エリザベス女王杯2013予想

カタストロフィ
10期 予想歴16年

◎ヴィルシーナ
  10着/1人気

○レインボーダリア13着/11人
▲オールザットジャズ7着/7人
△メイショウマンボ1着/2人


【予想】
 まず天気がハッキリしない。午後から雨だろうというのは予測できるが、どの程度降るかにもよるし、今の京都の超高速状態からもちょっと降ったぐらいで昨年ぐらいまで一気に悪化するかってのもちょっと考えにくい。多分雨が降ったとしても馬場はそこまで悪化せず、時計的にも大きく落ちることはないんじゃないかなと予想する。むしろ良馬場でするよりちょっと雨が降った方が意識的にもペースを上げにくい分、馬場の割にスローというようなことも有り得るかなという印象。


 展開は恐らくエディンが積極的に主張する。それを外からセキショウが突き、この2頭をヴィルシーナ、ホエールキャプチャが見ながら2列目を意識して行くかなという所。セキショウは出来れば平均ペースに持ち込みたいが、エディンは出来ればスローに落としたい。この2頭の競馬次第でちょっと変わってくるかなという気はする。特にエディンが番手で無理せずマイペース、セキショウが単騎で大逃げという可能性も十分にある。ただ、全体としてはやはりややスローの競馬になりやすいメンバー構成かなという気はする。ただし、淀の2200mで外周り。仕掛け所はやはり少し早くはなるので、トップスピード、ポテンシャル両面をもった馬、なおかつある程度前目で運べるのがベスト。




◎レインボーダリアは雨がどうとかそれはあまり関係なく本命。というか、13番人気は流石に舐めすぎだろう。この馬はみんな勘違いしがちなんだけどトップスピード自体は結構あるんだよ。昨年の府中牝馬Sでも見せたように、12.1 - 11.8 - 11.3 - 11.2 - 11.5とトップスピードを長く要求される競馬で外からしっかりと伸びてきている。L1だけど。この馬はトップスピード勝負でも対応できる馬なんだが、そこまでに時間が掛かるタイプ。だからL4から11秒台に入っていてスピードに乗せやすい状態で直線外外から前を向いたから最後に伸びてきた。だからここで勝ちに行って甘くなってヘロヘロになったホエールキャプチャとは適性面で明らかに違う。で、今年のこの馬の敗戦を一言で表現していく。札幌記念は消耗戦、函館記念は基礎スピード不足。あと共に言えるがこの馬は意外と小回りが得意ではないので函館で基礎スピード要求されたのも痛い。VMは距離不足である程度の位置からすっとトップスピードに乗せられる適性がなかっただけ。マイラーズCはきびしい競馬で基礎スピード不足にはなったが良でも少し渋っていた分L1でばてずに伸びてきた。昨年のエリ女にしても12.7 - 11.9 - 11.5 - 12.5 - 12.4の3~4角の速い所で中団外から押し上げてヴィルシーナに並びかけてきているように、本来トップスピードの質が高く、またそれを維持するポテンシャルがかなり高いとみるべき馬で、逆にトップスピードに乗せるのに時間がかかるタイプ。だから去年は嵌った。個人的には道悪どうこうではないと思っている。L1甘くなっているし。パンパン良馬場が合わないなら府中牝馬Sであの競馬は出来ないからね。で、今年の府中牝馬Sは何が悪かったってポジションもだが3~4角で進路確保できず下がってから直線を迎えたこと。12.2 - 10.8 - 10.7 - 11.3の流れで前向けずに直線入り。そこから加速するというのはこの馬にとっては無理。それもほとんどの馬が上り32秒台を叩き出すような特殊な競馬。こんなの度外視で良い。京都の平均的な競馬、序盤スローからのロンスパなら雨だろうが晴れだろうが関係ないと思っている。むしろ極端な道悪はマイナス材料だと思っているし、その点で予想は変える可能性は有るが。いずれにせよ、ハッキリ言ってこの馬を舐めすぎだと思うぞ。びっくりしたわ、13番人気って…。善臣相談役負傷で代打の和田竜二にも期待する。京都の外周りでオペラオー以来の中央GI制覇してくれ。この馬なら可能性は十分あるはず。


〇ヴィルシーナは素直に一番強いと思う馬。結果的に本命対抗が去年のワンツーになってしまったけど。根本的に今年はレベルが低いとみているので。この馬は前走の京都大賞典でも積極的な競馬をしたのだが、あれでもスローで途中で捲られてポジション下げて苦しくなった。それでも大きくばててはいない。牡馬の一線級相手に11.7 - 11.4 - 11.1 - 11.6 - 11.3 - 12.0とロンスパ戦を仕掛けられて前目から粘れていたというのは素直に評価したい。この馬は基礎スピードの高さとポテンシャルが武器。トップスピード面はそこまで遅いとは思わないが、それよりも要所ですっと動けないギアチェンジ面で近走不安が多い。VMでも番手で前を向いたのに最速地点でマイネイサベルにすっと前に出られるぐらいだから。逆に言えばL1でしっかり盛り返すようにエンジン掛かれば長くいい脚を使える。秋華賞もまさにそんな感じ。序盤スロー自体は問題ないので、そこでしっかりとポジションを取って、ある程度のリードを作れていれば坂下からじわっとで良いし、少し団子状態であれば自分でペースを引き上げてという形が良い。また岩田なので内に拘ってくれそうだし、動かなくても2列目内でしっかりとロスなく運べればトップスピード負けに対しても解消できそう。縦長になれば一番いいが、スローだったとしてもしっかり動ければここでは一枚上の力。雨で渋っても昨年のエリ女で見せているようにポテンシャルは非凡。L4からペースアップする消耗戦でも最後まで抵抗できているし、この中なら力が上。ただし、一つだけ不安が有って、ペースをあまり気にしない岩田が乗っているという点。ペースに関わらず2列目につけてそのままじっとするのが岩田の本領。自分でレースを作れる騎手ではないので、スローでも2列目でじっとしてペースアップのタイミングで置かれると出し抜かれるリスクがある。その点で対抗にしておいた。


