ヴィクトリアマイル(GI)2012:オールザットジャズの勢いは本物か?

 先週のNHKマイルCは...マイネルロブストに取っては涙雨が直前に降ってきました。今回の敗因はそれだけではなく、追い切りがいつもに比べると良くは見えなかったという点、途中で少し掛かって押し上げてしまった点、ちょっと意外なほどに負けたなという感じです。注目馬として取り上げながらの惨敗...申し訳ないです。少し評価を下げた方が良いかもしれませんね。道悪以外でも負けすぎな感じがします。ロビンフットと言い、どうもゼンノエルシド産駒は早枯れ感があるのかな...。

 

 さて、今週のGIはヴィクトリアマイル。古馬牝馬限定の府中マイル戦とあって、例年マイラーと前年のエリザベス女王杯好走馬とのせめぎ合いで、マイラーが優位に立っているレースです。しかし、今年は先週から時計が掛かっている馬場状態。当日の馬場状態次第では、必ずしも軽いスピード馬が優位に立てるとは限らないと思います。この辺りはしっかりと当日、前日の馬場把握をしておきたいところでしょう。

 

 その中で、マイラーでもなく、エリザベス好走馬ではない(出走はしたが)、4戦連続連対中、前走初重賞制覇のオールザットジャズがこのレースの注目馬として挙げられていると思います。この馬が東京マイルGIの舞台で戦えるのかどうか、検証してみたいと思います。父タニノギムレットと東京マイル適性込みで予想している人も多いと思いますが、果たしてどうでしょうか。

 

 まずは前走、福島牝馬Sを見てみます。直線好位から突き抜けた強い競馬。

福島芝1800m良

 

1:46.1 12.4 - 10.6 - 11.0 - 12.1 - 12.1 - 12.4 - 12.3 - 11.5 - 11.7

 

 スタートは五分、そこから前3頭が激しくやりあってペースが上がる中、中団で競馬。1~2角のコーナーワークでじわっと押し上げて、向こう正面でペースが下がってここで脚を使わずに好位まで押し上げる形。3角で上手くニシノステディーの後ろにつけて内目、ニシノが仕掛けていったので、この後ろを追走。4角でマイネイサベルに相手を絞って、その外に持ち出して直線。序盤で楽にマイネイサベルを交わすと、L1で差し馬勢に襲い掛かられるがセーフティリードを保っての完勝となった。

 

 Bコースとはいえ、それなりに外差し馬場に移行していた福島の馬場状態を考えると、頑張っている方ではあるが、展開面では恵まれていた。先行勢が激しく、中団が団子状態のまま1角に突入して、コーナーワークで楽に好位に取り付けたのと、前半飛ばした前を無視してマイペースで進めていたら、前が早い段階でペースを落としたので向こう正面には楽に良いポジションにつけられた。ラップは11.5-11.7と落としていないが、それでも後続が伸びてきていたことを考えると、外の差し馬が脚を余した計算。時計もそこそこ出やすい馬場で、全体は平均ペースでも逃げ先行した2頭以外はややスローだったと考えるのが良さそう。そう考えると、見た目ほどの良い印象はないかなという感じですかね。ただ、この馬はもともとあまり前目につけられる馬ではなかったので、枠と1角までの流れが幸いしたとはいえ、この位置につけられたこと、そしてそこからしっかり脚を使えたという点は評価したいと思います。

 

 続いて重馬場で馬群を割っての追込み光った中山牝馬Sを。

中山芝内1800m重

 

1:50.6 12.8 - 11.4 - 11.9 - 12.7 - 12.7 - 12.8 - 12.0 - 11.8 - 12.5

 

 スタートは出負け、そのまま最後方で進める。道中最内で少し手を動かしながらという感じ。向こう正面でペースが一気に落ちると馬群が凝縮してきて、脚を使わずに集団に取り付いて3角。3~4角でもロスなく内目を通って仕掛けずに、進路を探りながら直線。序盤でしっかりと伸びてくると、L1でグングン伸びて一気に2番手まで押し上げてきての2着。

 

 これも中だるみレースで脚を使わずにリードを縮めてこれたというのが大きかったと思います。3角で緩んで団子になって、外に外に各馬が行かざるを得ない状況になった中、内で進路が開くのを待った分、L1の爆発につながったと思います。逆に言えば、かなり展開面で恵まれたレースであると言えます。

 

 この2走を見る限りでは、少なくとも1800mの緩む競馬でスピード不足が解消されているなという印象が残りましたね。ただ、福島牝馬Sはこれでもこの馬なりにスピード勝負に対応できる競馬を見せてはいると思います。それでも、このパフォーマンスでは東京マイルでペースが上がったり、或いは緩んでも小足を問われるというような条件は決してプラスではないような気がしますね。

 

  飛鳥Sの内容も分析してみたいと思います。クリスチャン・デムーロ騎乗でタムロスカイ、タガノエルシコといったOP級を完封したレースです。

京都芝外1800m良

 

1:47.1 12.7 - 11.3 - 11.7 - 12.0 - 12.3 - 12.1 - 11.4 - 11.9 - 11.7

 

 スタートはやや出負け気味だが、テンがそこまで速いレースではなく、巻き返して中団にはつける。 3角で内目を突きながらポジションを上げていき、4角でスピードに乗ったまま4番手ぐらいで直線。序盤で開いた進路に突っ込もうとするが、少し狭くなって態勢を立て直す。L1で馬群を割るとしっかりと抜け出しての完勝となった。

 

 L3最速の厳しい流れで、ペースを上げてスピードに乗って直線でなだれ込む競馬。直線入りで若干ロスがありながらもそこから盛り返してきたし、この馬の持ち味はやはり末脚の持続力だと思われる。このレースは準OPではあったがレースレベルはなかなか高かったし、これ自体は評価できる。ただし、やはりここもペースが遅い。京都1800mは坂の地点でどうしても緩みがちなので、中だるみは仕方ないにせよ、マイルの競馬に対応できるかどうかという点では、これで不安が消せるというものではないだろう。

 

 ここでは距離的に参考外ではあるが、境港Sでは12.2 - 11.7 - 11.4 - 11.9の4F勝負で、ロードラテアートやアドマイヤラクティを沈めている。ハンデ戦で52kgだったとはいえ、掲示板の5頭がいずれも既に1000万下は勝ち上がっているようにレースレベル自体は高かった。その中で切れ味鋭い脚を見せているという点も評価に入れると、ますますマイルへの適性不安がより増して来る印象だ。序盤に脚を使わずにゆったりと運んだ方が、より末脚の鋭さを活かしてくるようなタイプであるような気がしてならない。実際エリザベス女王杯では平均ペースでなかなか押し上げるタイミングもなく、ポジションが上がらないままで終わってしまっていた。この辺を見ても、あまりスピードが問われない方が良いだろうという結論に至る。

 

 注目馬診断の結論としては、ヴィクトリアマイルの舞台では推せませんということになりました。この馬の底知れぬ魅力は認めるものの、やはりスピード不足を露呈させてしまっているという点で、マイルに替わることがプラスに働くとは考えにくいと判断しました。それでも、狙えるとするならば、飛鳥SではL3最速の厳しい競馬でしぶとく伸びてきています。このしぶとさを活かせて、かつ前半のスピード不足が帳消しになる展開が望ましいと考えます。枠としては緩んだところで徐々に押し上げて行ける外枠の方が、二の脚の段階でほぼ位置取りが決まってしまう内枠よりはマシだと思います。


能勢俊介元TMの予想

大西直宏元Jの予想

公式ツイッター(最新予想オッズ・出走予定馬)

カテゴリ