10期 予想歴15年
◎スリーボストン
13着/2人気
○セイクリムズン9着/5人
▲メイショウツチヤマ10着/15人
△シセイオウジ3着/8人
【予想】
展開はトシキャンディのテンの速さがここでは図抜けているが、アースサウンド陣営が何としてもハナにと言っている。これを素直に受け入れるとすれば、トシキャンディがペースを引き上げていくということになる。2列目とのスペースがそこそこ生まれることになるのだが、今回2~3列目争いも結構熾烈となり、内からスリーボストン、セイクリムズン、ケイアイテンジン、タンジブルアセット、タイセイシュバリエ、ティアップワイルドがここのせめぎ合いをすることになる。前とのスペースが大きくなるだけ内の馬が押し上げるスペースも生まれるわけで、前傾ラップは当たり前だが、内枠の馬が恵まれる可能性は高い。
◎スリーボストンは京都2走のパフォーマンスと芝スタートにも適性があるという点で評価。西陣Sでは京都1200ではかなり早い1:10.0の時計で逃げて圧勝。前走太秦Sでは番手から楽に突き抜けて違うパターンでも圧勝。どちらも2着以下を千切り捨てる内容。それと共に、京都にしては割と前傾ラップ気味の競馬で結果を出しているのも中山1200に対応するという点では歓迎できる材料。加えて前述のとおりの展開なら逃げ馬トシキャンディが番手とのスペースを作ってくれそうで、しっかりと内3番手を確保できそうというのはかなり大きな材料。摩耶Sでも芝スタートでスピードを見せているし、その時は距離が長かったのもあるが、中山1200mで番手の内ポケットなら、ここ2走の時計で考えれば当然ここでも好勝負以上になるだろう。
〇セイクリムズンは内枠を引けたのはラッキーだった。中山1200mで58kg、この相手だとどうしても出で苦労しそうだし、近走はでも微妙になっている。なので、雁行状態の外という悪条件を避けて、3列目の内を狙えそうな枠に入ったのはせめてもの救い。ポテンシャルが高い馬でJBCでもコーナーで加速に手間取って、直線で漸く伸びたもののタイセイレジェンドが出し抜いた形で終了。1200ならなおさら進路確保が重要になるが、今回はスリーボストンといういい目標がいるのも大きい。流れが速くなって、要所でしっかり進路さえあればこの路線では実力最上位なので。
▲メイショウツチヤマは更にこの2頭を進路にしながらインベタを確保できる可能性が高いという点で大きい。今回は2~3列目が割と横に広がって内のスペースが空くという想定なので、セイクリムズンの直後のポジションを確保できれば面白い。芝スタートだったり道悪の軽いダートならスタート後そこそこの位置には付けているし、5走前高瀬川Sでは12.2 - 12.0 - 11.7 - 12.4の最速地点で外から押し上げて、L1でもしっかり伸びているし、勝ち切った神無月Sでは12.1 - 12.1 - 12.2 - 12.8のラップでキングパーフェクトを捕えている。ポテンシャル型でトップスピードもそれなりのものは秘めている。ポジションが課題だが、これは前述の展開面でフォロー。嵌れば一発。
△シセイオウジは後方列から差してきそうな1頭。4走前安芸Sが秀逸で、1:22.5の好時計、テイクアベットが作る強烈な前傾ラップでばてずにぐんぐん伸びてきた凄い脚からも、確実にポテンシャルタイプ。ここ2走は東京1400で、2走前はスローでポジション負け、前走は道悪で前走は道悪で持ち味のタフさが活きず。中山1200は歓迎材料で、ペースが上がることで、ごった返す2~3列目を尻目に序盤ゆったり運んで3~4角で上手く押し上げて直線を向けば爆発するか。
シルクフォーチュンは中山1200だとポジションで苦労しそうで狙い辛かった。プロキオンSみたいにゴリゴリにペースが上がるとばてないんだけど、どうしてもポジションで届かない。どこかで押し上げるポイントが有るコースの方が良いと思うし、この人気で嵌らないと来ないという馬はちょっと狙い辛い。今回2~3列目団子になるし、全く展開面で後押しがないとも思わないけど、同じ買うなら人気控えめで外から自由なタイミングで動ける馬の方が良いかなということでシセイオウジ。
ティアップワイルドは2~3列目につけたい馬で、これが大外枠なのでちょっと苦しくなると思う。内に入れる余裕はなさそうだし、ハイペースでポジション取りに行って3~4角でも外を回されて直線となると流石に苦しい。今回は軽視したい。
