<前回の続き>
9月7日、札幌日経賞でビエンナーレに騎乗した三浦皇成は、
これまで好位差しの競馬を得意としてきた馬を一転して逃げさせた。
そして自ら絶妙なペースを作って後続を翻弄し、
老獪ともいえる逃げ切り勝ちを演じた。
今日のエリザベス女王杯のビエンナーレ騎乗は、
自らの力でもぎ取ったGⅠ制覇のチャンスといえる。
(三浦皇成騎手について詳しくない方のために、ごくごく簡単に説明すると。
三浦皇成とは、今年2008年にデビューした騎手で、破竹の勢いで勝利を重ね、
10月中に早くも武豊が持つ新人最多勝69勝を更新し、現在83勝。
最近の競馬界は、構造的に若手騎手に対しては厳しい環境にあり、
その中での大記録達成は極めて異例。
なぜかマスコミではさほど大きく取り上げられていないが、
日本競馬界に新たなスターが誕生したといって過言でない。)
競馬ブック11月9日号、16日号の2回にわたって、
島田明宏氏による、三浦皇成騎手・河野通文調教師のロングインタビューが掲載された。
この記事、
読んでいてぞくぞくした。
末恐ろしい若者が出てきた。
三浦皇成とはこれほどスケールの大きい人物だったのか。
そして、なんという強固な師弟関係。
ここまで弟子のことを考えてやる調教師がいるのか。
当然彼の記録の素晴らしさを知っているから、
すごいすごいとは思っていたが、
それでもなお、多くの驚きをもって読ませてもらった。
できれば、今からでも、競馬ブック16日号だけでも、
読んでみてほしい。
ここでも記事を紹介したいのだが、
全体的にすごいので、
全部引用するようになってしまっては著作権法に触れるので、
要約して箇条書きにでもしてみたいと思う。
昨日は、間違いなく、今年一番競馬が盛り上がった日でしたね。
強い馬たちが、それぞれに力を出し切って、叩き合っての大接戦の、秋の天皇賞。
そして今日のJBCクラシックも素晴らしいレースでした。
ヴァーミリアン武豊とサクセスブロッケン横山典の叩き合い。
「いや~競馬ってほんっとにいいものですね!」
競馬ファンがつくづくそう感じた、
競馬の面白さを再認識できた、
良い連休になったと思います。
日本にもこれだけいい馬が揃っているんですよね、
捨てたもんじゃない、の意を強くしました。
またウオッカ・ダイワスカーレット・ディープスカイが出てくる
ジャパンカップ・有馬記念が早くも楽しみになってしまいませんでしたか?僕はなってしまいました。
そこで、非常に気が早いのですが、
有馬記念の想定メンバー表を作ってみたくなってしまいました。
すると、なんともワクワクな感じになったではありませんか......ゴクリっ
★はGⅠタイトル数
★★★★メイショウサムソン
★★★★ウオッカ
★★★ダイワスカーレット
★★カワカミプリンセス
★★ディープスカイ
★マツリダゴッホ
★オウケンブルースリ
★エイシンデピュティ
★トールポピー
★レジネッタ
★アサクサキングス
★ドリームジャーニー
ホクトスルタン
マイネルチャールズ
フローテーション
カンパニー
エアシェイディ
トーホウアラン
----------------------------以上、現実的なメンバー
----------------------------以下、希望的なメンバー
★★★★★★ヴァーミリアン
★スズカフェニックス
カジノドライヴ
「ダイワスカーレットを逃げ切らせていいのか?」問題の続きです。
前回は、
強い馬をいかに潰して勝つかという、勝負の厳しさについて、
2001年の産経大阪杯を例にあげて解説している部分を、
後藤浩輝騎手の著書(「意外に大変」)から引用させてもらいました。
ご存知のとおり、
後藤浩輝騎手は天皇賞(秋)には、エアシェイディで参戦します。
産経大阪杯のときと比べて少し違うのは、
アドマイヤボスとエアシェイディとでは、エアシェイディのほうが人気薄だということですね。
産経大阪杯のときほど、後藤自身が自分で潰しに行かなきゃいけないという義務感は持っていないかもしれません。
しかし、この著書は、
まるで今年2008年の天皇賞(秋)のことを暗示するかのように、
そのあとにこう続けています。
今週は、
「ダイワスカーレットに勝たれてしまっていいのでしょうか?」問題を2度にわたって取り上げてきました。
ではどうすればダイワスカーレットを負かすことができるのか。
今回はそこまで追究してみたいと思います。
そのヒントは
僕が「座右の書」のように思っている
後藤浩輝著「意外に大変」の中に書かれていました。
2001年産経大阪杯
あのテイエムオペラオーが4着に負けたレース。
「後藤がオペラオーを負けさせたレース」の解説で
彼は以下のように語っています。
(因みに、レースは、
単勝1.3倍のテイエムオペラオーが絶好の中団外めを追走し3コーナーを迎えます。
そこで、その直後につけていた後藤鞍上アドマイヤボスが外から被せるように競りかけるように交わしていき、テイエムオペラオーもそれに合わせて早めのスパート。
直線半ばまで2頭のマッチレースかのようなバトルが繰り広げられますが、
最後には2頭とも力尽き、
漁夫の利とばかり大外から大穴トーホウドリームとエアシャカールがすっ飛んできて、大波乱となったものです。)
長くなりますが、以下とても興味深いので引用させてもらいます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
向こう正面あたりで「これはまずいことになった」と察知した。
ペースや位置取りがテイエムオペラオーにもってこいになっていたのである。
完全にテイエムオペラオー中心のレースが出来上がりつつあったのだ。
こうなれば、もはや誰もオペラオーにはかなわない。
なにも起こらないまま3コーナーを回り、そのまま4コーナーを回ったらあとはオペラオーの独壇場になってしまう。
別にほかの騎手を責めるつもりはないけれども、「どうしてみんなは見て見ぬふりをしてるんだろう」と思った。
自分のレースをしようと努力しているのはわかる。自分の馬の力を出し切ろうとしているのはわかる。
しかし、みんなは重大なことを忘れている。
自分の馬の100%とテイエムオペラオーの100%はどちらが上なのか。言うまでもない。
テイエムオペラオーは現役のどの馬よりも力が上だからこそ、前の年に恐るべき成績を叩き出せたのだ。
だから、もしこのままテイエムオペラオーに100%の力を出し切られたら、自分の馬が負けるのは決まり切ったこと。
だとするなら、その状況をぶち破るべく、なにか策を講じるしかないではないか。
<中略>
レースに出ている以上、自分が勝ちに行くのは当然のことだ。
ましてやチャンスのある馬に乗っていてそれをしなかったら、そちらのほうが問題だろう。
そのうえ、相手はあのテイエムオペラオーなのだ。「どうぞ楽な競馬をしてください」という乗り方をしていたら、自分の勝つチャンスが消滅してしまう相手なのである。
競馬は単なる能力検定ではないのだし、セパレートコースでタイムを競うものでもない。逃げ馬がいて追い込み馬がいて駆け引きを繰り広げる"レース"なのだから、僕はそれがテイエムオペラオーであろうとだれであろうと、ライバルだと定めた馬に勝つために全力を尽くす。ラフプレーをするとか、強引な競馬で競り潰すということではない。
<中略>
そうやって真っ向からぶつかっていくことを、「正々堂々」というのではないだろうか。
<中略>
僕ら騎手は、やはり勝たなければなんにもならない。勝利だけが評価になる。最終的な評価は勝利をつかんでこそ得られる。少なくとも僕はそう思っている。
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明日に続く
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