宝塚記念2020予想
ミヤさんの理想と終着点

夏影
14期 予想歴37年

◎グローリーヴェイズ
  17着/5人気

○モズベッロ3着/12人
▲クロノジェネシス1着/2人
△スティッフェリオ11着/8人


-バイオリズムの重要性-

リスグラシュー(5歳)  2歳12月(阪神JF)
ミッキーロケット(5歳) 4歳1月(日経新春杯)
サトノクラウン(5歳)  4歳12月(香港ヴァーズ)
マリアライト(5歳)   4歳11月(エリザベス女王杯)
ラブリーデイ(5歳)   5歳2月(京都記念)

上記は過去5年の勝馬と、初めてG1連対したレース。
宝塚記念以前にG1連対実績の無い馬に関しては、1着になった最高の格付けのレースを記している。

これを見ると過去5年の勝馬は全て5歳で、リスグラシュー以外は4歳以降に最高のパフォーマンスを見せた馬だという事が解る。
つまりが、古馬になってピークを迎えた馬が圧倒的に強いという傾向を見せている。

バイオリズムの重要性というのは、何も宝塚記念に限った事ではない。
ダービーにしても同じ事。
ダービーの場合は、バイオリズムのピークを早めに持ってくる必要がある。
近年のダービー馬は、そういう理由から早熟型のアメリカ血統を持つ馬が圧倒的に多くなっている。

-海外のチャンピオンディスタンスとの互換性-

2010年 ナカヤマフェスタ→凱旋門賞2着
2012年 オルフェーヴル →凱旋門賞2着
2017年 サトノクラウン →香港ヴァーズ
2018年 ワーザー(2着馬) →香港チャンピオン&チャターC
2019年 リスグラシュー →香港ヴァーズ2着

上記が示す通り、宝塚記念の勝馬は海外のチャンピオンディスタンス(2400㍍)のレースに滅法強い。
ナカヤマフェスタは、このレースを優勝後に凱旋門を2着。
サトノクラウンは、香港ヴァーズを優勝後にこのレースを勝っている。
欧州は力勝負の競馬が主流で、どうしてもロングスパートの競馬になりやすい。
沙田競馬場の2400㍍も3角の下りを使ってのロングスパートとなりつつレース終盤の激しい攻防が繰り広げられ、やはり力の持続力が求められる。

宝塚記念の勝馬の上がりタイムを見てみると、過去最高がドリームジャーニーの34.3が最速。
大半が35秒超で、スピードやキレは全く意味が無く、いかに後半の力の持続が重要となっているかがうかがえる。

-ミヤさんの理想と終着点-

オーナーブリーダーだった北野豊吉氏は、メジロアサマ産駒による天皇賞制覇に執念を燃やしていた。
メジロアサマは、1971年に感染した馬インフルエンザの治療の際に使用した抗生物質の副作用により、生殖機能が低下。
初年度の種付け全てが受胎せずに終わる。
そんな危機状況だったが、豊吉氏の執念の炎は衰える事はなかった。
獣医だけではなく産婦人科医などにも診療に当たらせて様々な治療を試み、大金を積んで海外から優秀な繁殖牝馬を輸入した。
その甲斐あり、メジロアサマは生涯21頭の産駒誕生させ、うち19頭を競走馬としてデビューさせる。
1978年に誕生した4頭の内、海外から輸入したシェリルとの間に生まれたのがメジロティターン。
1982年に、豊吉氏はこの馬で念願の天皇賞制覇を果たす。

メジロティターンによる天皇賞制覇の2年後、豊吉氏は永遠の眠りについた。
妻であるミヤさんは、馬産と馬主、建設業を引き継ぐ事となる。
そして、一つの遺言が言い渡されていた。

「メジロティターンの仔による天皇賞制覇…」

豊吉氏の死から3年後の1987年、メジロ所有馬3頭の傑作が誕生する。
アンバーシャダイ産駒のメジロライアン、メジロイーグル産駒のメジロパーマー、そしてメジロティターン産駒のメジロマックイーンである。
豊吉氏の遺言は、このメジロマックイーンによって果たされる事となった。
天皇賞制覇を理想とした馬産が追究された結果3頭の傑作に辿り着いたのだが、この3頭で正解を導き出せたのはマックイーン1頭のみ。
そして3頭が導き出したもう1つの "副産物的な答" というものがある…それが、「宝塚記念」である。
同一馬主、同年度産駒による宝塚記念3連覇という偉業を成し遂げた。