【展望】
今年も残すところわずか。特にダートの中央路線はこれが最後を締めくくる重賞。毎年のことだが今年も大量の登録馬がいて、整理するのも一苦労。ただし、数だけではなく質もあってのもの。有力全馬が出てくれば、今年を締めくくるにふさわしいダート重賞となりそうだ。地方を荒らすスプリント路線の猛者を筆頭に、中山ダート1200完全連対馬、鋭い追い込み光る実力馬、プロキオンSで圧巻の逃げ切りを果たした新星たち。これに芝路線の馬まで登録多く、来年のダート短距離界を占う一戦だろう。阪神に負けない盛り上がりを期待したいところだ。
中心は1400のスペシャリスト、1200がどうかのセイクリムズン。JBC2着の実力馬だが、近走は交流重賞を総なめするかのごとき勢いで連勝を続けてきていた。ただし、東京盃では12.5 - 11.9 - 12.6のラップ推移で2列目の中、L2で少し置かれた形になっていた。L1では盛り返していたのでここで置かれたのは痛かった。ただ、ラブミーチャンには立ち回りでも完敗していて、ダートスタートでのポジショニングで見劣ったこともあるだろう。JBCスプリントでは11.3 - 12.3 - 13.5 - 12.8のラップ推移。消耗戦ではあったがtコーナーがきつく内から押し上げられずに直線手前で勝負あった状態。タイセイレジェンドがそこから加速していたし、L1で詰めてきてはいたが、ポジショニングの負けだろう。ここ2走の敗因は序盤にあるので、いずれもペースが上がりやすく完全なポテンシャル勝負になりやすい中山1200なら大きな問題にはならないだろうと思っている。実際一昨年のカペラSでは芝スタートで楽に先行できるスピードを見せているし、2~3列目の外からコーナーで抜群の手応えを見せていた。直線では思ったほど伸びずにいったんはティアップワイルドに交わされるものの、また差し返しての勝利。エノクやシルクフォーチュンは離していたし、中山1200適性もそれなりにはあるだろう。ベストは1400mのポテンシャル勝負であることは間違いなく、ポテンシャル勝負になりやすい中山なら問題ないとしても、気持ち短いのは確か。加えて今回は58kgを背負わされるのもある。ただそれでも、この馬自身はコーラルSで59kgを背負ってインペリアルマーチやナムラタイタンと言った強敵を撃破しているし、斤量が重くとも問題ないタイプ。今の出来なら安定して力を出し切れるとみるし、好勝負だろう。
相手筆頭には中山1200mのスペシャリスト、ティアップワイルドだ。2着2回はいずれもカペラSで、一昨年は前述のセイクリムズン相手に一旦は前に出たものの再び差し返されてしまった形。直線早い地点ではこちらの方が脚色が上だったし、セイクリムズン同様3着馬は引き離しているの勝ちに等しい内容だったと言える。また、昨年は雨で少し時計が早くなったが、当時の強敵であった快速ケイアイガーベラに1:09.1とスピードで押し切られる形。12.0 - 11.6 - 11.8このラップを逃げ馬に刻まれてはどうしようもなかった。3列目の内ポケットで距離はロスなく運んだが、4角で2列目が壁になり外に出してワンテンポ追い出しを待たされ、そこからはしっかりと伸びて何とかタイセイレジェンドを捕えた形。ただ、相手もそのタイセイレジェンドは今年のJBCスプリントの覇者だし、セイクリムズンも強敵。当然ケイアイガーベラはスピードタイプとしては重賞こそ2勝しかしていないが、ハイレベルの1400路線の中心を担ってきた、現役最強クラスの1頭だった。前走室町Sでは58kgを背負って内を通せたとはいえ強豪マルカベンチャーを退けての勝利。叩いて上昇し、得意の中山1200m。相手は強敵揃いだが、この舞台ならば全く引けを取らず、むしろ主役を張れる馬だ。内でも外でも対応できる万能の好位策は前走で健在。総合力の高さで狙うは悲願の重賞制覇だ。
