皐月賞2015予想
今年も長文になります(資料更新済)

スカイポット
14期 予想歴18年

◎ドゥラメンテ
  1着/3人気

○ダノンプラチナ11着/5人
▲サトノクラウン6着/1人
△リアルスティール2着/2人
×ブライトエンブレム
×ベルーフ


 皐月賞は自分が競馬を始めるきっかけとなったレース。毎年、現地観戦をしているため予想に力が入るもので、昨年は1万字を超える予想文となり、不的中の予想にもかかわらず競馬ナンデで83拍手を頂きました。

 この結果については、予想の過程を評価して頂いたと素直に喜んでいます。公開予想は、根拠が書かれていない、もしくは書かれていても一貫性がなかったり曖昧なものであれば、的中したとしても読者にとってはあまり価値のないものだと思っています。
【参考】「予想真髄」(10年以上昔、データ派だった頃に書いたものですが)
→http://baryutensei.com/17shinzui.htm

 今回も、資料などを公開しつつ、なるべく客観的なデータを中心に予想します。ある程度の予想歴があることは前提ながら、わかりやすい内容になるよう注意したいと思います。

 なお、例年は前年の膨大な予想文をリバイスしながら予想を書いていたのですが、先週の桜花賞で、バイアス条件と展開の影響の大きさを復習したところ、先に舞台条件を確認してから、馬の能力や適性を分析する方式に変えてみました。今年の皐月賞も、自分の予想にとってひとつのエポックメイキングになるような予想をお送りできればと思っています。

『条件』
 まずはトラックバイアス(馬場差)から見ていきます。以下のリンクより資料をご覧ください。
【参考】「2015皐月賞予想・馬場差分析資料」
→http://baryutensei.com/report/1504bt-satTBIdata.pdf

 資料右下の「当レースの傾向及び今年の展望」にも書きましたが、中山競馬場は直線が短いため、基本的にはVTBI(縦のバイアス)はデフォルト以内(黄緑色)になっています(バイアス自体が後方有利になったことはない)。

 過去11年(激流の2009年、東京で行われた2011年、不良馬場の2012年を除く8年)で、3角で二桁番手にいた上位人気(3番人気以内)馬の結果は(0,0,2,2,1,2)で、全て人気以下の着順となっています。今年は上位人気馬にBPR(ベストパフォーマンスを出しているレース)における脚質が追込みという馬はいませんし、15頭立てなので、該当する馬はいないかもしれませんが、過去において、BPRは差し程度の位置取りだった馬が当日に極端な後方策を採ったケースもあることに注意が必要です。

【参考】過去11年(2009、2011、2012年を除く)で、3角で二桁番手にいた3番人気以内馬
2004年 ブラックタイド 2番人気16着(17-18-14-15)
2006年 アドマイヤムーン1番人気4着(13-15-12-12)
    フサイチジャンク2番人気3着(13-13-10-9)
2007年 アドマイヤオーラ1番人気4着(16-15-13-12)
    フサイチホウオー2番人気3着(13-12-11-9)
    ドリームジャーニー3番人気8着(17-17-16-16)
2008年 ブラックシェル 2番人気6着(9-11-11-8)

 当該8年の3着以内馬24頭のBPR脚質分布は、「1」(逃げ)が2頭(メイショウボーラーとサンツェッペリン。いずれも中山2000mの重賞連対経験があった)、「3」(番手)が8頭、「5」(先行)が5頭、「差」(差し)が8頭、「追」(追込)が1頭(ドリームパスポート。前4走が全て1800m以上のOP・重賞で堅実な戦績)。おおよそ、番手から差しまでで決まっています。

 HTBI(横のバイアス)はフラット程度を想定。去年、一昨年は前週が外有利、前日の土曜日がフラットの予測で、結局フラットでしたが、今年も似たような状況という値です。横がフラットとなれば、枠の差や距離ロスが低減されるため、より能力の高い馬が好走しやすくなります。