▲オールザットジャズはこの2頭の丁度いいところをもらって2.5ぐらいで割ったような馬。ある程度良い位置につけられるのと、要所ですっと動けるのがこの馬の魅力で総合力タイプ。トップスピードも基礎スピードもポテンシャルもある程度持っているので重賞クラスだとどんな展開になっても安定する。例えば福島牝馬Sではスピードリッパー単騎大逃げで12.1 - 12.2 - 12.3 - 12.1 - 11.9と分かりにくいラップになっているがコーナーからの動きだしを問われた競馬で3列目中目から上手く直線インに潜り込んで出し抜いての勝利。マイネイサベルとはなかなかの好敵手で、ポテンシャル型のマイネに対してこちらは要所でしっかりと良い脚を使って勝ち切る競馬で良さが出ている。序盤追走するスピードは有るが、それでも要所のトップスピードを引きだすためには序盤無理しない方がいい。その点で内枠は歓迎材料。それと、地味に今年はパフォーマンス的に上げてきている。京都大賞典でも11.7 - 11.4 - 11.1 - 11.6 - 11.3 - 12.0と完全なポテンシャル勝負と特化戦で牡馬と混合のハイレベル戦だったわけだが、後方から最後まで伸びは見せていた。2400の一貫ペースで一応のめどは立てたと言っていいし、タフな馬場の一貫ペース、クイーンSでも2列目からしぶとく、極悪馬場の札幌記念でもばてずにばてた馬を交わす競馬とポテンシャル面で徐々に目途を立ててきた。序盤ゆったりの競馬からトップスピードを引きだす競馬なら更にパフォーマンスを上げてこれるはず。牝馬重賞路線の中心でもある一頭、昨年も勝ちに行って見せ場を作った。今年の3歳のレベルなら撃破できていい。


△メイショウマンボはこの位置。後半の総合力はかなり高いので、序盤無理しなければトップスピードの質の高さでまず安定はすると思うんだけど、正直秋華賞の内容だと3歳世代には完勝しても古馬の強いところ相手にいきなり勝ち切れるかってなると微妙かなというのが正直な所。秋華賞は時計的に足りなくて、比較的出しやすい展開であれ。エディンの大原Sなんて11.6-11.4-11.2-11.4とスローから出し抜いてトップスピード勝負、L1落とさなくても1:59.2ぐらい余裕で出ちゃう馬場だったから、ペースがシッカリつくられた中で1:58.6だと正直物足りない。距離延長で良さが出る可能性の方が高いので、一応連下には組み込んだ。ただ同じ総合力タイプとしてならオールザットジャズの方が馬券的な魅力が大きいと思う。


【展望】
 いよいよ古馬と3歳の激突、牝馬の頂上決戦、エリザベス女王杯が幕を開ける。今年は何と言っても二冠牝馬が勢いに乗って参戦する。これに秋華賞の3着馬にしてフローラS、フローラSとトライアルGII2勝の実力馬も参戦。更に1000万下を勝ち上がってきた勢い溢れる馬たちで構成される3歳勢。対するに古馬は今年のヴィクトリアマイルの1,2着馬を筆頭に、昨年のエリザベス女王杯勝ち馬。札幌記念でも4着に好走した素質馬、準OPを逃げ切って一躍GIに殴り込んできた上がり馬、昨年のエリザベス3着馬などかなり揃った。前半は勢いに勝る3歳勢、後半は古馬を中心に展望を描いていこう。



 3歳勢の中心は言うまでもないだろう、牝馬三冠のうちの2つを勝利したメイショウマンボだ。オークスと秋華賞の2冠馬は実にカワカミプリンセス以来で、史上3頭目と意外と少ない。メジロドーベルやカワカミプリンセス以上の活躍を期待したいところだ。さて、まず秋華賞の感想なのだが個人的にはこれぐらい3歳では抜けていると思っていたので特に驚きはない。逃げ馬が飛ばす競馬になったが12.3 - 12.3 - 11.9 - 11.8 - 11.8 - 11.9と実質的にそこまでペースが早かったわけではなく、ややスローからのロンスパ戦と言った所だ。この流れで中団外目で追走し3角で押し上げてきたデニムが一気に交わし去ろうと目論むが、内から抵抗してこれを弾く。4角でしっかり進路確保して中団外目から直線を向くと、そこからはしっかり伸びて2着争い熾烈な中でそれを尻目に鮮やかに牝馬2冠を達成した。ポジショニングや要所の動き出しでデニムアンドルビーを完封。外々回してしっかり伸びきって最後まで寄せ付けない競馬。総合力の高さをしっかりと発揮した形だ。トップスピードの高さもさることながら、序盤さえ無理をしなければ平均ペースでも十分にやれるという良さをしっかりと見せたと言える。ただし、少なくとも3歳相手には、という枕詞をつける必要は有るだろう。個人的にはこのレースの走破時計にはやや不満を持っている。近年の馬場なら58秒台前半は当たり前。まして今年の超高速馬場を鑑みれば展開次第で57秒台が出てもおかしくないなと思っていた。秋華賞の当日は京都1200で7秒台が頻発するかなり特殊な超高速馬場にあった。通常早い時計が出にくい京都1200でこれほど早い時計が出続けるのは稀。展開的にも57秒台を出せずとも58秒台前半の時計は欲しかった。この点で秋華賞は内容的にみるとメイショウマンボが同世代相手に完封したと言っていい内容だが、時計やラップからの内容的にみて古馬にいきなり通用するかどうかとなると、意外と未知数な面は多いと思う。


