NHKマイルC2024予想
穴狙いなら、キャリアを積んで実力を上げて来た泥臭いタイプ

夏影
14期 予想歴41年

◎アレンジャー
  14着/15人気

○ノーブルロジャー12着/7人
▲ジャンタルマンタル1着/2人
△チャンネルトンネル6着/12人


 下記は近年の勝馬とその戦歴、年明けからの出走数、前走である。

2023年 シャンパンカラー
     4戦2勝(2,0,1,1)
     年明け2戦
     NZT3着

2022年 ダノンスコーピオン
     5戦3勝(3,0,1,1)
     年明け2戦
     アーリントンC1着

2021年 シュネルマイスター
     3戦2勝(2,1,0,0)
     年明け1戦
     弥生賞2着

2020年 ラウダシオン
     6戦3勝(3,1,1,1)
     年明け2戦
     ファルコンS2着

2019年 アドマイヤマーズ
     6戦4勝(4,1,0,1)
     年明け2戦
     皐月賞

 中距離を走る牡馬クラッシックとは違い、マイル路線はレース1走毎の体力消耗が低い。ぶっつけ本番や、休養明けを一叩きではなく、年明けを2戦以上使って、きっちり臨戦モードに入っている事が必須条件となっている。
 更には、フレッシュさや、エリート性とも無関係なレースで、キャリアの多さは決してネックになっていない。逆にキャリア豊富な泥臭いタイプの勝馬は意外と多いのも、このレースの特徴となっている。

2013年 マイネルホウオウ
     9戦3勝(3,2,1,3)
     年明け3戦
     NZT7着

2008年 ディープスカイ
     9戦2勝(2,4,1,2)
     年明け5戦
     毎日杯1着

2009年 ジョーカプチーノ
     8戦3勝(3,2,1,2)
     年明け5戦
     NZT3着

注目すべき点は…

・しっかり臨戦モードにな入っている事が望ましい。今年2戦以上を消化し、且つここ3戦以内に好走歴がある事が条件だ。

・激しい流れの中での攻防となる為、G1の出走経験や1200㍍のレースの経験はプラス。

・マイラーやスプリンターがメインのメンバー構成となる為、2000㍍の経験は、体力面でのアドバンテージとなりやすい。

 キャリアの多い馬を狙う際には、血統面にも注意したい。基本アメリカスピード色の強い血統は、鮮度を求め、バイオリズムのピークも短い。
 叩き良化型と言えば、古くから日本で大事にされて来た牝系(マイネルホウオウ型)か、ヨーロッパ色の強いタイプ(ジョーカプチーノ、ディープスカイ型)が良いだろう。

◎アレンジャー

(血統)
父リアルスティール
母父ネオユニヴァース

(オプション)
集中状態での多頭数+「G3→G1」格上げ、「差し→先行→差し」バウンド位置取りショック、生涯初G1。

 「使い込みによる調子上げ」という手法で、マイルCで2度連対を果たす経歴を持つ昆貢厩舎。
 上記で挙げたディープスカイの他に、ローレルゲレイロが年明けから3戦使い、同レースで2着に入っている。

 ローレルゲレイロは8戦1勝(1,4,2,1)での参戦。函館2歳から重賞連対を果たしその後5戦重賞を使った末のG1連対。ディープスカイは9戦目で重賞を制覇しその勢いでマイルCとダービーまで制覇させている。
 そんな昆貢厩舎が今回送り出してきたのが、アレンジャーである。
 履歴を見てみると、初勝利に5戦、4走後に初重賞で見事連対を果たしているようにディープスカイにちょっと似た経歴である。
 特徴的なのは、多頭数競馬やペース激化に対する食い付きの良さで、初勝利は「11→15頭」、前走の重賞連対も「10→16頭」の頭数アップのタイミング。前々走の連対は「1600→1200㍍」距離短縮によるものだ。集中力、闘志の高さを物語っており、おそらくは格上相手や激戦に強く、且つタフなタイプだろう。

 叩き良化型向きのマイラーとしては、極めて優秀な血統背景を持っているところも魅力。
 父はリアルスティール。その全妹は、オークスの他に香港G1を2勝、米ブリーダーズCフィリー&メアターフを制した名牝ラヴズオンリーユー。ミエスク牝系の血を引く世界的な名門どある。しかも母父がストームキャットと、さりげなく流行のスピード色を付加。
 母はコテコテのヨーロッパ色。母父でイギリス色のタフさを強調、母母でノーザンダンサー質の持続力を強調。
 父のスピードからこの路線に対する適性の裏付けは取れるし、母から叩き良化型の裏付けも取れている。使い込まれたタイミングでのマイルG1参戦というのも、理に適った挑戦であると考えたい。

 余談ではあるが、昆貢厩舎は近年でもマテンロウオリオンで連対を果たしている。これまで5回このレースに挑戦し、実は「1,2.0,2」連対率.600と得意としているのだ。
 更に11番枠は、昨年のシャンパンカラー、2020年のラウダシオン、2018年のケイアイノーテックと、ここ10年で3勝と相性の良い枠。根拠のないデータではあるが、データ派馬券師にももっと注目されて良い(笑)。