 一方で、この資料では2007年~2009年における、予想時バイアスと予想レースバイアス(結果)が連動していません。2007年は、逃げ馬と1番・2番人気(レースにおける重心になりやすい)の距離が、残り400mで8馬身くらいもあり、そのために逃げ先行馬が残ったように見えます。また、2008年はテン3Fが36.2秒、3F~6Fが12.5以上となるスローペースにより逃げ馬や内を回った馬が好走しました。2009年は1・2番人気のBPRが逃げというイレギュラーな年でした。これらは展開予想で把握するしかないと考えます。

『展開』
 そこで、次に展開分析をしていきます。以下の資料をご覧ください。
【参考】「2015年皐月賞予想・展開分析資料」
→http://baryutensei.com/report/1504bt-satBPRdata.pdf

 元々、2009年の激流(ハイペースになり複数の先行馬が各自の能力からは考えられない失速をしてしまう展開)を受けて作成した資料です。少し修正をしましたし、読み方が難しいと思うのでご説明(復習)します。

 まず、左側には西暦、展開指数値があります。展開指数は一番右の数値をこちらにもコピーしているだけですので、後述します。「結果」には、ラップ、勝ち時計、前3F、後3F、前後差を表記しています。勝ち時計が1分59秒以下と速かった年に網掛けを、前3Fでは35.0秒以下と速い年に水色で、36.0秒以上と遅い年に薄橙色で網掛けを、後3Fでは4角二桁番手から3着以内に入った馬がいる年に網掛けをしています。また、前後差は前3Fと後3Fの差が-0.8秒以下の場合に水色、0.8秒以上の場合に薄橙色の網掛けをしています。

 続いて、その右の「BPR分析」に移ります。左から1~18と並んでいる数字は馬番であり、各年の出走馬のうち、BPR1馬(逃げ馬)に6~8点、BPR3馬(番手先行馬)に2~4点の配点をしています。この配点は資料の真ん中下「★BPR脚質分析について」で書いているルールに従っています。BPR1馬やBPR3馬は自身のベストパフォーマンスを出したレースで逃げ又は先行していた馬なので、本番でも同じ脚質を採る可能性が高く、展開を速めやすいと考えています。また、外枠のほうに掛け率を加えているのは、外に逃げ先行馬が揃った場合は、内の馬で先行したい馬は被されてしまう(外から前に入られると不可抗力的に位置取りが悪くなる)ことを恐れて、内の騎手たちに余計に前に行く動機が生まれることを考慮しています。

 「BPRが前走でなく、前走BPRと異なる位置取り(差し等)だった馬は配点を+2」というのは、例えばサニーブライアンやサンツェッペリンのように、差す競馬を試してみたけど駄目だったことで腹を括れた騎手が思いきって押し出していく可能性が高まることを考慮した配点です。

 右の「展開重心分析」では、1番人気馬と2番人気馬の脚質から流れを速くする可能性を配慮しています。例えば、人気馬が追込み馬であれば、他の有力馬の騎手がそれをマークするため、お互いに牽制して先行馬がそのまま残りやすくなりますし、反対に強い逃げ先行馬がいれば早い段階でそれを負かしに行く動きが発生するためペースは速くなる傾向があります。

 「中心馬分析」は、あまりにも1番人気の馬が抜けているようなケースでは、他の騎手が普通に戦っても勝てないと思い、奇策に出る可能性が高まると想定されることによる配点です。断然人気馬が追込み馬であれば、後ろが牽制しているうちに逃げ残れる可能性があるかもしれないと大逃げを打ったりしますし、断然人気馬が逃げ先行馬なら負かそうと絡んでいく場合もあります。

 それで、過去激流が発生していた1994、2009のポイントが高くなるようにバランシングしたものがこのツール。60ポイント以上は激流発生のリスクに注意が必要であり、薄青に網掛けをしています。

 また、展開指数が22以下かつBPR1馬が1頭以下の場合は、スローペースになるリスクが高まり、内先行馬と決め手のある馬が有利になりますので、桃色に網掛けをしています。この他に、BPR1馬が3頭以上いるレースでは展開が縦長になって有力馬の仕掛けが遅くなると届かないリスクが高くなるため、緑色に網掛けをしています。