 ただし、この馬の場合は中距離での総合力、とりわけトップスピードの高さが武器である。弱点はこのブログで何度も出してきているが、基礎スピード面で不安がある。これまでのマイル戦での負け方、桜花賞やJF、また1800のローズSでも共通点は前半の方が早い流れ。ここで追走に脚を使わされてこの馬の良さである後半の総合力が活かせなかったところが大きいだろう。しかし、距離延長することによってその不安が解消され、オークスでは3~4角ロスなく立ち回っての競馬にはなったが平均ペースで12.4 - 12.9 - 12.8 - 12.0 - 11.8 - 11.9と道中緩んでからも平均的な競馬で直線序盤にしっかり伸びてL2でしっかり先頭に立ち、そのままばてずにエバーブロッサムの強襲を封じ切っている。デニムアンドルビーは全く問題としていない。これは秋華賞でも同じだが、この距離になれば平均ペースでも全く問題ないように、距離適性的にマイルは短かったとみるのが妥当だろう。マイル以下でも序盤スローだったり無理をしなければ終いは確実に伸びる馬。特にこぶし賞で見せたパフォーマンスはここで何度も書いているので軽く触れるだけにするが、前を向けない流れで後方から実質直線だけでの差し切り勝ち。13.0 - 12.7 - 12.4 - 11.3 - 11.3とギアチェンジが問われる競馬を強いられながらもL1の地点でも後方。直線だけで差し切れているようにトップスピードの質はかなり持っている。従ってどちらかというと平均ペースで基礎スピードが要求され、トップスピードが削がれるような競馬になるよりは、序盤スローでゆったり運びつつ直線トップスピードが要求される競馬になる方がより良さが出る可能性を秘めていると言える。


 問題は京都外2200mという舞台と展開だろう。これ自体は個人的には問題ないとみている。京都2200m、エリ女の舞台は昨年のように雨でも降らない限りは基本的に極端な消耗戦にはなりにくく、上り33秒台の脚が要求されやすい舞台だ。また、前走秋華賞は枠も有り外々を勝ちに行く競馬になってしまったが、この馬の場合はギアチェンジやトップスピードと言った総合力も兼ね揃えている馬なので、4角の合流地点で進路を確保しやすい外回りの2200mという舞台なら、内で脚を溜めてトップスピードを引きだすという選択肢も十分取れるという点で同じ3歳勢だけが相手なら秋華賞よりも競馬がしやすくなるはず。しかも200m延長でより序盤楽にレース運びができる。この馬としては特化戦は避けたいわけで、一貫ペースで基礎スピードで押し切られる競馬や、ロンスパ戦になってポテンシャル特化戦にならないような展開が望ましい。その点では今回の最大のポイントは早仕掛け確定的なデニムアンドルビーの仕掛け所だろう。これも内で進めていたとしたらそれほど問題にはならないだろうが。デニムアンドルビーに楽をさせるような中弛みの展開や、超スローで仕掛けが難しくなる競馬にならなければという所だ。それでも内にしっかりポジションを取れれば要所で置かれる馬でもなくトップスピードも世代最上級のものを持っている。後は古馬との力関係の方が占めるウエイトは大きいだろうとみている。ここも勝って牝馬最強の座を得ることができるか。


 3歳勢2番手にはフローラS、ローズSとトライアルGII2勝にして秋華賞では1番人気に推されたデニムアンドルビー。個人的にフローラSはフロックとみていて、オークスではやっぱりなという気持ちと、桜花賞戦線で中距離勢があまりいなかったことで3着を確保できたとみていた。フローラSは12.5 - 13.4 - 13.3 - 13.3 - 11.6 - 11.2 - 11.4と13秒台が3F続く、未勝利のダート1800ぐらい遅いラップ推移を刻んでいた。これはかなりのレアケースで、ここで前を向いて押し上げることが出来たのが明らかにプラスに働いた。実質的に3F勝負になっているがこの馬は前を向いて13秒ラップの所でそれより速い脚を使って押し上げて勢いに乗せていた。ギアチェンジ戦になっているのだが、この馬は13秒ラップの地点で恐らく12秒ぐらいの脚でスピードに乗っていたと思われる。だからこそ楽にトップスピードに乗せられた。この馬の本質をフローラSが壊してしまっていて難解になっていると思われる。いかにも要所ですっと動いて捲ってしまえそうだが、そういうわけではない。むしろ本質的にはローズSの勝ち方の方がこの馬をしっかり表していると思う。重馬場でタフな馬場状態。後方からおっつけおっつけで全然伸びそうにないのだが徐々にエンジンが掛かってくると11.9 - 11.9 - 11.9 - 12.5 - 13.2の消耗戦で徐々に前がしんどくなり、この馬がばてずにジリジリジリジリ伸びてきて最後に飲み込む。重馬場の消耗戦、緩急が無いと押し上げられないが、前がばてて差してくる。要所でもメイショウマンボの方が脚色は良かったが、やはりL1で名称も苦しくなっている。そこで苦しくならずに差し込める。この馬の武器はポテンシャルの非凡さにある。


