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【最終予想】
◎フェデラリストは連勝中の内容が秀逸で、持ち味はトップスピードの持続力と総合的なバランス。特に中山記念の内容は圧巻。シルポートが単騎で逃げる展開、後続が伸び悩む中で、11.3 - 11.6 - 11.8 - 12.0 - 13.2のラップで最内からするする押し上げL1で急追、ぐんぐん伸びてシルポートを捕えた。大阪杯では力の要る馬場で究極の瞬発力勝負。12.3 -11.9 - 11.2 - 12.2のラップの最速地点で良い脚を使ってトーセンジョーダンを交わしたが、L1の落ち込みでショウナンマイティに差された形。馬場を考えるとコーナーから急に加速してトップスピードに入れた分、L1の落ち込みにつながったような感じだし、この馬としてはもう少しペースが上がって平均的な脚の持続力勝負に持ち込みたいところだったと思う。休み明けでも追い切りの捌きは鋭く力強かったと思うし、出来に関して言えば不安はない。馬場も高速、力の要る馬場、共に高いパフォーマンスは見せてきている馬。相手関係は一気に強化されるが、瞬発力勝負に対応できて、トップスピード負けもせず、それでいて長く脚が使える。まだ完全な時計勝負に対しての適性は見せていないのだが、今回はそこまで早いペースにはならないとみているので。
〇オルフェーヴルは力を考えればここは負けられないほどだが、やはり状態面で気がかり。それでも今週の坂路は及第点はやれる動きだったと思うし、極端に評価が下がっている印象なので、素直に力を信じたい。この馬の良さは究極の持続力。エンジンが掛かればとにかくそこからはばてない脚が魅力。反面、トップスピードでは並の馬という域は出ていないので、前がばてない展開で直線ヨーイドンでは分が悪い。皐月、ダービーは共に道悪で前がばててくれた分、自身はばてずに伸びてきた。菊花賞ではウインバリアシオンより前で、先に仕掛けたので持ち味の持続力を活かせたが、天皇賞では逆になってしまったので動き出しにトップスピードが問われてしまい、コーナーで無理に外から加速したのでバランスを崩したような気がした。徐々にギアを入れて、同時にポジションを押し上げていける阪神内ならもう言い訳はできないし、距離からも折り合い不安がなくなり、騎手も意識せずに普通に乗れるだろう。力を考えればここは当然勝ち負けすべき馬。
△エイシンフラッシュは本質的には瞬発力を活かす競馬が合うのだが、大阪杯や天皇賞春の内容からも、時計が問われても脚を一瞬は使えるという馬。それだけに、とにかく理想は内を立ち回って勝負所で脚を温存させてすっと一瞬のキレ味を活かして抜け出すという競馬だろう。そして、それができそうな枠を引けたというのは大きい。それに、今回はネコパンチが逃げるので、そもそもスピード不足で一貫ペースになるかどうかも際どいところ。緩んでもペースが上がっても対応できるこの馬の適性は非常に魅力的。有馬記念の内容からも、やはり嵌ってもなかなか勝ちきれないところがある馬ではあるので、△扱いが妥当だとは思うが、今週の追い切りはなかなか目を引く動きだったし、今までとは少し違う印象も。個人的な思い入れは別にして、ダービー馬が以降勝ち鞍なしという状況は脱してほしい。
ヒモからはスマイルジャック。追い切りで良化が見られたことと、マイル路線ばかりだったので、もともとダービー2着馬ということを考えれば、この枠で嵌れば一波乱ぐらいはあっても驚けない。ナカヤマナイトはここ2走は瞬発力勝負で持ち味を削がれた。少し流れてくれば。
ルーラーシップは最終的に追い切りで評価を下げて無印にした。遠征明けで動きが悪い馬を軸にはできないし、良馬場でスピード問われると昨年の宝塚記念では完敗してしまっているので、前走のように先行レベルが低くていい位置を取れた内容で再現を狙うのは少し難しい気もする。
トゥザグローリーはもう少し内目の枠なら良かったんだけど、ちょっと外すぎる。今回逃げ馬はネコしかいないが、先行馬はかなり多い。結構タイトなポジション争いが行われるはずで、福永がこの枠から無理して前目を狙うとは考えにくいし、狙ったとしても序盤で脚を使わされる感はある。基本的にはトップスピード型なので、温存させて勝負どころで動きたい馬。この枠だと早めに動かざるを得ない感じがする。