3番手にはプロキオンSで新星誕生を強烈に印象付けさせたトシキャンディ。1:22.6という時計もさることながら、11.6 - 11.5 - 11.9 - 13.6と究極の消耗戦を作り出したテンのスピードは魅力的な武器の一つ。テイクアベットを抑えて主導権を握り、追走してきた先行馬を潰してしまった。強烈なポテンシャルと良質なスピードを金揃えた実力馬。この馬も中山1200ではそれなりの実績を持っているのだが、パフォーマンスだけで考えれば断然中京1400のコースで上がってきていて、芝スタートの1400消耗戦がベストの印象は当然否めない。なのでこのクラスの中山1200mで互角以上に戦えるかどうかは未知数と言った方が良いだろう。ただ、2走前に関してはダートスタートで自分の競馬に持ち込めなかったことが敗因なので度外視してかまわない。前走は強烈な上り坂が3角にある京都の芝1200mで33.2は暴走なのでこれも気にしなくていい。前走で芝スタートでのテンの速さを再確認できたし、これを活かしてハナを取りきるような競馬ならば当然巻き返しがあっても良い。ただ、想定が木幡になっているが、正直このクラスの短距離戦で有力な逃げ馬を任せるには少々信頼が足らないか。
4番手には追い込み一手も鋭い切れ味は秀逸、シルクフォーチュン。前走の武蔵野Sでは後方内からの競馬だったが、中弛みで抑え過ぎてブレーキをかけたし、その上で3角で最後方に下がる致命的なロスがあった。直線入りでもまだ仕掛けていなかったが12.9 - 12.4 - 11.5 - 11.9のラップ推移なので差せるわけがない。完全な騎乗ミスなので気にしなくていい。ただ、本質的には縦長になっての消耗戦よりも持ち味のトップスピードを活かしての競馬がベストなので、東京1400mのように割とトップスピードだけで面倒見れるコースの方が合っているのは確か。中山1200mとなるとカペラSの4着があるが後方から伸びてはいるものの、急追とはいかず。前もこのクラスになるとそれなりにポジションを取ってしぶとく粘ってしまうので、ペースが上がって縦長になりやすいこのコースでは物理的に差すのが難しくなる印象。これだけの末脚があるので、ペースさえ上がっていれば常に上位には顔を出してくるのは間違いないが、勝ち切るとなるとやはり勝負どころで加速をしていくのは大前提で、かつ通るところの距離ロスをできるだけ省く必要があるだろう。超消耗戦のプロキオンSでも最速で伸びてきてはいたように、ポテンシャルも備えているタイプ。後はどうしようもないポジショニングの無さをどこでカバーするかだ。勝ち負けを考えるなら内枠は必要だろう。外からでも好勝負できる馬ではあるが。
この4頭が少し抜けた存在かなとは思っているが、これに風穴を開けたいのが3歳馬のタイセイシュバリエ。前走はハイペースの東京1400mで番手から外を回して押し切るかなり強い競馬だった。11.8 - 12.0 - 12.3 - 13.0とかなり厳しいラップ推移。3~4角でも4頭の大外を回して先頭列で競馬していて、直線で抜け出し最後までしぶとく粘り通しての勝利は大いに評価できる。それと共に、やはりある程度スピードを活かした競馬が好ましいというイメージも持った。芝スタートでもしっかり先行できているし、中山1200なのでここまで前につけられるかどうかはともかく、3列目ぐらいでの競馬は十分可能だろう。ゴリゴリの前傾ラップになる中山1200mで流れにしっかり乗れれば好勝負できるだけの素質はある。ここは相手がかなり強豪ぞろいだが、今後を見据えてこれだけの馬を相手にどこまでやれるか。クロフネ産駒の中央ダート重賞初制覇の期待が掛かる1党だけに、ここで目途を立てたいところ。
京都1200mで連勝の勢いで殴り込みのスリーボストン。前走は平均ペース。好スタートから無理せず番手追走、外に行かせて内をひた走る。4角で内目、進路を作って先頭列に並びかけると序盤で一気に捕えて交わし去る競馬。そのまま最後まで脚色を鈍らせずに後続を寄せ付けずの圧勝。11.7 - 11.6 - 12.3のラップでのパフォーマンスで2走前に見せた圧倒的な逃げ切りだけではないという証明ができた形。2走前は言うまでもなく好スタートからハナを切ってそのまま11.4 - 11.7 - 12.4のラップで千切り捨てる圧勝。ここ2走を完璧な勝利で飾ってきているだけに、ここにきて評価が高いのも頷ける。ただし、この馬の場合は良績がダートスタートに偏っている点は注意したい。ここ2走共に抜群のスタートだったが、ゲートはよくとも二の脚はそこまで速くない。中山1200mの場合は二の脚の速さを確実に求められるという点で、ここは注意したい。それでも摩耶Sでは好スタートから楽に番手を取れているし、現状の出来を考えればここもクリアしてくる可能性は十分にあるだろう。ここ2走は京都1200の割に時計が早いし西陣SはOPの室町Sよりも走破時計が早い。後は中山でそれを維持できるかどうか。今の勢いなら軽視できない存在だろう。
