<前回の続き>
9月7日、札幌日経賞でビエンナーレに騎乗した三浦皇成は、
これまで好位差しの競馬を得意としてきた馬を一転して逃げさせた。
そして自ら絶妙なペースを作って後続を翻弄し、
老獪ともいえる逃げ切り勝ちを演じた。
今日のエリザベス女王杯のビエンナーレ騎乗は、
自らの力でもぎ取ったGⅠ制覇のチャンスといえる。
昨日は、間違いなく、今年一番競馬が盛り上がった日でしたね。
強い馬たちが、それぞれに力を出し切って、叩き合っての大接戦の、秋の天皇賞。
そして今日のJBCクラシックも素晴らしいレースでした。
ヴァーミリアン武豊とサクセスブロッケン横山典の叩き合い。
「いや~競馬ってほんっとにいいものですね!」
競馬ファンがつくづくそう感じた、
競馬の面白さを再認識できた、
良い連休になったと思います。
日本にもこれだけいい馬が揃っているんですよね、
捨てたもんじゃない、の意を強くしました。
またウオッカ・ダイワスカーレット・ディープスカイが出てくる
ジャパンカップ・有馬記念が早くも楽しみになってしまいませんでしたか?僕はなってしまいました。
そこで、非常に気が早いのですが、
有馬記念の想定メンバー表を作ってみたくなってしまいました。
すると、なんともワクワクな感じになったではありませんか......ゴクリっ
★はGⅠタイトル数
★★★★メイショウサムソン
★★★★ウオッカ
★★★ダイワスカーレット
★★カワカミプリンセス
★★ディープスカイ
★マツリダゴッホ
★オウケンブルースリ
★エイシンデピュティ
★トールポピー
★レジネッタ
★アサクサキングス
★ドリームジャーニー
ホクトスルタン
マイネルチャールズ
フローテーション
カンパニー
エアシェイディ
トーホウアラン
----------------------------以上、現実的なメンバー
----------------------------以下、希望的なメンバー
★★★★★★ヴァーミリアン
★スズカフェニックス
カジノドライヴ
「ダイワスカーレットを逃げ切らせていいのか?」問題の続きです。
前回は、
強い馬をいかに潰して勝つかという、勝負の厳しさについて、
2001年の産経大阪杯を例にあげて解説している部分を、
後藤浩輝騎手の著書(「意外に大変」)から引用させてもらいました。
ご存知のとおり、
後藤浩輝騎手は天皇賞(秋)には、エアシェイディで参戦します。
産経大阪杯のときと比べて少し違うのは、
アドマイヤボスとエアシェイディとでは、エアシェイディのほうが人気薄だということですね。
産経大阪杯のときほど、後藤自身が自分で潰しに行かなきゃいけないという義務感は持っていないかもしれません。
しかし、この著書は、
まるで今年2008年の天皇賞(秋)のことを暗示するかのように、
そのあとにこう続けています。
今週は、
「ダイワスカーレットに勝たれてしまっていいのでしょうか?」問題を2度にわたって取り上げてきました。
ではどうすればダイワスカーレットを負かすことができるのか。
今回はそこまで追究してみたいと思います。
そのヒントは
僕が「座右の書」のように思っている
後藤浩輝著「意外に大変」の中に書かれていました。
2001年産経大阪杯
あのテイエムオペラオーが4着に負けたレース。
「後藤がオペラオーを負けさせたレース」の解説で
彼は以下のように語っています。
(因みに、レースは、
単勝1.3倍のテイエムオペラオーが絶好の中団外めを追走し3コーナーを迎えます。
そこで、その直後につけていた後藤鞍上アドマイヤボスが外から被せるように競りかけるように交わしていき、テイエムオペラオーもそれに合わせて早めのスパート。
直線半ばまで2頭のマッチレースかのようなバトルが繰り広げられますが、
最後には2頭とも力尽き、
漁夫の利とばかり大外から大穴トーホウドリームとエアシャカールがすっ飛んできて、大波乱となったものです。)
長くなりますが、以下とても興味深いので引用させてもらいます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
向こう正面あたりで「これはまずいことになった」と察知した。
ペースや位置取りがテイエムオペラオーにもってこいになっていたのである。