 これによって、激流以外の展開による波乱(サニーブライアンらの前残り(メジロブライトが届かず)、セイウンスカイの逃げ切り(スペシャルウィークが届かず)、ノーリーズンの激走(タニノギムレット、ローマンエンパイアが届かず)、ダイワメジャー、メイショウボーラーの粘り(ブラックタイドが届かず)、メイショウサムソンら内枠馬の好走(アドマイヤムーン、フサイチジャンクが届かず)、ヴィクトリーとサンツェッペリンの前残り(アドマイヤオーラ、フサイチホウオーが届かず)、キャプテントゥーレの逃げ切り(ブラックシェルが届かず)、ウインフルブルームの粘り等)を事前に留意することができます。

 今年はBPR1馬1頭、BPR3馬5頭というメンバー構成で、展開指数はスローペースになりやすい20.4と低めの値になりました。逃げ馬のスピリッツミノルはスタートが速くありませんが、内枠に入ったので、この馬が逃げる形になると考えます。押して先頭に立ち、13秒台のラップを踏むようなスローペースに落とすタイプなので、まさにスローペースになるリスクは警戒しておくべきでしょう。縦長の隊列にはならなさそうで、かつ、レースを進んで動かしたいという馬(騎手)も見当たらないので、内先行馬有利かつ加速に重点に置いた末脚勝負を想定します。

 具体的な展開を考えてみます。下記は過去3走(左が近走)の各馬の発馬(ゲート出の良さ)と初速(二の脚の速さ)を5段階(◎、○、-、△、×)評価で表示したものです。先行していても明らかに位置を取りに行ったものは○にしていません。

【参考】過去3走の各馬の発馬と初速評価
1.ブライトエンブレム(田 辺)発馬△△△、初速×××
2.ドゥラメンテ   (Mデム)発馬-△△、初速○○○
3.スピリッツミノル (酒井学)発馬---、初速---
4.ワンダーアツレッタ(柴田大)発馬○○-、初速○○-
5.リアルスティール (福 永)発馬--○、初速---
6.タガノエスプレッソ(菱 田)発馬△△△、初速-△△
7.キタサンブラック (浜中俊)発馬-△-、初速○○-
8.サトノクラウン  (ルメー)発馬-△○、初速-△-
9.ミュゼエイリアン (柴 山)発馬-△-、初速○△-
10.ベルーフ     (戸 崎)発馬△△△、初速△×△
11.ダノンリバティ  (岩 田)発馬-△△、初速△○○
12.ベルラップ    (三 浦)発馬--△、初速--○
13.コメート     (嘉 藤)発馬-○○、初速○○○
14.クラリティスカイ (横山典)発馬---、初速-△-
15.ダノンプラチナ  (蛯 名)発馬---、初速○△-

 枠順も踏まえると、逃げるのはスピリッツミノル。2番手にワンダーアツレッタ、内にドゥラメンテ、その外にキタサンブラック、コメート。ここまでが先行集団となると考えます。さらに、中団の内にタガノエスプレッソ、その外にリアルスティール、サトノクラウン、ベルラップが追走。ダノンリバティ、ミュゼエイリアン、ダノンプラチナは騎手の判断によりますが、このあたりでしょうか。そして、後方にクラリティスカイ、ベルーフ、ブライトエンブレムと想定します。

『能力』
 今年も天星指数の算出を条件戦以上で続けており、参考として調整指数を公開します。

【参考】各馬指数(括弧書きは、今年に中山を走っており、その際の指数が、最高指数でない場合の中山での指数)
4月19日(日)中山11R 皐月賞 中山2000m 人気8<D〔γ〕>

1.ブライトエンブレム(ネオユニヴァース) 61.3
2.ドゥラメンテ(キングカメハメハ、SS) 61.7
3.スピリッツミノル(ディープスカイ) 56.4
4.ワンダーアツレッタ(エンパイアメーカー) 55.4
5.リアルスティール(ディープインパクト) 61.4
6.タガノエスプレッソ(ブラックタイド) 57.1
7.キタサンブラック(ブラックタイド) 58.5S
8.サトノクラウン(Marju) 60.9
9.ミュゼエイリアン(スクリーンヒーロー) 58.4
10.ベルーフ(ハービンジャー、SS) 59.1(58.8)
11.ダノンリバティ(キングカメハメハ) 59.9
12.ベルラップ(ハーツクライ) 58.8∵(52.1∵)
13.コメート(ブラックタイド) 58.5(54.3∵)
14.クラリティスカイ(クロフネ) 59.1↓(56.0∵)
15.ダノンプラチナ(ディープインパクト) 62.5↓(60.1)

