審査された上で決まるんですが、北海道という遠いところから来ているわたしにはだいぶ有利だったようで。
寮と言ってもご飯を作ってくれるわけではなくて共同台所、共同トイレ、共同風呂、そして個室でした。

何しろ私が福島県の大学に行ったのは近くに競馬場があるところという理由だった。
北海道大学、福島大学、新潟大学、北九州大学などなど候補を絞ったけど私の学力では北海道大学は厳しかった。
週末はいつも競馬場へ行っていました。それほど馬券を買うでもなく(ホントは買えませんし・・・)純粋に競馬を楽しんでいたのはいい思い出です。

寮の先輩で競馬場でアルバイトをしている方がいて、その人は北海道出身。大変かわいがっていただきまして、おまえも競馬場でアルバイトしないか?と誘われました。
私の競馬好きは異常でしたから天職だろ?ということで、さっそく開催中はすべてアルバイトに行くことになりました。

競馬場内にもいろいろ職はあったと思うんです。
開催中のアルバイトですから厩舎の監視をしている先輩もいましたし、売店にいる人、場内清掃・・・などなどいろいろです。
その中で私が最初にやった仕事は・・・


放馬止め


ええ。馬に蹴られることだってある危険なお仕事ですよ。
ゲートの後ろで輪乗りをして発走時間を待っているその後ろでオレンジ色の紐を持って立っている人。アレです。
テレビに映るのはそのゲートの後ろの人たちだけですけど、場内を広く見渡せば結構他にもいるんです。
スタートから50m地点、200m地点、スタートから対角の地点、それぞれに放馬止め係が待機しているのです。
放馬さえなければ次のレースまでに配置につく(当然徒歩だけどね)だけでOKという簡単な作業です。

スタート地点係は後ずさりしてくる馬にさえ気をつけていれば楽なんです。
馬がゲートに入り始めたら我々は少しずつ前へ出て馬を追い込んで行くようにします。
しかしお馬さんは狭いゲートが嫌いですからなかなか動かない馬がいますよね。
そうなると我々は発走委員に怒鳴られるのです。
「放馬止め!もっと前に出てこい!」
と。我々の心中は
(馬が下がって来てるんだから無理でしょうが)
ですけど、心やさしいジョッキーは小声で
「ごめんね~」
と言ってくれるのでした。

春や秋の福島はマイナージョッキーの宝庫。
しかし競馬好きの私にとっては「コバジュンイタ━━(゚∀゚)━━!!」とかおかしなテンションを継続させることができました。
スタンド前スタートのレースのジョッキー達は会話をしませんが、向こう正面スタート時のジョッキー達は結構楽しく会話をしています。
「息子いくつになった?」「もう小学生だよ」「早いなぁ~」
的なね。我々が「おはようございま~す」と言えば返してくれます。

3年間楽しくアルバイトができ、競馬を近くで、それも違った角度で見られたことはとてもいい経験でした。
スタート地点係の職員さんに気に入られたようで3年間ずっとスタート地点係。後輩に仕事を教えてあげるぐらいにまでなっていました。
そんな天職とも思えるアルバイトが4年目を迎えた時に1つの転機に出くわしました。
そう、それは大学生の最大のお勉強、就職活動というやつです。
春の開催でのアルバイトを就職活動のために辞退させていただきます、という旨を福島競馬場へ連絡。
強い人脈を作っておくということは素晴らしいことで、
「せっかく慣れているんだからもったいないよ。夏の開催の前に一回連絡ちょうだい。夏またアルバイト入ってよ。」
というありがたい言葉をいただきました。

夏開催までに地元での就職を決めて福島へ戻ってきました。
再び連絡を取ったら
「サニーくんは仕事できるから他のことやってもらおうかな。」
という微妙なお返事をいただきました。
放馬止めは馬を近くで見られて楽しかったけど・・・まぁ仕方ないか。また違った視点で競馬を楽しもう。
そう心に誓って夏開催を待つのでした。

そこであの事件が起こるのです。

~続く~


なお福島競馬場の電話番号は今も携帯電話のメモリに入っています。
来春の開催を目指している福島競馬場。震災でスタンドの屋根が崩れている映像は衝撃的だった。
数年前まであそこがホームだったのですから・・・

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