ショウナンマイティは動きは良いんだけど、やっぱり時計勝負になって更に動き出しを問われるこのレベルの阪神2200mとなるとやっぱり不安が大きいかな。その割に人気しそうだし。
ウインバリアシオンは個人的に2200mは距離が短くて流れに乗れないと思う。岩田でこの枠なので、もしかするといい位置につけちゃうかもだけど、動き出しが早いタイプでもないし、こちらは持続力は一級品だけに内で立ち回ってというよりは、外から自分のタイミングで押し上げていく競馬の方が良かったかなと思う。
アーネストリーはそりゃ去年の内容なら当然力最上位なんだけど、近走は舐めすぎ。こんなこと言ったらいけないんだけど、今年2走、重賞公開調教で最初から勝負を捨てているような陣営がここ一本に絞って勝つようなシーンは見たくないので。動きもよくは感じなかったし、個人的にはこれで来たらしょうがない。大阪杯や鳴尾記念の負け方は別に力負けではないので、買えなくはないとは思う。
【追い切り評価】
(・∀・)良かった馬
◎フェデラリスト
…もう本番かと思うような時計を叩き出してきた。ラスト10.8は馬場を考えると破格で流石道悪巧者。とにかく前肢の駆動力が本当にすごくて、前に伸ばしながらしっかりと掻き込んでそれでいて回転力が早い。かなり力強いフォームで時計を叩き出してきた。大阪杯以来になるけど状態に申し分なし。
◎ショウナンマイティ
…こちらは説明不要ともいえるほど動きがしっかり。重い坂路の状態で、楽々に加速して最後は12.1。後肢のバネが目立ち、四肢全体が鋭い動きで、1週前同様に良い動き。状態面での不安はないでしょう。
◎ビートブラック
…天皇賞時に◎を打てなかったけど、個人的には今回の方が少し良いかなと思っている。仕掛けられてからはしっかり反応して、徐々に加速すると弾むようなフットワークになっているし、本当に出来が良いんだと思う。
◎エイシンフラッシュ
…今週の追い切りはこの馬のイメージとはちょっと違う意味で良かった。いつもは右手前を伸ばしてスピードに乗るような感じの迫力ある動きだったのに対し、今回は左手前で前肢を掻き込むような形にしていて、ピッチよく駆け抜けていった。それでいて全体79から37-12としっかり加速。時計的にも優秀。
◎トゥザグローリー
…外2頭に先に前に出させて加速させてからのゴーサイン。すぐにトップスピードに乗ると、前肢をしっかり伸ばして外2頭を楽に交わして先着。良い反応、この馬としての状態は良い。あとは適性面。
◎スマイルジャック
…◎6頭は多いかなと思いつつも最後に気になったので。絶好調時の迫力あるフォームまでにはあと1歩足りないとは思うけど、じわじわと上昇気流には乗っている感じ。前身を沈めてコーナーから重心の低いフォーム。最後までピッチを保ってスピード感を保った。そろそろ復活があってもおかしくない。
(´д`;)微妙な馬
△ルーラーシップ
…3頭併せだが、実質外リベルタスとの併走。リベルタスの手ごたえに合わせて仕掛けるが、反応鈍く、合図を出して右手前に換えて再度追われるが反応鈍く苦労した。道悪は苦労しないはずなのに意外に動かなかったなあという印象。ラストも落としている。遠征明けの影響はあるかも。割り引きたい。
△アーネストリー
…結局本番までにこの馬らしい弾け方をする動きは戻ってこなかったかなという印象。馬場を考えると時計的にはこんなもんだが、動きという点では物足りない。まだ完調ではないと思う。
△ネコパンチ
…時計はまずまずだが、L1落としすぎ。実際ピッチも落ちているし、まああまり強調できる内容ではないですかね。
【枠順見解】
前回は3200mで大外枠と自分の競馬が出来ずに沈没した三冠馬オルフェーヴル。今回は6枠11番と外すぎず、壁を作って進められる範囲の枠。距離短縮で不安も小さくなるし、これならば力を発揮できる枠とみてよさそうだ。この条件でなら、もう枠順を言い訳にはできなくなるだろう。力通りの競馬を陣営がしっかりと貫くことができれば。