※調整指数は、1800mのレースでの指数を-0.5、1600mのレースでの指数を-1.5をした値としています。

 能力では、ブライトエンブレム、ドゥラメンテ、リアルスティール、サトノクラウン、ダノンプラチナが上位となります(流石に最近は能力がしっかり把握されてしまうので、皆、人気上位ですね)。

『データアート』
 続いて、昨年以前まで、予想のメインツールとしていた「データアート」による分析を行います。過去23年の皐月賞の出馬表と結果を分析し、好走パターンについて『称号』を与え、凡走パターンについて「烙印」を付けて、そのバランス等を総合的に分析するといういわゆるデータ予想です。詳細についてはHP上に掲載しているリンクアドレスを紹介させて頂きますので、そちらを参照してください。

【参考】皐月賞「不死鳥データ」
→ http://baryutensei.com/31sats.htm 
(過去実演… http://baryutensei.com/32sats.htm)
 ※初見の方は、先にこちらをご覧頂くことを推奨します。

 最新版のデータアートに照らし合わせて『称号』と「烙印」の分布を出したものが以下となります。

【参考】各馬の称号・烙印分布(ここでの印はデータアートのみに基づくもの)
印 番 馬名        『称号』と「烙印」
△ 1 ブライトエンブレム 「末脚賭」
注 2 ドゥラメンテ    「過程疑」「末脚賭」「適性不」
  3 スピリッツミノル  「少連対」「先行失」
  4 ワンダーアツレッタ 「少連対」「記念挑」「阪若削」
△ 5 リアルスティール  「末脚賭」
  6 タガノエスプレッソ 「基礎格」「少連対」「末脚賭」
△ 7 キタサンブラック 
△ 8 サトノクラウン  
  9 ミュゼエイリアン  「基礎格」「少連対」「毎日削」
  10 ベルーフ      「末脚賭」
  11 ダノンリバティ   「基礎格」「少連対」「毎日削」
  12 ベルラップ     「距離不」「末脚賭」
  13 コメート      「基礎格」「少連対」「前大敗」「過去光」
  14 クラリティスカイ  「少連対」「末脚賭」「血統不」「過去光」
◎ 15 ダノンプラチナ   『★短実績』「距離不」「外枠難」

データアートにおいては、称号馬はダノンプラチナの1頭のみ。しかし、同馬は過去1頭しか馬券に絡んだことのない(1995年オートマチック。同じく『★短実績』を持ち、3着)距離不安の烙印も同時に持っています。また、称号も烙印もないキタサンブラック、サトノクラウン、内枠の軽減点馬ブライトエンブレム、リアルスティールにも△の印が打たれます。なお、3つの烙印がありつつ、軽度と思われる烙印であるドゥラメンテには注を打つべきと考えています。

『レース分析・アナログ&データによる各馬分析』
★弥生賞組
 今年の弥生賞は良馬場で行われ、デフォルト(やや内先行有利)の馬場バイアスで行われたと考えています。ラップは中盤に一旦遅くなったものの、残り5Fから2Fまで12.1秒以下のラップを継続しまして、通常の皐月賞の流れに近いペースだったと思います(ただし、前述のとおり、今年の皐月賞はスローペースリスクがあります)。

