スプリンターズS2012予想
スプリンターズSの予想(長文注意)

雨龍泥舟
08期 予想歴43年

◎カレンチャン
  2着/1人気

○ロードカナロア1着/2人
▲サンカルロ6着/11人
△スプリングサンダー14着/10人


本命・対抗と人気通りの印となったがマジン、リトル、パドと揃っていてはハイペース必至だろう。相手には追い込みの穴馬を抜擢したい。

フィフスペトル、ドリームバレンチノ、サンカルロ、スプリングサンダーあたり。この中から1頭抜け出してこないか。

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カレンチャンの香港スプリント5着は、個人的には残念な気がしたが、山野さんによれば「よくやっている」ということらしい。それだけスプリント戦線での世界との差は大きいということだろう。
山野さんはその原因を、着差のつかない軽い(速い)馬場に求めている。日本の軽い馬場が、本来的には勝つ能力のない馬でも好走でき、展開のアヤやアクシデント等、実力馬に不利があれば勝つことも多い。これでは選別・淘汰のためのレースとしての意義は認めがたい。おおむねそういう考えのようだ。

一方、JRAはそのようには考えていないだろうし、専門家の中にも異なった考えがある。

たとえば、血統研究家の栗山求氏は、「サラブレッドの多様性は馬場の多様性から生まれる」という主張を繰り返し述べている。
一部だけを引用するのは誤解のもとにもなりかねないので、ひと塊の文章を紹介することにする。

「大前提として、高温多湿の気候、馬場の使用頻度の高さから、日本においてヨーロッパと同種の洋芝コースを作ることは不可能です。ただ、もし仮に、日本の競馬場がすべてヨーロッパと同じ仕様になったとしたらどうなるでしょう? おそらく、日本の血統はあっという間に Sadler's Wells やデインヒルに飲み込まれてしまうでしょう。最適化したものがそうでないものを駆逐するのは道理です。そして、わが国の競馬はその独自性を失い、ヨーロッパ競馬のエピゴーネンとして半永久的に川下の立場に立たされるでしょう。
世界各国の競馬にそれぞれ特色があり、さまざまな馬場で競馬が行われているからこそ、サラブレッドの多様性は維持されています。逆にいえば、サラブレッドの多様性を守るには、世界各国でさまざまなスタイルの競馬が行われる必要があります。
サラブレッドの発展の歴史を振り返ればそれは明らかです。スピードを第一義とするアメリカのダート競馬があればこそ、ヨーロッパには見られなかったハイレベルなスピード型遺伝子がサラブレッドに芽生えました。異なる環境で、それに適した血統が発展していくことはきわめて重要です。一芸に秀でたスペシャリストの血はそれほど得がたいものです。自国のサラブレッドが、他のどの国にも見られない優れた個性を獲得したなら、それは大きなアドバンテージです。欧米の後追いによって得られるものよりも重要だと思います。
速い時計が出やすく、瞬発力を活かしやすい日本の芝コースでは、サンデーサイレンス系が圧倒的な勢力を誇っています。この個性はアメリカともヨーロッパともオセアニアとも違います。日本血統が将来、その個性を評価される形で海外から求められていくとわたしは確信しています。高速馬場やそれに適応する日本馬の個性を、批判的な文脈でのみとらえる一部風潮にはやや違和感を覚えます。」

私自身は栗山氏とは別の見方をしている。
日本の競馬のレベルが近年急速に向上した。われわれはそのことに多少なりとも誇りを持つことができるが、しかし、その理由を日本の高速馬場での選別・淘汰の結果に求めることが妥当だろうか。
こういう言い方をするのは身も蓋もないこととは思うが、日本産馬のレベルが急速に向上したのは、ひとえにサンデーサイレンスという種牡馬が日本に来たからではないだろうか。
たしかにサンデーサイレンスは「速い時計が出やすく、瞬発力を活かしやすい日本の芝コース」に適合した。しかし、それ以外にも、多くの条件がサンデーサイレンスに味方したのである。たとえば、この国の最高レベルの繁殖牝馬がサンデーサイレンスのために用意されたこと(日本以外ではこれほど良質の牝馬が用意されることはあり得なかっただろう)。レース体系がサンデーサイレンスの最も得意とする距離にシフトされたこと等。そして何よりも明らかなことは、サンデーサイレンスの種牡馬としての能力が同時代の世界の種牡馬の中でも傑出していたこと。サンデーサイレンスの成功の理由は最終的には、ここに集約されるだろう。
そういう意味では、「もし仮に、日本の競馬場がすべてヨーロッパと同じ仕様になったとしたらどうなるでしょう? おそらく、日本の血統はあっという間に Sadler's Wells やデインヒルに飲み込まれてしまうでしょう。最適化したものがそうでないものを駆逐するのは道理です。そして、わが国の競馬はその独自性を失い、ヨーロッパ競馬のエピゴーネンとして半永久的に川下の立場に立たされるでしょう」という栗山氏の主張は、サンデーサイレンス以前には当てはまったとしても、以後においては同意できない。
仮に、日本の中央4場の芝が、もう少し、例えば香港やオーストラリア、あるいは札幌・函館程度に重ければ、今以上に欧州の競馬で成績をあげることができたのではないだろうか。

「日本血統が将来、その個性を評価される形で海外から求められていくとわたしは確信しています」と私も思うが、それは、高速馬場での選別・淘汰の結果ではなく、むしろ、冒頭で山野氏が指摘したように、逆の効果をもたらしていると考えたい。
最後に、スプリント戦において日本が世界との差を詰められなかった理由。それはサンデーサイレンスの適性距離ではなかったから、これも身も蓋もない話だが、そういうことだろう。


さて、予想。
春の段階では、秋には逆転するだろうと考えていたカレンチャンとロードカナロアの力関係であるが、前走を見た限りではまだ代わってはいないようだ。
◎カレンチャン
○ロードカナロア

三番手以下が難しい。


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