個人的にはネコパンチの8枠16番はこのレースを語る上では非常に重要ではないかと思っている。基本的に逃げ馬が内枠に入ってしまうと1角までの直線が長い阪神内2200mという舞台では行き切れない可能性も出てくる。ネコパンチ自体そこまでテンは速くないのでこの大外枠は逃げるという点では大歓迎だろう。レースを語る上でも、しっかりとしたラップを刻んでくれそうで、この馬としてではなく、レース内容的には展開的に大きな紛れはなさそう。
エイシンフラッシュは3枠6番と絶好の枠。この馬はすっと動ける瞬発力が魅力で、昨年同様、内をしっかりロスなく立ち回って勝負どころで末脚のキレ味を活かす競馬が出来そうという点で、この枠は良いだろう。今年はドバイだけで遠征あけとなるが、この馬の能力が出せる状態なら、この枠は面白い。
逆にトゥザグローリーにはこの外枠は苦しい材料と言えるか。もちろん、前走同様にきっちりと先行策を貫くなら、行こうと思えば行ける外枠自体は良いと思うのだが、厳しいラップを刻まれて、外から先行して正攻法で勝ちきるというタイプには思えない。やはりGI級レースとなってくると、内で上手く立ち回ってという競馬が望ましかったか。この15番枠はこの馬にとってはマイナス材料となりそう。臨機応変に乗れない福永というのも。
ルーラーシップは4枠7番と申し分ない枠。前走のように前に行くにしても、これまで通り中団からの競馬になるにしても、出方を窺える枠ではある。オルフェーヴルの内で立ち回れる条件ではあり、日本では勝負所での動きだしでこれまで少し後れをとってきただけに、一つ前、一つ内で正攻法の競馬ができる条件が揃ったか。
アーネストリーの4枠8番は番手の外で競馬がしたいこの馬としては良い枠。ネコパンチが行き切るのなら、この馬が番手を確保できる条件は揃ったともいえ、内過ぎると包まれる可能性はあったが、この枠ならば自分のポジションを確保できる枠だと言える。もう哲三も言い訳は出来んぞ。しっかりアーネストリーの競馬を貫いてもらいたい。
ショウナンマイティやウインバリアシオンが1枠に入ったが、基本的には後ろから行く馬なので、大きな影響はないだろう。少なくともマイナスに転じることはないと考える。
【前編】
今年の春のGI戦線もいよいよ終焉の時。その締めくくりとなるのがグランプリレース宝塚記念。一時期はメンバーに恵まれないこともしばしばあったのだが、近年は安定して豪華メンバーに恵まれている。内回り2200mは一見中途半端な距離に見えるのだが、このコース自体は非常に素晴らしく、総合力を問われる舞台。弱点の多い馬では勝てない、嵌るだけでは勝てない、強い馬が強い競馬をしないと勝てない。そういうレースだ。今年は昨年のクラシック三冠馬の出否によって大きく変わってくる印象はあるが、脇を固める役も相当に揃った。現役最強決定戦を制する馬は果たしてどの馬か。
ファン投票第1位:オルフェーヴル(2011クラシック三冠、有馬記念勝ち馬)
昨年のクラシック三冠馬も今年は勝利が遠いオルフェーヴル。阪神大賞典は稀代の癖馬の名の通り、3コーナーで逸走してからレースに戻ってきて2着するという化け物ぶりを披露した。その後、圧倒的な人気を背負った天皇賞の舞台では、ビートブラックの果敢なロンスパにありえないほどの大惨敗を喫した。巷ではオルフェーヴルは終わったという話も出てきているが、これだけの癖馬だけに、安直に敗戦ひとつで評価を下げることだけは避けたいところだ。天皇賞に関しては、そもそも超高速馬場で、離してポジションを確保していた逃げ馬、先行馬以外は実は上がり勝負になっていたというのが正直なところだろう。菊花賞でオルフェーヴルは3コーナーからポジションを押し上げる競馬をしていたのだが、天皇賞では逆に3コーナーまでに折り合いに苦心しすぎて、仕掛け所を完全に誤ったと考える。実際菊花賞でもウインバリアシオンとの差は位置取りと仕掛けの差が大きかった。天皇賞ではそれがウインバリアシオンより後ろ、それもその外から追いかける後続の最速地点と思われる坂の下りで押し上げていけるだけのトップスピードは足りないのに、そういう競馬を選択せざるを得なかった。