・サトノクラウン(ルメール)
 前走の弥生賞は2番人気で優勝しています。ここ数年、ご紹介していますが、過去23年(激流年を除く)の弥生賞馬中、本番馬券に絡んだ11頭中10頭は弥生賞を2番人気以内で勝利しています。具体的には、2番人気以内は(3.3.4.3.0.1)、3番人気以降は(0.0.1.2.0.3))。なお、馬券に絡んだ11頭全てが、当日3番人気(1頭を除けば2番人気)以内に支持されていたことも付け加えると、無敗かつ重賞2勝で1番人気に推されそうなサトノクラウンの4着以内は堅いと思われます。
 なお、弥生賞(2番人気以内)から皐月賞の連勝が、ハイセイコー、カブラヤオー、ミスターシービー、シンボリルドルフ、アグネスタキオン、ディープインパクト、ヴィクトワールピサといった歴史的な名馬にしか成し遂げられていないので、勝ちのみを想定した馬券の絞り方はできません(調整指数60.9はメンバー中5位と抜けてもいません)。
 不安材料としては父Marju。その父がラストタイクーンなのでND系ですが、ここ10年の皐月賞において、父ND系の馬が馬券に絡んだのはメイショウサムソン、サンツェッペリン、ロゴタイプの3頭だけ。
 皐月賞はSS系の活躍が目立ち、過去10年の馬券圏内馬30頭中25頭にSS系が入っています(うち父系に入っているのが19頭)。SS系が入らなかった好走馬は、ND系のメイショウサムソン、サンツェッペリン、MP系のエイシンフラッシュ、RO系のヴィクトリー、マイネルチャールズしかいないというのがマイナスデータになります。総括すれば、3,4着が妥当な気がしてきますが、どうでしょうか。

・ブライトエンブレム(田辺)「末脚賭」
 2歳時にハイレベルの札幌2歳Sを制した馬です。休み明けで臨んだ朝日杯では指数を下げて7着に敗れましたが、ネオユニヴァース産駒なので距離短縮も良くなかったと思われ、弥生賞での巻き返しは想定できたもの。4角では大外を追い上げた結果、指数はサトノクラウンよりも高い61.3をマークしています。
 しかしながら、弥生賞自体が残り5Fからラップが速くなったレースであり、スローペースが想定される今年は、好走が難しいように思います。鞍上は位置を取れるとも言っているのですが、過去のレースぶりを見ると難しいですし、加速勝負は合いません。
 なお、過去23年で、4角の位置取りが二桁番手から馬券圏に入ったのは13頭しかおらず、展開指数セルが桃色に網掛けされている(スロー想定の)年では、レベルの低かった2000年のチタニックオーしか馬券圏内に入った例がありません。

・タガノエスプレッソ(菱田)「基礎格」「少連対」「末脚賭」
 弥生賞は2番枠から出て最内の後方で脚を溜め、直線でうまく捌けたロスの少ない騎乗でぎりぎりの3着。能力的にはここまでが限界と思える内容でした。データアートでも、昨年ワンアンドオンリーも覆せなかった強力な「基礎格」に該当しており、軽視妥当と思います。
 デイリー杯では3角3番手と先行しているかのようですが過去のレースぶりを見ると先行センスはほぼないので、好枠でも中団に下がるでしょうし、そこからの追い比べで抜けてくるイメージはありません。

・クラリティスカイ(横山典)「少連対」「末脚賭」「血統不」「過去光」
 2歳時にはいちょうS勝ちや朝日杯3着などの実績を持ちますが、初距離の弥生賞で、内で脚を温存していたものの伸びきれず。クロフネ産駒の牡馬クラシック挑戦というと、フサイチリシャールやブラックシェル等がいますが、いずれも皐月賞では人気以下の敗北を喫しています。同産駒の2009年以降の活躍馬はホエールキャプチャ、クロフネサプライズ、インパルスヒーローなど、マイルくらいを得意とする馬ですし、軽視で良いと思います。

・コメート(嘉藤)「基礎格」「少連対」「前大敗」「過去光」
 ホープフルSの2着賞金が効いてクラシック出走に漕ぎ着けましたが、同条件の弥生賞で凡走してしまい、そもそものホープフルSのレースレベルに疑問が生じています。「基礎格」を加え、データアートの「前大敗」も特に好走例の少ない項目であり、軽視妥当と思います。

・ベルラップ(三浦)「基礎格」「少連対」「前大敗」「過去光」
 条件戦以上で馬券に絡んだレースは黄菊賞と京都2歳Sの勝利ですが、どちらも京都であり、中盤スローペースで上がりの速い競馬でした。加速勝負なら条件は弥生賞より向くのでしょうが、それでもドリームパスポートのような強烈さが感じられず、止まるのも早いように見えます。中山を使っていて6着以下しか実績がない馬は過去に来たことがなく、更に阪神のOPクラスでの馬券圏もないので適性が怪しいですし、枠も外を引いてしまったので軽視で良いと思っています。