 秋華賞は戦前の段階で苦しくなると思っていたのだが、内田が積極的な競馬に持ち込んで早い段階でトップスピードに乗せて3角まで持って行った。その成果も有って12.3 - 12.3 - 11.9 - 11.8 - 11.8 - 11.9のラップ推移で3角手前からペースアップする流れに外々を回しながらもしっかりと差を詰めつつメイショウマンボを飲み込む寸前まで行った。ただ、幸四郎とマンボが慌てずにすっと反応して盛り返したため、メイショウマンボの前に出られず、またマンボの外を回すことになってここで苦しくなった。それでも最後まで抵抗して激しい3着争いにまで持ち込めているように、やはりポテンシャルは高い。ただし、ここでも見せているように要所の反応や序盤のポジショニングの悪さはいかんともしがたい。この馬の場合はそれを分かった上で、早い段階でトップスピードに乗せて出しきってやることが極めて重要だろう。トップスピードが問われる競馬になってしまうとどうしても難しい選択肢しか選べない状況に陥る。かといって早仕掛けで一気に捲ろうと思ってもトップスピードで足りないので、3~4角で外々を回される羽目になると、淀の3~4角は外回りだと最速地点になりやすいので極めて苦しくなる。となると選択肢は2つ。一つは中弛みが有ることを期待して、緩んだと思った地点で一気に捲り切って3角までに先頭に立つ。もう一つは最後方で少しスペースを置き、向こう正面でエンジンをかけてトップスピードに乗せて3角からは内を何とか捌く。展開を無視して地力で勝つにはこれしかないだろうと思う。幸い藤田のエディンが逃げる可能性が高いレースなので、緩急が産まれる可能性は十分にある。仕掛けるタイミングは有るはず。個人的にはスローだと思ったら早い段階で先頭に立って3角を迎えてほしい。個人的にはこれが一番勝算があるとみている。この馬の適性的に厳しい競馬になることは今回も間違いないのだが、秋華賞のように緩むポイントが無いレースよりは、緩急が少しでも出来そうなこの舞台はチャンスともいえる。嵌れば勝ち切るだけの力を見せているのは確かなので。


 3歳3番手には500万下、1000万下と連勝で勢いに乗るラキシス。ディープインパクト×ストームキャットと相性のいい配合で、夏を越えて遂に本格化の兆し。春のクラシック、秋の秋華賞にも間に合わなかったが、この大舞台でその素質を爆発させることができるかどうかが焦点だろう。まず阪神2200mの甲武特別ではややスローから12.6 - 12.2 - 11.5 - 11.6 - 12.2の流れでL3コーナー最速の競馬。ここで中団内目から4角外に出して動いて直線を向くと、そのまま直線序盤で良い脚を使い、L1で一気に突き抜けて最後まで一番いい脚を使っての完勝だった。ポテンシャル面ももちろんだが、トップスピード面でもある程度のものは見せたと言える。前走の鳴滝特別は京都2200mでもかなりの超スローの競馬。12.8 - 12.1 - 11.8 - 11.0 - 11.2と実質2F戦という特殊な内容となっている。3~4角で外目からしっかりと前を向いて直線外からしっかり伸びて、L1でしっかり突き抜けてここでも着差以上の完勝と言える内容だった。ただ緩い地点で外から前を向いてエンジンをかけた状態でもあったし、その点では恵まれたレースではあっただろう。外を回すロスは12.8-12.1-11.8と速くない地点なのでそれほど大きくなく、11.0の地点までにトップスピードに入れやすいコース取りがプラスに働いたとみる。正直な所この2走だけでGIでいきなりどうこうとまでは正直思わない。トップスピードの質も高いがあくまで1000万クラスの超スロー。メイショウマンボのように遅い地点で置かれ速い地点でまとめて交わすというようなパフォーマンスでもなかった。相手関係もあるだろうがいきなりはどうかという所。フローラSの負け方は外々ながら前を向けずに流れに沿った競馬ではなかった中で、L1最後まで伸びてきていて、これはそれほど悲観する材料ではない。これを見る限り、トップスピードに関しては3歳でも最上位に近いものは見せているし、スムーズなら面白い馬ではあるだろう。それでもディープ産駒らしく序盤のゲートの出はあまり良い馬ではないし、ポジショニングが大きなウエイトを占めるコースでもあるので、その点も不安材料だ。見せている素質は面白いものもあるが、ここでいきなり勝ち負けとなるとどうだろうか。


 3歳4番手にはディアデラマドレ。前走の堀川特別では最後方近い位置から直線鋭く伸びての完勝。中弛みが有って12.8 - 12.0 - 11.5 - 11.2 - 11.3のラップ推移でスタートも良くはなかったが後方に下げて競馬。そのまま中弛みで脚を使わず差を詰めながら3角。3角ではまだ仕掛けず内目を追走し、4角で仕掛けて最後方で直線を向くと、11.2-11.3のラップ推移で大外からグングン伸びて差し切った。トップスピードの質という点に関してはかなり強烈なパフォーマンスを見せたと言っていいだろう。この馬としても上り3Fではまだ遅い地点のL3では動かず、流れに合わせて後方からの差し切りとなっている。2走前の阪神1800m戦でも同じようにトップスピードの質を見せてきた。スローから12.6 - 12.3 - 11.6 - 11.2 - 11.6の流れで明らかなトップスピード戦。ここでもほぼ最後方で直線だけでまとめてズドン。最速地点でも分かりやすく伸びてくるとL1で一気に突き抜けてぶっちぎった。最初から最後までただ1頭違う脚で、500万下戦ではあったがトップスピードの質という点に関してはかなり評価できる勝ち方ではあった。3歳時なぜダメだったのかが気になるのだが、スイートピーSでは12.3 - 12.2 - 11.6 - 11.4 - 11.6とこの馬に合いそうなスローからのトップスピード勝負にはなっているが、縦長で最後方からの競馬になってしまい、直線だけの競馬とはいってもかなり後方で最後までしっかりとは伸びていたものの前の馬もばてずに前でしぶとく脚を使えてしまっていた。ポジショニング面でかなり難がある。ここ2走もU字コースでそこまで縦長にならず、トップスピードだけでまとめて面倒を見れるだけの差だったことも大きいだろう。また小倉1800では2走とも凡走していて筑後川特別では12.1 - 11.8 - 11.4 - 11.7 - 12.1と平均的な競馬でL3最速と基礎スピードとポテンシャルをある程度問われる競馬だったのだが、向こう正面で手を動かしつつ、3~4角でロスなく最内を通せていながらも全ぜにょさが無く最後は伸びあぐねた。ここからも基礎スピードが問われたりポテンシャル勝負になると甘くなるという懸念はどうしても払拭できない。この馬はU字の1800である程度団子からの直線ヨーイドンという前提が揃わないと現時点では苦しい材料しかないという所だ。トップスピードの質に関しては非凡だが、適性面に関してはラキシスよりも見劣るだろう。