前走に限れば、謎の惨敗でもなんでもなく、オルフェーヴルの競馬ができなかった陣営のミスだろう。有馬記念は特殊な3F戦、11.4-11.3-11.3という流れで一見上がり勝負に対応したように見えるが、内で加速しきれなかった馬に対して外から押し上げていっただけのものだし、最速地点もGIとしては11.3-11.3とそこまででもない。この馬の武器はある程度のトップスピード、そしてそれをかなり長い間使える究極の持続力だ。とにかくばてたことはない、この事実は忘れるべからず。宝塚記念の舞台は阪神2200m。内回りで1コーナーまでの直線が長く、ペースも極端になりにくく、極端なトップスピード勝負にもなりにくい、まさに総合力が問われるコース。この馬はもともと気性的な問題で長距離に不安があったのも確か。距離短縮で地力戦になりやすい今回の条件ならば、相手が誰であれ無様な競馬は出来ない。三冠馬の復活なるか、見逃せない一戦。
ファン投票第3位:ルーラーシップ(クイーンエリザベス2世C勝ち馬)
相手筆頭には香港のクイーンエリザベス2世Cで最内から突き抜け驚くほどの圧勝を見せたルーラーシップ。先週に妹のグルヴェイグが同じ阪神で重賞制覇。この勢いに乗ってエアグルーヴの血を沸き立たせるか。クイーンエリザベス2世Cの内容はまさに独壇場。もっともウンベルト・リスポリの決断があったからこそではあるが、そこを通過すればあとは突き放すだけ。番手につけてポケットから、隙間を見つけて一瞬で反応し、そのまま突き抜ける。こんな競馬ができる馬だとは思わなかったが、実際にやってのけたのだから、認めるしかない。この馬もまた、どこまでいってもばてない究極の持続力タイプ。それでいてトップスピードの高さも相当のものがあり、個人的にはオルフェーヴル、トーセンジョーダンとためを張れる現役最強の1頭だと思っている。これまでも課題はあったのだが、少なくとも日経賞ではポジションが悪くネコパンチに敗れ、早めに動いてウインバリアシオンに敗れというなかなか残念な内容。重馬場では金鯱賞で衝撃的な追い込み勝ちを収めていて、それだけに不満も残るのだが、仕方ない。AJCCで見せた持続力は現役屈指。反面、有馬記念やダービーのように極端なトップスピード勝負では反応という点で苦しいし、宝塚記念のように平均的なスピード勝負になると、位置取りの差が悪くなって持ち味を活かせない。そういった傾向だっただけに、前走で前目のポジションを確保できたというのは大きな前進といえそう。持続力は前走を見ても明らかであり、やはり勝負所での反応の差とトップスピードの差で苦労していたわけなので、それを前半のポジショニングによって帳消しにできるようなら、オルフェーヴルを食うだけのものは十分に秘めている。先行馬に乗せればとにかく脚を出し切ってくれる名手クレイグ・ウィリアムズの手によって、この馬の全能力を解放することができれば、仁川の舞台で香港同様圧勝を再現してきてもまったく驚けない。
ファン投票第4位:エイシンフラッシュ(2010年日本ダービー勝ち馬)
ダービー馬も長く暗いトンネルを進んでいる。今年は果敢にドバイワールドCに参戦。日本馬では最先着の6着という結果だったが、内容的には完敗だった。メイダンのオールウェザー・タペタとの相性の問題もあるし、この敗戦自体は評価を下げるものではない。昨年の有馬記念ではこの馬にはおあつらえ向きともいえる3Fの瞬発力勝負。トップスピードの高さは現役でも屈指の馬。内からうまく捌くと、最後はオルフェーヴルの内から鋭く伸びて2着を確保してきた。この馬の良さは、平均ペースでも、スローペースでも動きだしには鋭く反応して、一瞬だけ素晴らしい脚を使えるという所にある。ダービー馬だからこそ、高いハードルを求められるわけだが、昨年は王道路線を皆勤。天皇賞春2着、宝塚3着、有馬2着は立派にその役割を果たしているともいえる。あと一歩が届かないのは、やはり一瞬しか脚を使えないところにある。天皇賞では楽にハイペースを追走するスピードもあるし、抜け出して一瞬は勝ちを意識させるほどのもの。