★スプリングS組
 今年のスプリングSは良馬場で行われ、デフォルトの馬場バイアスで行われました。ラップはスローペース(中弛みの判定には少し足らず)。4F目で13秒台まで落ちながら、ラスト4Fから12.0秒と加速、ラスト3Fは11.8-11.2-11.5となり、キタサンブラックが逃げ切りました。前有利だったと考えて良いと思います。

・キタサンブラック(浜中)
 スプリングSでは最内枠から出て、1角前まで逃げを主張するようにジワっと行きましたが、タケデンタイガーに譲って2番手で折り合いました。残り900mくらいからダノンメジャーが外から来たので一緒に先頭に並びかけていき、このためにラップが速くなっています。展開を自ら動かして速い上がりに対応しているのは評価できますが、スローペースの利があったのも事実。母父サクラバクシンオーというのも気になり、距離延長は条件悪化と考えます。上がり実績が2位まで(しかも新馬戦)というのも貧弱な印象で、今回想定している先行集団の1頭という程度の位置からの末脚比べで残れるとは思えません。
 無敗のスプリングS優勝馬の皐月賞挑戦はミホノブルボン以来。更に今年は無敗の弥生賞馬もいるわけで豪華なメンバーのはずですが、両馬とも主流種牡馬の産駒でなく、1番人気経験が1度もありません。
 同馬は現状のデータアートでは称号も烙印もありませんが、次のデータ(の種)に該当しています。「前4走中、前走又は前々走の重賞(1月以前のレース及び毎日杯を除く)で芝1600m以上レースの3勝(以上)目をあげている馬は、当時の人気が1番人気なら(6.5.3.2.0.2)。2番人気なら(2.1.4.0.1.3)。3番人気以下なら(0.0.0.2.1.7)」。5番人気だったので、消えるパターンに該当しています。
 これらから、キタサンブラックはデータアートをクリアし、指数・展開予測的にぎりぎり通用できる馬でありつつ、軽くおさえるかどうかという程度に評価するのが妥当と思われます。

・リアルスティール(福永)「末脚賭」
 前走は中団に控えて、スローペースのせいで末脚を余す形となりました。見た目通り、負けて強しの内容であり、中山も問題ありませんでしたので、皐月賞でも勝ち負けに加わる能力があるでしょう。
 内枠を引き、この馬の初速も遅くはないので、極端な後方待機になることはないと思いますが、福永騎手は当然、次のダービーを想定しての乗り方をしてくるでしょうから、折り合いを重視し、仕掛けもどちらかと言うと遅くなるのではないかと思います。
 その場合、想定されるスローペースの展開では、スプリングSの再現となり、前を捕まえきれず、またもや負けて強しの競馬になるおそれはあるように思います。

・ダノンプラチナ(蛯名)『短実績』「距離不」「外枠難」
 スプリングSでは先行しました。勝負所での手応えはとても良く、残り200mくらいまで追われていません。キタサンブラックを捕えきれず、リアルスティールに交わされてしまいましたが、スローペースで上がりの勝負になった決め手の差と、休み明けの分と考えます。
 この世代の朝日杯FSは阪神マイルという能力重視のコースで行われ、デフォルトバイアスで大外を回らされるロスを被りながらも余力を感じさせる差し切り。元々、少なくとも皐月賞までは中心と考えていましたから、ここは当時の感覚を重視したいところ。
 ただし、データアートで気になるのが距離不安データ「距離不」と、外枠不利データ「外枠難」。距離不安のほうは、過去の該当馬で朝日杯を勝っている馬では、コスモサンビームとマイネルレコルトがともに4着しており、両馬とも称号はなくてこの結果でしたから、充分馬券に絡める程度のマイナスデータかと思いますが、大外枠については、仕掛けなければ中団から後方に下がるおそれもあり、道中の脚の使い方によって加速勝負で後れを取る可能性も出てきてしまったように思います。