好位策で結果を出してきたタンジブルアセットも圏内。ここ2走は京都。2走前室町Sでは番手を確保してロスを小さく競馬できたし、その分ポジションも落ちずに最後までしっかりと粘っての3着。3頭同着ではあったがその相手がファリダット、ワールドワイドだから評価できる。前走は11.7 - 11.6 - 12.3のラップ推移、3~4角で外目をまわすロスが大きく、スリーボストンが抜け出し差し馬がごった返す大混戦の3着争いだった着順こそ9着だが、これは目標になってしまったこともあるし、ペースが早い中でロスが大きかったことも寄与してそう。そのあたりである程度は考慮する余地は残されている。今回は中山1200m。芝スタートはもともと福島1150や中山1200で逃げている実績がある馬なので苦にはしないだろう。ただ、このメンツともなると、やはりポテンシャル面で少し足りないかなという面はある。圏内まで食い込むには、内枠でうまく捌いてポジションを下げないなど展開面でのプラスアルファは欲しいだろう。2列目は絶対に譲れないという姿勢は必須。
大穴候補ではメイショウツチヤマを抜擢。前走霜月Sでは12.2 - 12.2 - 11.5 - 11.5のラップ推移で好位勢が押し切る形の内容。序盤から手応えは微妙だったが、徐々にジリジリと加速しているような形。最後も食らいついての5着。ラップ推移がこれなので、ギアチェンジで見劣ったという印象を持った。2kg差はあったがトップスピードが高いマルカベンチャーと互角の脚だったので、そう考えると悪くない。もともとポジショニングが課題の馬で、ダートスタートはついていけないケースがほとんどだったが、前走は重馬場で軽ハンデ東京1400と条件が揃ったことも大きいかもしれない。また、これまでも神無月Sでは12.1 - 12.1 - 12.2 - 12.8のラップ推移でL1まとめて差し切ったり、中山1200mでは1000万下の不良馬場だが11.8 - 11.7 - 12.9のラップ推移で3列目から3~4角大外をぶん回しても最後まで一番いい脚だったりと、ポテンシャルに関しては非凡なものを見せていた。また、馬場が軽い状態、或いは芝スタートなら割と良いポジションにつけているし、条件を考えるとここは一発を秘めている馬だと言えそうだ。
最後にシセイオウジ。ここ数走は安定している。霜月Sでは12.2 - 12.2 - 11.5 - 11.5のラップ推移。外からスムーズに加速できていて、その差もあって直線入りではまずまずいい脚を使ったがL1で伸びあぐねた。これはメイショウツチヤマとは対照的な内容だったと言える。ペルセウスSも12.3 - 11.9 - 11.8 - 12.0で平均ペース気味。3~4角は内を立ち回ったし良いタイミングで大外に持ち出してしっかり加速できていた。その分、序盤は鋭い脚を使えていたが、それが長持ちせずL1では前と同じ脚色に、後続には詰められてという形になっていた。ポジショニングの悪さもあるが、ポテンシャル面での疑問も感じさせる内容。新潟1200mの北陸Sは12.4 - 12.3 - 12.3とラストを落とさない流れになっている。ここでコーナーでも大外を回して直線鋭く伸び、最後は強敵フィールドシャインを競り落とした。新潟にしてはL2が速くならず、比較的消耗戦の形になっていて、ここできっちり勝ち切ったのだから、1400mは少し長かったと考えれば面白い。トップスピードはオープン特別では上位のものを持っている。1200の新潟でも直線入りで追い上げている脚は強烈だったし、ポテンシャル面よりはどちらかというと一瞬の脚が武器なのは確かだろう。その点で中山1200mは条件的に良いとは思えないが、内をうまく立ち回ってトップスピードを使えるようなら面白い。ポジショニングが苦しくなるのは仕方ないので、後は道中いかにロスなく脚を使わず追い上げることができるかに尽きるだろう。
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