 3歳勢の最後には紫苑S勝ちのセキショウに期待。2000までしか経験していないのはネックだが、この馬の場合は距離延長に対応できるだけのパフォーマンスは見せている。ミモザ賞では中山2000の競馬なのだが、スローから要所で引き上げて12.6 - 12.4 - 12.3 - 12.2 - 11.5 - 12.1のラップ推移。ここで2列目で折り合って3~4角で馬場の良い外々を回して直線序盤で一気に出し抜いている。そのまま他馬を寄せ付けない完勝だった。アドマイヤイチバンを問題としていないように、ややスローの競馬から要所でしっかりとペースを上げてトップスピード面で良さを見せているというのは面白い材料と言える。また距離延長面に関しても緩いペースに折り合い、ペースアップがシッカリとでき、対応できそうな面は見せている。基礎スピードに関しては紫苑Sで見せていて、平均ペースでも12.1 - 11.7 - 11.7 - 11.7 - 11.9 - 12.5と向こう正面の下りでしっかりとペースを引き上げて後続の脚を使わせての逃げ切り勝ちだけに評価できる材料。また、リボントリコロールが脚を出しきれなかった面もあるにせよ、これが秋華賞で善戦、トーセンアルニカも1000万下を勝ちあがるなど、レースレベル的にも十分評価できる材料だ。秋華賞では番手の競馬で高速馬場の2000m。8着とはいえ4角先頭で見せ場を作り、2着まであわや残るかという所まで踏ん張っての僅差の8着。意外と侮れない馬だろう。基礎スピードも見せていたが、ミモザ賞の内容から序盤ある程度ゆったり進めてペースを上げて良さが出ていることも有り、距離延長で単独2,3番手で進められるようだと少し怖いかなというような面は見せている。崩れているのが超中弛みで2列目最内ポケットで前を向けなかったフローラSと函館、年末の中山のタフな芝だけなので、高速馬場で自分の競馬に持ち込めた場合は粘り込を警戒する必要は有りそうだ。


 後編は人気を背負いそうな3歳馬たちに対して、実力の割に評価が低くなりそうな古馬を中心に展望していく。昨年のエリザベス女王杯上位馬たちも、ヴィクトリアマイルの上位馬たちも参戦と、例年に比べても古馬たちのレベルは高そうだが、3歳馬が良い具合に人気を食ってくれそうだ。馬券的には非常に重要となる古馬勢の取捨、しっかり見極めて行きたい。


 古馬の中心は今年のヴィクトリアマイルを制覇、昨年の牝馬三冠は全てジェンティルドンナの2着、昨年のエリ女2着含めてシルバーコレクターと言われてきたヴィルシーナ。3歳時は苦杯を舐めるばかりだった。桜花賞では好位から運び、アイムユアーズと共に抜け出したものの、最後はジェンティルドンナに差されての2着。オークスでは離れた中団から直線しぶとく伸びを見せるもののその外からジェンティルドンナにぶっちぎられる。最後の秋華賞で一矢報いる奇策の逃げを打ったもののスローに落としすぎてチェリーメドゥーサに捲る余地を与えてしまい、13.4 - 12.3 - 11.6 - 11.4 - 11.3 - 11.5 - 12.4の流れで離れた2番手から直線伸びを見せるもののジェンティルドンナのエンジンが掛かってしまい、最後はハナ差さされてしまった。このようにジェンティルドンナに唯一有利に戦えそうだった秋華賞でもスローに落とし込んでのロンスパ戦とジェンティルドンナが脚を出しきれる競馬に持ち込んでしまって3冠を許したという面が大きい馬だ。ジェンティルドンナがJCに向かって必勝を期して挑んだエリザベス女王杯では重馬場でも積極的に先行策。3角でオールザットジャズが動いてペースを上げて12.9 - 12.7 - 11.9 - 11.5 - 12.5 - 12.4のラップ推移でコーナーで少し置かれ気味になり、直線では少し離されていた。レインボーダリアにも早い段階で交わされたがここから盛り返しつつ、最後は追いこんできたピクシープリンセスの追撃は何とか振り切って2着は確保した。序盤いい位置につけるだけの基礎スピードは見せているが、秋以降は要所で少し置かれる癖が見えてきた。ポテンシャルと基礎スピードは良いものを見せているが、要所で置かれることでトップスピード戦、ギアチェンジ戦では甘くなりがちだ。