・ベルーフ(戸崎)「末脚賭」
 スプリングSではスタートを普通に出つつ、最内の後方で待機、3~4角で差を詰めていって前を射程に入れて直線を向きましたが、加速の末脚の差で伸び負けた感じでした。父ハービンジャーは坂を苦手とするイメージがあります(中山芝の複勝回収率は53%)が、この馬は京成杯勝ちの実績がありますので、その点は気にしません。
 しかし、この馬の先行センスの悪さから、後方からの競馬になると想定され、展開はスローに傾く可能性が大きいことを思えば、ブライトエンブレムの記事で書いたような展開リスクが重くのしかかっており、加速勝負が求められるだろう今回は厳しいと考えます。

★若葉S組
 今年の若葉Sは良馬場で行われ、デフォルト程度の馬場バイアスで行われました。ラップは昨年に続き中弛みのミドルペースでした。中弛みのミドルペースでの好走馬は嵌っている可能性が高く、昨年もウインフルブルームを軽視する結果につながりましたし、このレースでの指数は参考とせず、前々走の指数を参照します。

・ワンダーアツレッタ(柴田大)「少連対」「記念挑」「阪若削」
 若葉Sでは自らテン2Fの10.9を踏みながら、その後レガッタを行かせて2番手を追走、直線では大いに粘って、アダムスブリッジとポルトドートウィユの追撃を振り切って2着を死守しました。ここ2走は馬の行きっぷりが良く、スムーズに先行できるようになっています。能力が足りず、上がりも2位までの実績しかないので間違いなく勝ち負けには加われないでしょうが、この馬の出方でテンの速さが変わるでしょう。一か八かを狙うなら、逃げて縦長の展開を作る以外にないでしょうが、綺麗に乗るなら2番手ですね。

★その他の臨戦馬
・ドゥラメンテ(Mデムーロ)「過程疑」「末脚賭」「適性不」
 毎回中団までで競馬をしながら、前4走とも上がり最速。前走の共同通信杯では、道中に掛かってしまったロスがありながら、直線で一旦は先頭に立ち、リアルスティールと僅差の勝負を演じました。
 引っ掛かったことで、気性が悪い、力を発揮できるかわからないといったマイナスイメージを持たれているように思いますが、この馬は発馬が悪い一方でスタート後の二の脚が速いため、騎手が無理に抑えようとすると馬の機嫌を損なうことになるのでしょう。
 差し馬というイメージがあると思いますが、当方が見るにこの馬は先行馬であって、デムーロ騎手ならその特徴をしっかり掴んで先行するのではないかと思います。スロー想定で内を先行でき末脚もある。走法的に中山が駄目というタイプでもないので、本線で買って良いと思います。
 なお、データアートでは、マイナスデータがいくつかありますが、ローテーション不安については、連対率100%の馬なので改正も見込めますし、差し脚質については、2角5番手以内だった馬を除けば済むだけですし、適性不安のデータはまだ作って間もなく、昨年早速イスラボニータに破られていますので重視していません。
 また、重賞経験1戦以内馬で過去23年に馬券に絡んだ馬は、A.前5走の連対率が8割、B.前5走の複勝率が10割、C.重賞勝ち馬、D.キャリア4戦以内であれば4着以下は0.9秒差以内の1回まで可、のいずれかを満たしているというデータがありますが、同馬はクリアしています。

・ミュゼエイリアン(柴山)「基礎格」「少連対」「毎日削」
・ダノンリバティ(岩田)「基礎格」「少連対」「毎日削」
 両馬は毎日杯連対からの臨戦です。指数は通用してもおかしくない値ですが、データアートで複数の烙印が付いていること、展開的に恵まれると思えないことから、基本的には軽視してよいかと考えています。
 毎日杯からの臨戦で馬券に絡んだ馬は、過去23年で2頭のみ。1993年のシクレノンシェリフは2戦2勝での臨戦で、ガレオン降着による繰り上がりの3着。1999年のテイエムオペラオーは毎日杯を0.7秒差の楽勝、芝連対率は100%でした。毎日杯3着以内からの臨戦馬を集計してみると(1.0.1.1.2.19)、1800mに変わってからの馬券圏内馬はゼロです。指数的には通用できたはずと思う馬には、チアズシュタルク、ローゼンクロイツ、インテレット、ナムラマース、ステファノスなどがいますが、ステファノスの5着が最高です。年明け4戦以上使ってきた使い詰めの馬も中にはいますが、それだけで説明できず、毎日杯からのローテーションは相性が悪いとしか言いようがないように思っています。
 ただし、桜花賞を勝ってノっている岩田騎手は皐月賞を得意としており、調整指数も6位と高めのダノンリバティはおさえ候補にしてもいいかもしれません。