完全にテイエムオペラオー中心のレースが出来上がりつつあったのだ。
こうなれば、もはや誰もオペラオーにはかなわない。
なにも起こらないまま3コーナーを回り、そのまま4コーナーを回ったらあとはオペラオーの独壇場になってしまう。
別にほかの騎手を責めるつもりはないけれども、「どうしてみんなは見て見ぬふりをしてるんだろう」と思った。
自分のレースをしようと努力しているのはわかる。自分の馬の力を出し切ろうとしているのはわかる。
しかし、みんなは重大なことを忘れている。
自分の馬の100%とテイエムオペラオーの100%はどちらが上なのか。言うまでもない。
テイエムオペラオーは現役のどの馬よりも力が上だからこそ、前の年に恐るべき成績を叩き出せたのだ。
だから、もしこのままテイエムオペラオーに100%の力を出し切られたら、自分の馬が負けるのは決まり切ったこと。
だとするなら、その状況をぶち破るべく、なにか策を講じるしかないではないか。
<中略>
レースに出ている以上、自分が勝ちに行くのは当然のことだ。
ましてやチャンスのある馬に乗っていてそれをしなかったら、そちらのほうが問題だろう。
そのうえ、相手はあのテイエムオペラオーなのだ。「どうぞ楽な競馬をしてください」という乗り方をしていたら、自分の勝つチャンスが消滅してしまう相手なのである。
競馬は単なる能力検定ではないのだし、セパレートコースでタイムを競うものでもない。逃げ馬がいて追い込み馬がいて駆け引きを繰り広げる"レース"なのだから、僕はそれがテイエムオペラオーであろうとだれであろうと、ライバルだと定めた馬に勝つために全力を尽くす。ラフプレーをするとか、強引な競馬で競り潰すということではない。
<中略>
そうやって真っ向からぶつかっていくことを、「正々堂々」というのではないだろうか。
<中略>
僕ら騎手は、やはり勝たなければなんにもならない。勝利だけが評価になる。最終的な評価は勝利をつかんでこそ得られる。少なくとも僕はそう思っている。
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明日に続く
北京オリンピックの代表選考がかかった今年の全日本選手権で
石井慧が優勝し、代表に決定したとき。
マスコミは一斉に彼を叩いた。
ある意味"汚い柔道"だったからである。
形は悪くても、がむしゃらにポイントを取りに行き、
きちんと駆け引きをして、逃げ切るような戦術。
これは日本伝統の一本を取りに行く"柔道"ではないと、叩いたものだ。
しかし、北京オリンピックの後で、
マスコミが手のひらを返したのは誰もが知るところ。
バタバタと敗れる男子柔道日本代表を救ったヒーローとして、
今度は石井慧を称えた。
彼は言い放つ。
「一本を狙う日本伝統の柔道なんて、今は世界では通用しない。
もう国際的な"JUDO"の時代が来ているんだ」と。
一方。
昨年3つのGⅠを勝ったダイワスカーレットだが、
評価は必ずしも高くなかった。
同じGⅠ3勝のアドマイヤムーンにダブルスコアをつけられて年度代表馬には選ばれなかった。
先行してすんなり押し切る勝ち方から、
ダイワスカーレットの勝つレースは何か面白みがない
という声もあって。
後方から強烈な末脚を繰り出す
ウオッカやベッラレイアのほうが多くのファンの心を掴んでいたように思う。
しかし、実績を残しているのは、圧倒的に
ダイワスカーレットの方だ。
10戦7勝。連対率100%。
ウオッカには3勝1敗。
ウオッカやディープスカイが綺麗でかっこいい差し切り勝ち=一本勝ちを狙っているのを尻目に、
とにかく勝つために、一番勝てる可能性が高い先行押切の競馬で、貪欲に勝ちに行く、
ある意味"汚い競馬"
それがダイワスカーレット。
1頭だけ、本当のガチンコ勝負をする馬である。
「その綺麗な勝ち方というのは本当に大事なものなのか?
そのままでいいのか?
それで勝てるものなら勝ってみろ」
"石井慧とダイワスカーレット"
この1人と1頭のヒールがそんな強いメッセージを発しているように感じる。
「強い馬が勝つのではなく、
勝った馬が強いのだ」
という格言を思い出す。
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