ダービーでは外から押し上げて楽に加速してきたローズキングダムを内でじっとして一瞬のうちに最速に点火してギュンと突き抜ける脚。この馬の最大の武器であるトップスピードをどう活かしてくるか。阪神内2200mはそういった一瞬のキレタイプの馬が苦労するタフな持続戦になりやすい舞台。この馬にとってはこれは一つ武器を失うことになるかもしれない。それでも、昨年はそのような舞台で善戦できているように、平均ペースを追走して脚をなくすタイプというわけでもなく、基礎的なスピードも持っている。あくまでトップスピードを一瞬しか使えないというだけで、平均的な競馬は大阪杯でも昨年の天皇賞春でも、皐月賞でも見せたように決して見劣るものではない。だからこそ、安定はするが勝ち切れないと言ったところなのだろうが。宝塚記念にはダービーを制したときの相棒、内田博幸とのコンビが復活。これでこの馬の良さを引き出すことができれば。ダービー馬に善戦マンは似合わない。
ファン投票第5位:ウインバリアシオン
オルフェーヴルの良きライバルとして戦ってきたウインバリアシオン。天皇賞でそのオルフェーヴルが後方で伸びあぐねたのに対し、こちらは外から鋭く最後まで伸びてきた。この馬の良さはトップスピードの持続力。どこまで行ってもばてない脚はまさに一級のそれ。逆に言えば、これまではどうしてもポジションが後ろになりすぎて、エンジンを点火するのも遅かったというような印象だ。京都記念の2200mではそもそも追走に苦労していた印象で、謎の大惨敗扱いをされているのだが、単に追走力がなさすぎただけのように感じる。この馬はこれまでの競馬の内容からも、確実に典型的なステイヤーだと思われるし、個人的には序盤に脚を使ってポジションを確保しに行くよりは、とにかく仕掛けをワンテンポ早くすることが一番だと思っている。菊花賞の敗因は、オルフェーヴルが仕掛けてから仕掛けたことに尽きる。内をロスなく運びたかったのもあるだろうが、結果的にそこで後手後手になってしまった分、直線で既に大勢決してしまっていた。天皇賞で前のポジションで、先に仕掛ければ、勝負どころで置かれることもなかったし、結果として最後までばてない脚を繰り出すことができた。すっと反応できる方ではないだけに、とにかく勝負どころまでに早めに加速をつけて、動き出していきたいところ。今回は鞍上が岩田に替わるので、どういった競馬をしてくれるか…だが、個人的にはこういったタイプは脚を出し切るのが重要だと思うので、内に拘りがちな競馬になる岩田だと不安材料も顔をのぞかせると思う。昨年のような平均ペースになればそれでもいいだろうが、緩んでのロンスパ戦になった時にワンテンポ仕掛けが遅れて差せる馬というわけでもないと思うので。もちろん、それ以外にも総合力が問われるコース…すなわち序盤のスピードも重要なコースでもあり、その点でもこの馬としては苦しい条件と言えるだろう。しかし、それをはねのけるだけの力はあるはずだ。そろそろGIタイトルを取って、ライバルに肩を並べたい。
ファン投票第6位:トゥザグローリー
前走の鳴尾記念では勝つには勝ったが、1番人気をショウナンマイティに譲り、実際かなり肉薄されてしまった。番手につけて勝負どころですっと加速して、反応良く一気に直線で抜け出すこの馬の良さは見られたし、相手も想像以上に強かったのもある。トップスピードだけで測れば、やはり最速地点のL2で楽に反応できていたし、この点に関してはショウナンマイティよりも上の内容だった。あの位置取りからあの抜け出す脚を使えるというのはこの馬の大きな魅力であると言える。反面課題もある。GIの舞台では苦戦していて、割と緩いペースだった有馬記念は2年連続3着と善戦できているが、ロンスパ戦のJC、平均ペースとなった昨年の宝塚記念、天皇賞ではなすすべなく終わった。やはり序盤に脚を要求されてしまうと、この馬の良さである反応の良さやトップスピードと言ったものが相殺されて、並の馬にまでパフォーマンスが落ちてしまっている印象。今年もロンスパ戦になった中や紙念ではありえないほどの大惨敗。もちろん内有利馬場で大外ぶん回し競馬を考えれば、ある程度は理解できるにしても、負けすぎであることは確かだ。この馬にとっては本来後方の馬もエンジンが掛かって脚を出し切れるロンスパ戦は不向きで、前走のように要所ですっと反応する脚を要求される競馬が好ましい。その点で、やはりこの宝塚記念という舞台で、どういった競馬をしてくるかだろう。ある程度序盤はゆったり運びたいだろうし、前走の再現を期待するのは少々酷かもしれない。勝負所まで内で脚を溜めて、その時が来ればすっと動かして一瞬で抜け出す。そういったこの馬の良さを引き出す競馬ができれば面白い。鞍上福永祐一は古馬王道GIを手にするチャンス。人馬ともそろそろ大きなタイトルが欲しい。