・スピリッツミノル(酒井)「少連対」「先行失」
 過去23年の皐月賞において、すみれSの勝ち馬は4着(1998年エモシオン4番人気)が最高で、その他9頭はいずれも6着以下に惨敗しています。OP戦の2200mからG1の2000mに変わることで、道中の流れが厳しくなり、底力が求められるため、対応が厳しくなるのではないでしょうか。エモシオンは1200mを先行して勝ち上がり、1700mのつわぶき賞でミドルペースを先行して0.6差の圧勝をするなど、1800m未満の距離で速い流れに乗って好走するという実績を積んでいました。
 他方、4番人気で9着に敗れたアタラクシアなどは1800m未満の距離を使っていないどころか、中距離のレースでも前3Fが後3Fより1.5秒以上も遅いようなスローペースのレースばかりを使っていました。スピリッツミノルは中距離以上を使い、展開も(中弛み)スローペースのレースばかり使っているため、好走できないパターンと考えられます。

『まとめ』
◎ドゥラメンテ(デムーロ騎手の腕次第だが、前で折り合えば優勝できる器)
○ダノンプラチナ(最後まで本命にするか迷ったが、大外枠はやはり気になる)
▲サトノクラウン(ルメール騎手なら、ある程度前に付けて上位期待)
△リアルスティール(ダービーを意識して、負けて強しの内容になりそう)
注キタサンブラック(多少縦長になって、前にいる展開なら残れるかも)
注ダノンリバティ(指数が高めなのと、岩田騎手の腕でミラクルも)

 参考になる部分があれば、拍手を頂ければありがたいです。


tipmonaとは?

皐月賞2015回顧
指数上位馬での決着

スカイポット
14期 予想歴18年

次走狙い:リアルスティール
次走危険:ブライトエンブレム


 昨日の皐月賞は良馬場で行われましたが、正午から3時頃まで降雨があり、少し馬場が重くなったと思われるところ、昨日までの高速馬場は継続していて、1分58秒2の好時計決着となりました。◎→△→注での決着でしたから、予想としてはうまくいったほうかなと思います。

 ただし、今回の目玉であった展開分析データと比較すると、クラリティスカイが逃げる形となったことで、思った以上にレースが流れました。それでも、テン3Fと上がり3Fの差は、35.2-34.7=0.5と、実質面ではややスローと想定内の範囲。上がりの強力な馬たちが基本上位に来ています。

 キタサンブラックは流れた展開で2番手にいたのが大きいですね。これは注を打った際にその可能性を指摘していました。

 ドゥラメンテとリアルスティールの連対馬は指数62.5、61.4と高いパフォーマンスを発揮し、ダービーに向けても良い内容のレースだったと思います。ドゥラメンテはまさかの最後方からの競馬で、一時はダメかと思いましたが、流石はデムーロ騎手ですね。

 サトノクラウンはドゥラメンテにぶつけられる不利がありましたが、伸びきれませんでした。SS系を持たないという弱点で後退、ダービーはデータ上、SS系の血統優位が増しますので、逆転は難しいかなという印象です(過去、弥生賞とダービーの関連性は強いのですが)。

 ダノンプラチナは、勝負所でドゥラメンテの斜行に進路を阻まれた不利がありましたが、それでももう少し頑張ってほしかったですね。これで、割り切ってNHKマイルCに向かうことになるでしょうが、調子も悪い可能性があり、上位の1頭として扱いたいですね。NHKマイルCに出てくるかもしれないレッツゴードンキとの持ち指数差は1程度しかありませんし。

 狙い馬は、思ったより先行してくれたので、ダービーでも後方に置かれないと見てリアルスティール。危険馬は、今度は前への意識が薄くなりそうなブライトエンブレム。


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