 今年既に4戦も、重賞チャレンジは前走のみ。その前走も、スローの流れの競馬で体力負荷が抑えられている。
 高い見返りに期待し、今回はこの馬を本命に推してみたい。

○ノーブルロジャー

父パレスマリス
母父モアザンレディ

(オプション)
「1600→1800→1600㍍」バウンド距離短縮、「差し→先行→差し」バウンド位置取りショック。

 疲労なく、力量もしっかりしており、正直軸として無難そうな馬で、実は一番のオススメである。前走は、少頭数のスローを先行しての2着。
 少頭数のスローでパフォーマンスを落とす事は、精神力の裏返しという事で評価出来るが、2着は良く走れており、気の良さも体力も兼ね備えたタイプなのだろう。安定したパフォーマンスを見せてくれるはず。

 マイナス面は、先行と大外一気の経験しかなく、集中力の裏付けに欠けているところ。
 この内枠をどう捌くかに注目したい。

▲ジャンタルマンタル

(血統)
父パレスマリス
母父ウィルバーン

(オプション)
「2000→1600㍍」距離短縮、多頭数内枠、「先行→差し」位置取りショック。

 皐月賞の内容があまりにも高過ぎるが故に、評価を下げた。今年の皐月賞は、前半57.1の超激ペースで流れ、当然逃げたメイショウダハルは最下位に沈み、2番手を追走したシリウスコルトは14着、4番手を追走したアレグロブリランテは15着と他の先行勢が総崩れとなる競馬。そんな中、3番手追走から早目に先頭に立つ横綱相撲で、あわや押し切るか!?、という内容での3着。勝馬以上の内容だっただけに、このレースでの体力消耗も尋常ではなかったはずだ。あれから中2週では、疲労が癒えるはずもなく、反動が心配となった。
 ある程度のマイナス体重は当然のリアクション。今回は位置取りを下げ、「距離短縮+位置取りショック」による体力補完である程度カバーする事は可能だが、プラス体重となると、逆に「疲労により馬体を緩めた」感が強くなるので注意が必要。当日の馬体重には注意したい。

△チャンネルトンネル

(血統)
父グレーターロンドン

母父ヘンリーザナヴィゲーター

(オプション)
集中状態による多頭数+「G3→G1」格上げ。

 集中力は高いが、闘志的な面がちょっと薄くリズム的にもダイナミズに欠ける。オプションや得手不得手が激走凡走に作用するというよりは、基本的にはしぶとさを前面に出して走っているイメージ。
 闘志は薄いが決して無い訳ではない。ジュニアCは距離延長ではあったものの、実質的にはペース激化ステップ。ペース激化の環境下での「差し→先行」で、いわば逆ショックによる好走。闘志なくして出来る芸当ではない。

 ただここ3戦がスローでの差し。前走先行して前向きさを刺激したアレンジャーと比較してしまうと、どうしても爆発力という面で見劣ってしまう。
 しぶとい競馬での、2〜3着狙いが妥当と考える。

馬券

単勝  11,2
ワイド 11,2,16ボックス
3連複 2−11−16
3連単フォーメーション
    11,2→11,2,16→11,2,16

他有力馬評価。

アスコリピチェーノ

 競馬が素直で完成度の高さが売りのタイプ。どこがどう強いというよりは、この馬が桜花賞まで存在感を示せていたのは、今年の3歳牝馬のレベルの低さによるものだろう。
 皐月賞はホープフルS組が全く歯が立たなかったように、レベルの高い世代というのは、新勢力が台頭してくるものだ。牡馬勢力が加わり、これまで同様のパフォーマンスを期待するのは酷。

ゴンバデカーブース

 サウジRCの内容から、マイルではちょっと追走に難がありそう。しばらくレースから遠ざかっているのも気掛かりな点。
 今回は追走力不足でコケ、次走距離延長での巻き返し(ダービー)に期待。

ボンドガール

 血統からして、高速前残り馬場なら面白いが、差し馬場では苦しい。

ディスペランツァ

 勝ったレースはいずれも後傾ラップ。流れの厳しいレースでは果たして…

 昆貢厩舎の「使い込み調子上げ手法」でNHKマイルCを連対を果たした2頭のその後はというと…

 ローレルゲレイロはダービー惨敗後、休み明けを4度叩いて東京新聞杯を制覇、5歳になり高松宮記念とスプリンターズSのスプリントG1を勝ち息の長い活躍を見せた。

 ディープスカイは、勢いをそのままにダービーも制覇。休み明け後の神戸新聞杯を制覇した後は、勝鞍こそ無いものの、天皇賞秋でウォッカ、ダイワスカーレットといった歴史的名牝を相手に互角の競馬を繰り広げ、引退レースとなった宝塚記念でもドリームジャーニー相手に3着と健闘。結局馬券圏内を外れる事なく安定した活躍を見せた。

 本来無理使いをさせて激走させると、心身が硬くなりそのまま終わるパターンが多いが、昆貢厩舎の馬は心身が柔軟で、芯が強く本当にタフだ。調教法によるものなのか?、はたまた相馬眼により芯の強い馬をスカウトしているのか?は不明だが、厩舎の傾向から、このレースに限らず、アレンジャーをしばらく追ってみたいと考えている。


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