皐月賞2023予想
タブーを犯すからにはそれなりの理由がある

夏影
14期 予想歴40年

◎トップナイフ
  7着/9人気

○ファントムシーフ3着/1人
▲ダノンタッチダウン18着/10人
△ホウオウビスケッツ17着/7人
×ソールオリエンス
×ベラジオオペラ


「何故キャリア8戦、前走馬体10kg減の馬を評価するのか?」

 実はキャリア6戦以上の皐月賞馬というのは、昔は当たり前のように存在していた。1990年代では半数の5頭を占めている。
 下記は、キャリア6戦以上の皐月賞優勝馬と生産者である。

1990年 ハクタイセイ    9戦 土田農場
1993年 ナリタタイシン   8戦 川上悦夫氏
1994年 ナリタブライアン  9戦 早田牧場
1996年 イシノサンデー   6戦 服部和則氏
1997年 サニーブライアン  8戦 村下ファーム
2006年 メイショウサムソン 9戦 林孝輝氏
2008年 キャプテントゥーレ 6戦 社台ファーム
2011年 オルフェーヴル   6戦 社台白老F
2013年 ロゴタイプ     7戦 社台ファーム

 しかし、ロゴタイプの優勝を最後に、ここ9年は5戦までの少キャリア馬しか優勝馬は出ていない。
 そして、しっかり認識しておかなければならない事は、「ノーザンファーム管理馬の活躍」との関係である。

2014年 イスラボニータ   5戦 社台白老F
2015年 ドゥラメンテ    4戦 ノーザンF
2016年 ディーマジェスティ 5戦 服部牧場
2017年 アルアイン     4戦 ノーザンF
2018年 エポカドーロ    4戦 田上徹氏
2019年 サートゥルナーリア 3戦 ノーザンF
2020年 コントレイル    3戦 ノースヒルズ
2021年 エフフォーリア   3戦 ノーザンF
2022年 ジオグリフ     4戦 ノーザンF

 効率の良い生産、効率良くスピード馬を育成するシステムが整っているノーザンファームの管理馬には、実はデメリットがある。
 それは、「疲労に対する耐久性の無さ」と「競走馬寿命が短い」事である。
 ここ9年の皐月賞勝馬で、古馬になっても活躍を継続出来たのはコントレイルとアルアインのみ。ちなみに、三冠馬コントレイルはノーザンファームではなくノースヒルズの管理馬である。
 クラッシックを意識し過ぎた管理により、若駒時からかなり馬に負担を掛けている事への代償だろう、使い込みに脆さがあり、寿命も短い。
 甲子園を目指して頑張り過ぎた高校球児が、片や肘を痛めてプロ入りを断念するのと、同じ類いのものだと考える。

 キャリア8戦、前走10kgの馬体減…最新システムで管理されている主流タイプの馬として考えるならば、疲労を蓄積した馬と捉えてタブー視するところ。
 だが、トップナイフは杵臼牧場の生産馬であり、これまで外厩ではなく、ずっと昆貢厩舎で管理されてきた。血統面だけでなく、育成面でも非主流なのである。
 勝ち上がりに3戦を要したように、効率は一切無視した育成により、キャリアを積みながら実力つけている事からも、この馬を「1990年代の馬」という認識で捉えている。
 この馬が、メイショウサムソンやナリタブライアンだと考えれば、実績を評価して重い印を打てるはずである。

「馬場読み」

 下記は、ここ2週に行われたセカンドクラスによる中山芝2000㍍のレースの時計を詳細に記したもの。共に良馬場開催である。

・4/2美浦S(3勝)  …1.59.7
前半60.8(12.5-11.9-12.6-11.8-12.0)
後半58.9(11.4-11.7-11.7-12.0-12.1)
上がり(レース)…35.8
   (最速) …33.8(3着馬)

・4/9鹿野山特別(2勝)…1.59.7
前半59.8(12.7-10.8-12.2-11.7-12.4)
後半59.9(12.0-11.9-12.0-12.0-12.0)
上がり(レース)…36.0
   (最速) …35.0

 印象としては時計が掛かり、尚且つ上がりも掛かっている印象。
 下記は上記2レースの勝馬と、人気以上のパフォーマンス
を見せた馬。
 2角→3角→4角の通過順(上がり)、血統を記してみた。

美浦S
1着馬 テーオーシリウス(1人気1着) 1→1→1(35.8)
    父ジャスタウェイ
    母父シンボリクリスエス
激走馬 エンペザー(6人気2着)    2→2→2(34.7)
    父ロードカナロア
    母父シンボリクリスエス

鹿野山特別
1着馬 キングズパレス(1人気1着)  6→6→5(35.0)
    父キングカメハメハ
    母父ドバウィ
激走馬 リリーブライト(10人気)    6→6→7(35.7)
    父ハーツクライ
    母父アメリカンポスト

 先週日曜日の時点で4角の内がかなり荒れていた。ただ、直線の内は比較的良いらしく、先週、今週と4角で外に回り直線では内側に切れ込むシーンを見かける。
 午前中に雨は一旦止み晴れ間が顔を覗かせるが、午後からまた雨が降る予報。
 基本は外差し。ただ美浦Sが示すように、矯めて弾けるタイプでは追って届かず、前向きさがあり、しっかり流れに乗って力で差してくるタイプが良いだろう。
 結構体力消耗のキツい馬場のようなので、「先行→差し」といった体力補完があると良い。
 有力馬の中には先行脚質タイプが多く、そういった馬の中では、何らかの理由で位置取りを下げた経験が、今回のような環境でモノを言う。