 4歳になって初戦の大阪杯ではこの馬の適性が出せない厳しい展開でもあった。スローから12.2 - 11.6 - 11.3 - 10.9 - 11.5と徐々に加速して最速地点の4角出口~直線序盤でしっかりとトップスピードに乗せたい展開だった。好位から外々押し上げようと仕掛けられても全然動けず、逆にオルフェーヴルにあっさりと捲られる始末。ばてているわけではなく、要所でトップスピード負けしてしまっているのが最大の問題と言える。ヴィクトリアマイルではその反省を活かしたか2番手につけ、そのまま早めの仕掛けを意識しての競馬。11.7 - 11.9 - 11.4 - 11.2 - 11.6とそれでもトップスピードが問われる平均的な競馬にはなってしまい、案の定前を向いていても直線序盤でマイネイサベルやホエールキャプチャと言った所に見劣り一旦はマイネに先頭を譲っている。それでもL1でばてずに盛り返すと、先に抜け出したマイネを捕え、ホエールキャプチャの追撃を振り切っての久々の勝利となった。もうこの辺になるとはっきりしてきたと言えるが、基礎スピードの高さを活かすべきで、中距離でリードを作ってしっかりと平均的な競馬に持ち込むか、スローでも後半のロンスパ戦に持ち込むかというアイデアが必要な馬だと言っていいだろう。トップスピード勝負に持ち込まれると序盤の反応の悪さが災いするし、何より今回のメンバーでトップスピード面での強敵はかなり多い。ヴィルシーナと言えども、相手の土俵に立っても勝負できるというような馬ではなく、やはり淡々とペースを引き上げてこそ良さが出る馬。これが重要になってくるだろう。京都2200mは基本的には基礎スピードも要求される舞台になりやすいし。3角の坂からの4F戦でトップスピードもある程度問われるが極端にはなりにくい。総合力が問われやすい舞台と言えるので、積極的にペースを引き上げて、トップスピード型に対してしっかりとリードを作って直線を迎えたいところだ。力自体は出し切れば4歳世代No.2の馬だ。


 相手筆頭にはオールザットジャズを抜擢する。今年の秋3走は結果こそ出ていないが内容は悪くない。クイーンS、札幌記念は共に馬場が悪く、この馬の持ち味であるトップスピードが活かせなかった。また京都大賞典でも言うまでもないが12.4 - 11.7 - 11.4 - 11.1 - 11.6 - 11.3 - 12.0とロンスパ戦になってしまい、後方から一足使えず。これだけの消耗戦となってしまうと苦しくなるのはしょうがない。この馬の良い所は要所で動けるギアチェンジやトップスピードの高さにある。多少緩いペースからペースを上げる展開で良さがあり、マイネイサベルとよく同じレースに出ていたが対照的な競馬で非常にわかりやすい。今年で言うなら福島牝馬Sで、スピードリッパーの単騎逃げで12.1 - 12.2 - 12.3 - 12.1 - 11.9とラップ的には平均的にはなっているものの実質的には3角ぐらいから各馬詰めていて3~4F勝負、早い上がりの競馬になっている。ここで3列目から直線序盤で上手く内を突いてするする抜け出してくる。マイネイサベルらがL1で追いこんでくるもこれをしっかりと保っての粘り込を果たした。好位につけて要所で動ける脚というのは非常に魅力的で、トップスピードを活かせる競馬になれば面白いし何よりある程度の位置で競馬ができるというのがこの馬の安定感を引きだしている。昨年のエリザベス女王杯でも素質の一旦は見せていて、12.9 - 12.7 - 11.9 - 11.5 - 12.5 - 12.4の流れでペースが上がった3角で3番手から積極的に動き、4角先頭で早め押切を狙っている。L1甘くなったのはこの馬としては仕方ないが、要所でレースを一気に動かしているのは大きな材料だ。昨年は馬場が悪く、この馬の良さが削がれるポテンシャル勝負となってしまったのも痛かったが、高速馬場でこれが出来ていたらヴィルシーナやレインボーダリアあたりとは違った結果となっていてもおかしくなかった。要所のトップスピードをしっかりと引きだせる競馬にさえなれば、このクラスでも通用していい馬。若き天才バルザローナがこの馬をどう導くか。


 3番手には昨年の覇者レインボーダリアを挙げる。昨年は雨で馬場が重。更に直線外から差し切っての内容で、いかにも嵌った感はあったと見られている。確かに嵌ったのは事実だが、12.9 - 12.7 - 11.9 - 11.5 - 12.5 - 12.4とペースアップして3~4角で大外速い地点で押し上げて直線序盤でヴィルシーナに並びかけに来るだけの脚は並ではない。L1手応えほど突き抜けなかったものの、要所で良い脚を使えているという点ではヴィルシーナよりも上に取って良い。元々この馬はイメージ的にエリ女が先行しがちだが、トップスピードに乗りさえすれば意外と速い脚が使える馬。昨年の府中牝馬Sではスローから12.1 - 11.8 - 11.3 - 11.2 - 11.5と4F勝負の中で、後方から外々追走してL1でグンと伸びてきての4着。トップスピードの質も持っているし、それを持続する力もかなり高い。今年は適正条件を走っていないか、展開が恵まれていないかのどちらかばかり。マイラーズCは明らかに距離が足りない中で後方から一足は使えていた。3~4角外を回すロスが有りながらもL1までしっかりと伸びてきての7着、0.3差なら悪くない。基礎スピードでマイルでは明らかに足りない馬なので。同様にヴィクトリアマイルの負けも仕方ない。また、この馬はエリザベス女王杯のイメージで道悪やタフな馬場を得意としているイメージだが、序盤脚を使わされると良くない馬。函館より札幌でパフォーマンスが高いのもペースが上がりにくく函館より馬場が軽くコーナーも緩く、トップスピードが引き出しやすいことが大きいだろうとみている。函館記念はハンデ56.5kgに淡々としたペースで追走に汲々としていた。札幌記念は馬場が悪すぎてどうにもならなかった。そして前走の府中牝馬Sでは12.2 - 10.8 - 10.7 - 11.3と究極のギアチェンジ戦になっている。殿負けは残念だが、この馬としては10秒台に突入するような極上のキレ味勝負となっては流石に苦しかったし何よりポジションが悪すぎた。京都の芝外2200mなら3角の下りからのペースアップで4F勝負になりやすいし、そこまで極端にペースが上がる舞台でもないので、その点でこの馬としては序盤ゆったり運べて後半のロングスパート戦、そこそこのトップスピードとポテンシャルを引きだしやすいという点ではやはりベストコース。ここで今年の鬱憤を晴らすことができるか。