天皇賞制覇を理想とする馬産を進めると、おそらく途中に宝塚記念という通過点が存在するという事なのだろう。
メジロライアンは引退後、メジロブライトを排出し、天皇賞(春)制覇をもたらした事実からも、そのように思えてならない。

2000年に入り、有珠山の噴火の被害に加え、スタミナ主流だった昭和時代の競馬から徐々にスピード化が進み、メジロスタイルの馬産は時代遅れとなっていった。
生産馬、所有馬の業績が悪化により、2011年に、メジロ商事、メジロ牧場は競馬界から撤退。
現在メジロの所有馬や牧場は、レイクヴィラファームに売却され、引き継がれている。

-にわか仕込みと本仕込み-

今週たまたま亀谷敬正氏の動画を見る機会があり、その中で「主流」て「非主流」言葉が出ていた。
「主流」とは、現在のクラッシックの主流となっている血統、つまり "ディープインパクト × アメリカン血統" のような血統である。

しかし、この考えからちょっとズレた視点で、「主流」、「非主流」を考える事も出来よう。
それは、「にわか仕込み」と「本仕込み」という見方である。
「にわか仕込み」とは、ダービーに合わせる為に、早い成長因子とスピードを無理矢理付加させた馬づくりを指し、「本仕込み」とは、馬主のニーズではなく、1つのコンセプトに基づいた生産から馬本来の成長に合わせた育成までを指す。

今の主流は「にわか仕込み」であり、「本仕込み」は非主流と言える。
メジロスタイルの馬づくりは、明らかな本仕込み。
現代競馬において非主流であるが故に、活躍の場を失ったと言えよう。

-結論-

何が言いたかったかと言えば、メジロの馬は全て「天皇賞制覇する為の馬つくり」というコンセプトを元に作られており、血統は違えど共通した方向性を持った馬になって当然という考え方である。
それがライアンであり、パーマーであり、マックイーンの宝塚記念制覇である。
更に母父にメジロマックイーンを持ったドリームジャーニー、オルフェーヴル、ゴールドシップも全て宝塚記念を制している。
メジロ血統の傑作は宝塚記念に通ずる…という事で、この馬に注目したい。

◎グローリーヴェイズ

父ディープインパクト ×母父スウェプトオーヴァーボード

一見すると、現代競馬の主流っぽい配合にみえるが、本質はボトムにあるのがこの馬。
「メジロ」を引き継いだ、レイクヴィラファームの生産馬。
母メジロツボネ→母母メジロルバート→母母母メジロラモーヌ(牝馬3冠)→母母母母メジロヒリュウ…とメジロの結晶とも言える。
ダービーに間に合わなかった成長過程、連対を果たしたG1レースが天皇賞(春)だったというのは、明らかに現代競馬の主流とはかけ離れた経歴で、メジロイズム継承した馬の証。
土台はメジロで、「スウェプトオーヴァーボード→ディープインパクト」と2代を費やし不足していたスピードを付加させて、「現代競馬版メジロ」を実現させたのが同馬。
昨年の天皇賞(春)でG1レース3勝馬とガチで叩き合い、3着以下を1秒突き放したあたり、これがこの馬の実力と見て良いだろう。
半年後の香港ヴァーズで見事G1奪取。
内外を回った差があったにせよ、ラッキーライラックに付けた0.6秒差は絶対的な着差。
メジロのコンセプトを継いだ傑作ゆえ、メジロの傑作馬と同じ結果を期待したい。

○モズベッロ

この馬のベストパフォーマンスは今年の日経新春杯で、つい最近の出来事。
続く日経賞も連対を果たし、明らかにバイオリズムの上昇を感じられる1頭。
距離短縮に比較的揉まれにくい枠に入った事も良いだろう。
巻き返しに期待してみたい。

▲クロノジェネシス

速い上がりの競馬に対応は出来るが、前走やエリザベス女王杯は明らかなキレ負け。
京都記念や秋華賞のように、上がりの掛かる競馬の方が向く。
輪郭のぼんやりとしたバイオリズムで、主流血統にありがちな急激な調子落ちはなく、このタイミングでは切りにくいが、上記2頭ほどの勢いも感じられない。

△ステイフェリオ
△サートゥルナーリア
△ラッキーライラック

(後日変更の可能性あり)


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