「結論」

 結局、経験値ずば抜けてる実績馬3頭を評価。
 トップナイフ、ダノンタッチダウンの人気の低さはあまりに異常。なら、思いっ切り攻めてみたい。

◎トップナイフ

(血統)
父デクラレーションオブウォー
母父スピニングワールド

(オプション)
「先行→差し」位置取りショック、多頭数、「G2→G1」格上げ。

 前走、あのペースでハナに立たなかったという事は、今回も同じリズムで走らせて来る可能性が大だという事。
 今回体感ペースが上がれば自ずと位置取りは下がり、体力補完が成立。京都2歳S時のような差し競馬に期待したい。

 父デクラレーションオブウォーからアメリカ的な前向きさとパワー、母からヨーロッパ的なパワー&スタミナとタフさをうまく受け継いでいる。
 サンデーサイレンスの血を一切持たず非主流要素の強いタイプだけに、根幹距離G1では微妙に勝ち切れなかった。
 逆を言えば、当然馬場悪化で非主流要素が問われれば、それ以上のパフォーマンスに期待せざるを得ないという事でもある。
 母母母は偉大なる名馬テイエムオペラオーの母ワンスウエド。
 父は世界的に勢力を伸ばしているウォーフロントの産駒。
 軽種牡馬協会の種馬で、ノーザンファームの優秀な繁殖の力を借りる事なく、初年度から多数の産駒が勝ち上がり、重賞ウイナーまで輩出している。
 血統背景申し分なく、実績も申し分なく、ここまで穴にするのも。

○ファントムシーフ

(血統)
父ハービンジャー
母父メダグリアドーロ

(オプション)
「2000→1800→2000㍍」バウンド距離延長

(解説)
 こちらも完全なる非サンデー系。ヨーロッパ色+アメリカンステイヤー色で構成された非主流タイプ。
 ヨーロッパ型ノーザンダンサー系の血がメインになって構成されており、今回のようなイギリス的なタフさが求められる環境で、かなり面白い存在となりそう。

 特に評価出来るのは2走前で、根幹距離G1で位置取りを悪くしながらも、0.2秒差の2着と力のあるところを証明したし、厳しい競馬を目の当たりにし、良い経験を得た。
 今回は道悪で非主流色が問われようものなら、パフォーマンスアップを期待して良い。
 人気馬の中では一番好感の持てる経歴を持つ、さり気なく良いオプションを持っている。
 ホープフルS以上の結果に期待したい。

▲ダノンタッチダウン

(血統)
父ロードカナロア
母父ダンシリ

(オプション)
休み明け、「1600→2000㍍」距離延長、「差し→先行」位置取りショック、生涯初の中距離戦。

(解説)
 この馬も非サンデー系で、しかも馬格もある。
 サンデー系の半兄ダノンザキッドですら、主流路線を諦めマイルの道を選んだ。
 この馬なら、さらに非主流色に特化しているものと考えたい。

 この馬格でデインヒルの血を保有するのであれば、やはりパワーと気の良さを生かしたいところ。
 馬場悪化、体力充填後のペース緩化ステップであるなら、逆に「差し→先行」位置取りショック面白い。
 非常に異端性強く注目している。

△ホウオウビスケッツ

(血統)
父マインドユアビスケッツ
母父ルーラーシップ

(オプション)
 「先行→差し」位置取りショック、「2000→1800→2000」バウンド距離延長、生涯初のG1挑戦。
 
(解説)
 父から前向きさとパワーを継ぎ、母からスタミナ面をカバー。やはり非主流色の強い血統背景。

 「前走逃げられなかった逃げ馬」という事で今回逃げて面白そうな馬だが、「格上げ」+タッチウッドやグラニットとの兼ね合いもあり。前走は内容的には一番強い競馬をしており、ちょっと「頑張り過ぎ」た感あり。父方は反動が出やすい血だけに、レース間隔開けば良かったが。 

△タスティエーラ

(血統)
父サトノクラウン
母父マンハッタンカフェ

(オプション)
生涯初のG1挑戦。

(解説)
 一連の経歴を評価。前々走は絶妙なスタートを切りながら、鞍上が無理矢理押さえ込み、ポジションを下げさせた。
 非主流色の強いこの馬が矯めて弾ける訳もなく、結果馬群から抜け出せず終い。鞍上のアホさのお陰で、「苦」的要素を味わう良い経験となった。
 前走は、その苦的要素から解放されたタイミングで激走当然も、「G3→G2」格上げでのパフォーマンスアップでそれなりに評価出来る。
 厳しい流れの経験は無いが、道悪ならば…

「他人気馬評価」

✕ソールオリエンス

 内枠を引き、馬場の良い部分を選んで走れない不利がありそうで。

✕ベラジオオペラ

 モチベーションの高さは評価するが、前走の位置取りショックで手札が無くなった感。
 前走は鮮やか過ぎた感あり、位置取りショックによる体力補完効果がかなり強かった印象。疲労あるし、前走以上のパフォーマンスを期待するのはどうか?

 タッチウッド

 前走は出遅れるも、気持ち良く外から捲れた印象で「苦」的要素少なく極限問われて果たして?
 前向きさは認めるが…


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