 穴どころからはやはり府中牝馬Sで末脚不発も淀の下り坂からトップスピードを引きだせれば怖いアロマティコ。府中牝馬Sでは超スローからの12.8 - 12.2 - 10.8 - 10.7 - 11.3ギアチェンジ戦。馬群の中で前を向けずにギアチェンジに戸惑ったというのが致命的だった。進路が出来てからL1ではしっかりと伸びを見せてきていて、12.2-10.8の地点で進路が取れなかったのがギアチェンジ戦に置いては最大の敗因だとみていいだろう。この敗戦は気にするものではない。佐渡Sでは12.6 - 11.8 - 11.4 - 10.8 - 11.8と新潟外回りらしいL1の落ち込みでトップスピードに乗せ、それを維持する競馬で完勝している。外目からしっかり進路を取ると、最速地点のL2で突き抜けL1でも楽に差を広げての内容。この馬の場合はトップスピードに乗せてしまえば質もポテンシャルも非凡と言えるだろう。秋華賞でもスローからのロンスパ戦で12.3 - 11.6 - 11.4 - 11.3 - 11.5 - 12.4の流れ、ジェンティルドンナの後ろからこれをマークする形で進め、4角~直線入りではこちらの方が手応えが良かったぐらい。直線入りで少しジェンティルに接触しかけ、立て直したロスが響いた格好で、トップスピード自体は引けを取っていない。またここで見せたようにスローからのロンスパ戦にも対応できているので、京都の外周りでも苦にしないだろう。マーメイドSではもうちょっと頑張ってほしかった気もするが、11.6 - 12.0 - 11.8 - 11.4 - 11.7 - 11.9とロンスパ戦でL3最速戦の流れ。ここで後方から最速地点で外々を押し上げて行く競馬で甘くなったのは仕方ないし、平均的な競馬になってトップスピードがあまり要求されなかったのもこの馬としては苦しい材料だったともいえる。平均的な競馬になるよりは持ち味のトップスピードとポテンシャルを活かす競馬がベストだろう。嵌れば怖いのは間違いないし、3歳勢でも1000万下を勝ちあがったレベルに比べれば佐渡Sの勝ち方一つだけでもパフォーマンスは上とみたい。昨年のエリザベス女王杯でも出ていれば勝負になった馬だと思っているし、今回のメンバー構成なら当然怖い存在だ。


 ホエールキャプチャが完全復活の狼煙を上げつつある。前走の府中牝馬Sではこの馬最大の持ち味であるギアチェンジ能力を最大限に生かせる展開。超スローから12.8 - 12.2 - 10.8 - 10.7 - 11.3のギアチェンジ戦。2列目から直線鋭く抜け出す完勝と、まさにこの馬のためのレースだったと言っていい。この馬もマイネイサベルとの比較でみると如実にわかる馬なのだが、ペースアップして早い段階でこの馬が抜け出し、L1でマイネイサベルが突っ込んでくるというレースを3歳時から続けている。要所ですっと動けるギアチェンジ能力の高さこそこの馬最大の武器。これは今年のヴィクトリアマイル、昨年のヴィクトリアマイルでも見せていて、序盤そこまでペースが上がらず、要所でトップスピードが問われる展開ですっと反応して早い段階でトップスピードに乗せることで良さが出てきた。特に今年は序盤無理せずに11.7 - 11.9 - 11.4 - 11.2 - 11.6の流れで後半鋭く伸び、L1では流石にヴィルシーナのポテンシャルによる抵抗で差し切れなかったものの勝ちに等しい内容だった。このようにこの馬はあまりタフさを問われない条件、かつペースアップの反応の差がレースに直結する場合に良さが出る。3歳時はある程度タフな競馬にも対応できていたが、近年はまるで駄目。なので札幌記念の大惨敗や昨年のエリ女、また4F戦で外から勝ちに行った昨年の府中牝馬Sなどはこの馬の良さが出ない競馬だったと言える。ただ、逆に言うとこの馬の良さが出るケースの方が少ないので、その点で府中牝馬Sでも究極のギアチェンジ戦で勝ったからと言って京都の2200m戦にそのまま放り込めるかとなるとそれは別問題だろう。3歳時のエリ女ではシンメイフジの大逃げで12.8 - 11.8 - 11.8 - 12.9 - 12.4とラップ推移的に難しくはなっているが、恐らくL4最速は変わらず、ここで3~4角最内を離れた2番手でロスなく立ち回った分、直線序盤までは良い脚を使えていた。ただL1では1頭甘くなって上位陣からは少し離される4着。レインボーダリアにも1馬身差と迫られていた。今のホエールキャプチャにこれ以上の状態は望みにくいだろう。可能性としては終始内内で速い地点をやり過ごし、持ち味の一瞬のトップスピードをどこで引きだすかということに尽きるだろう。内枠、高速馬場は必須で雨さえ降らなければ先週のように超高速に近い馬場状態は継続するはず。超高速馬場ならこの馬の持ち味を活かせる可能性が高くなり、警戒は必要。


