このレースの短評を書くとすれば「低レベルの凡戦」

ただ私が一言言いたいのは、前走逃げて勝ったアストラエンブレムを最後方待機させた田辺騎手への世間の批判についてです。

率直にいって今回の田辺騎手の騎乗は「好騎乗」の部類に入ると思っています。
たしかに4着という結果は1番人気という評価から考えれば大いに物足りないし馬券を買っているファンから見れば怒りを覚えるのも仕方ないのかもしれません。
そういう私もアストラエンブレムの単勝馬券を買っていました。
ただ、その怒りの矛先を田辺騎手に向けるのはいかにも短絡的だと思えるのです。

まず、最後方待機から考えてみましょう。
同馬は前走こそ好スタートから逃げて勝ってはいますが、以前田辺騎手が騎乗した未勝利戦では上がり32秒台の脚を使って差して勝っている(2着ブレイブスマッシュに4馬身差！)ように、当初は差し馬でした。
今回再度田辺騎手が騎乗する時点で以前騎乗した時のような差す競馬を試みる可能性は大いに考えられました。
また、陣営も戦前から控える競馬を示唆していました。

さらにレースを見てみると前半4Fが46.6、後半4Fが47.3の前傾ラップで、前半無理をしなかったペース判断は正しいと言えるでしょう。
内枠の人気馬でNHKマイルCへの権利取りが最低限の目標ということを考えると、下手に内に突っ込んで前が詰まるよりも道中スムーズな競馬をいう思考には納得できるものがあります。
また、4コーナーでは馬群が凝縮したこともありかなり外を回りましたが、先頭までとの差は大きくなく十分射程に捉えらるポジションまで押し上げていました。
そして4コーナーを回る手応えから直線で弾けるかと思いながら見ていましたが。。。

実際はジワジワと差を詰めるのが精一杯で、好位から内を上手く立ち回ったダンツプリウスとエクラミレネールを捉えきれず、4コーナーでさらに外を回ったストーミーシーにキレ負け。
今回は力負けとしか考えられない敗戦に映りました。
（むしろもう少し仕掛けを遅らせていれば、もっとキレる脚を使えた可能性はありますが。。。）

戦前ファンが望んでいた競馬はダンツプリウスのような好位から内で器用に立ち回る競馬だったのかもしれません。
しかし、同馬の末脚は道中器用に立ち回って直線で一瞬のキレを活かすタイプではなく（兄同様に）直線長く良い脚を使うタイプだと思います。
中山の小回りコースを多少のロスを覚悟してリズムよく(途中でブレーキを踏ませず)走らせる田辺騎手の騎乗は個人的には同馬の脚の使い方にマッチしており想定内で、また仕掛けのタイミングが絶妙な田辺騎手の勝ちパターンでもあります。

今回の騎乗もこの勝ちパターンに当てはまっており、展開も十分向いていて、これでダメとなると馬自身に問題がある(調子、成長、右回り、急坂etc)という結論にしか行きつかないのです。

・前半ポジションを取りに行っていたら。
・4角で内を突いていれば。

後からタラレバはいくらでも言えますが、今回の田辺騎手の騎乗は上記で述べた様々な理由から非難に値しないどころかむしろ上手く乗った好騎乗と考えています。


余談

田辺騎手はNHKマイルCでのトウショウドラフタ騎乗がほぼ決まっており、ライバルを減らすためにアストラエンブレムを4着以下に沈めたといううがった見方もささやかれていますが、ここで結果を残していれば最近騎乗機会の無い同厩の兄ブライトエンブレムに再び騎乗できる可能性が増すということを考えるとそれは考えにくいと思うのですが。。。

04/09 22:23　回顧アクセス：1457