 上がり馬で注目の逃げ馬エディン。北海道開催では安定しなかったのが、馬場の高速化が進む阪神、京都で一気にパフォーマンスを上げてきたのは良い材料と言える。前走の古都Sでは京都2200mとエリ女と同じ舞台。ポンとハナを切るとそのままスローに落とし込み、13.2 - 12.2 - 11.3 - 10.9 - 11.3のラップ推移で一気に出し抜いての勝利となった。ピクシープリンセス相手に全く問題としていないように、トップスピードの質の高さを見せたと言っていい。また逃げてペースを緩めることもできているのは面白い材料だ。2走前の大原Sでは京都2000でこちらもスローの競馬にはなったが12.3 - 11.6 - 11.4 - 11.2 - 11.4とこちらは4F勝負で11秒台を続けて踏んで最後まで粘っての2着。トリップには上手く捌かれてL1で差されてしまったものの、ローゼンケーニッヒに4F勝負でトップスピードに乗せさせても寄せ付けなかったという点では非常に高い評価ができるだろう。これまでからもスローに落としてトップスピード勝負に自ら持ち込み、出し抜いて抑えきるという藤田逃げが炸裂している中でパフォーマンスを最大限に発揮して生きている馬。函館の1000万下北洋特別では12.3 - 11.8 - 12.0 - 12.2 - 12.3とL4最速戦に持ち込んで甘くなっている。厳しいペースで要所の出し抜きを活かせない展開になるようだと不安もあるが、逆にノーマークでこの馬のペースに持ち込んでしまえば要所の出し抜きは準OPでもかなりの威力を見せていたし、GIとはいえエリ女で今年のメンバーなら通用しても良さそうだ。この馬の競馬になるという前提ではあるが、嵌れば面白い。


 悩める人馬、ハナズゴールと武豊がこの舞台できっかけを掴めるか。この馬はこれまでの傾向からもかなり掴みづらい面がある。府中牝馬Sでは好位から12.2 - 10.8 - 10.7 - 11.3の流れで全く伸びあぐねた。多少掛かっていた面もあるにせよ、ホエールキャプチャの直後を徹底マークして要所でも完璧に立ち回って伸びあぐねていて、ギアチェンジやトップスピード面ではホエールキャプチャに完敗だったと言える。 ギアチェンジが問われるとあまり良くないかもしれない。阪神マイルのリゲルSでもオースミスパークの単騎逃げで11.5 - 11.5 - 11.6 - 12.4の流れ、マウントシャスタがよれていたことも有るが、L1できっちり突き抜けたパフォーマンスや、京都牝馬Sで12.1 - 11.8 - 11.7 - 11.4 - 11.6の流れでしっかりと最内から鋭く突き抜けたことからも、京都の坂でトップスピードに乗せられる舞台だったり、阪神外回りでL1落ち込みトップスピードを引きだしてのポテンシャル勝負で良さが出ているように感じる。また、もう一つ最近になって傾向として感じるのが、高速過ぎず、少しソフトな馬場の方が合うかもしれないという所。ヴィクトリアマイルでも軽い馬場でラップに変動があり器用さが問われる競馬で良さが出なかった。ジェンティルドンナらを子ども扱いしたチューリップ賞なんかは時計が掛かる馬場で真価を発揮したと言えるし、リゲルSも年末の阪神で時計が掛かりやすかった。京都牝馬Sでも同様に年始の京都で内有利ではあったが高速馬場とまでは行かなかった。札幌記念4着も高速状態とはいえ洋芝でコーナー緩く、トップスピードに乗せやすい舞台。そう考えれば昨年の秋華賞で全くダメダメだったことも、馬場が高速過ぎたという一面があるのかもしれない。パフォーマンス的に今年は少し落としているのは気がかりだし、依然として超高速状態にある今開催の淀の馬場状態も不安。


 最後にアグネスワルツまで触れておこう。この馬は平均的に逃げて何ぼの馬。こういうタイプなので距離不安も感じさせるのだが、オークス3着の実績からもその点は問題ないだろう。このレースではスローに落として13.5 - 13.5 - 12.0 - 11.5 - 12.4のラップ推移で少し離れた3着とはいえしっかりと粘っていた。何より、要所で2列目以下を離す競馬が出来ていて、ペースアップに対応しての3着というのは立派で、ペースに緩急をつけても強い競馬ができるというのは大きな材料。古馬になってからは進んで2000以上の競馬にはあまり使われてこなかったが、マーメイドSでは平均ペースから11.6 - 12.0 - 11.8 - 11.4 - 11.7 - 11.9とL3最速戦に持ち込んで早めに出し抜き最後までしぶとく抵抗していた。ハナを切れればかなりしぶといし、ペースを落とし、要所で引き上げてロンスパに持ち込める幅の広い逃げ馬であることは確か。ただし、この馬の弱点は二の足はそんなに速くないという点にある。恐らくそれが理由でコーナーまでの距離があるU字の1800ばかり使っている印象なのだが、京都の外2200mの舞台は1角までの距離はそれほど速くない。小倉日経オープンなんかでもトゥニーポートにあっさりハナを叩かれていて、この辺でエディンに対してどういう競馬をするかにもよるだろう。この馬の場合は番手でもそれほど問題はないが、出来ればハナを切って主導権を握りたいところだ。


tipmonaとは?

最新記事一覧

次の予想をみる >