ファン投票第7位:アーネストリー
昨年の宝塚記念の覇者。今年はディフェンディングチャンピオンとしてこのレースを迎えるが、かつての覇気は微塵も感じられない、消化不良なレースを続けている。鳴尾記念では最後方に近い位置で直線少しだけ差してくるだけ。大阪杯でも積極性を欠く中団の競馬で当然伸びず。有馬記念ではハナを切ったものの、ロングスパートを打つでもなく、3F勝負に自ら持ち込んでトップスピード負け。正直言って、馬の状態そのものもだが、陣営の選択している戦法には疑問を抱かざるを得ない。確かに逃げたくない馬で、勝ちパターンは番手から逃げ馬を捕えて突き放す競馬。以前はドリームサンデーという相棒ともいえる逃げ馬をマークして直線で抜け出すのが決まり手のような感じだったのだが、ラップを刻んでくれる馬がいないからと言って、抑えて中団からになっている現状はなかなか悲しいものがある。それでも昨年の宝塚記念は平均ペースを番手追走、直線で楽に抜け出して、ブエナビスタやエイシンフラッシュ以下を楽々と退けたのは流石。この高いパフォーマンスが今のこの馬の評価を難しくさせてしまうのだろう。同時に、これほどまでに落ちぶれてしまったのは残念。それでも、ここに入れば総合力を問われやすいコースに変わるわけで、有馬記念を含めてここ数走はかなり極端なケースになっていた。最近はやや調教で迫力を欠く印象は否めないのだが、復活してくれば怖い。
【後編】
後編はファン投票10位以内に入れなかった馬たちを。ファン投票は下位でも、上位に入り込む、或いは主役の座を奪ってしまうかもと思わせるだけのパフォーマンスを見せてきた馬もチラホラ。派手さはないが、このレースを盛り上げる脇役たちにもしっかりと目を配っておきたいところだ。
フェデラリストは今年の上半期を総括するうえでは非常に重要な馬。GIこそ出ていないものの、今年の春を盛り上げたMVPと言っても過言ではないだろう。その内容は強烈。連勝の勢いで挑んだ中山金杯では5Fのロンスパ戦、11.7 - 11.8 - 11.7 - 11.4 - 11.5の流れで外からダイワファルコンと一緒になって上がってきて、最後はダイワをしっかり突き放す競馬。3着のコスモファントム以下を完封する内容、2Fの速さと言い、なかなかのパフォーマンスを見せた。更に驚くべきは中山記念の圧勝ぶり。シルポートが単騎で逃げる展開で、4コーナーのリードで誰もがシルポートの勝ちを確信しただろう。だが、内からするすると押し上げていくと、直線でその末脚が爆発した。最後は粘るシルポートを捕える完勝。シルポートが刻んだラップとはいえ、11.3 - 11.6 - 11.8 - 12.0 - 13.2という5Fで最速11.3を刻む消耗戦。ここで脚を使わされて、直線もなお伸びてきた馬はこの馬しかいない。その点でも、かなりの本格派の1頭だと思っている。そして、大阪杯では空前のドスロー。ここで番手で競馬をして、12.3 - 11.9 - 11.2 - 12.2の4F。勝負所の最速地点L2ですっと動いて4角で先頭に立つほどの手応え。最後は手応えほど伸びなかったが、この馬としてはトップスピードの持続力はあまりみせられなかった反面、意外にもトップスピードもなかなかのものがあることを示せた。これはどういう展開になっても戦えるという意味で取れそうだ。ただ、破った相手はスローでは弱い総合力勝負でこそ真価を発揮するトーセンジョーダン、劣化していたローズキングダム辺りなので、何とも言えない。やはりロングスパート戦向きだろう。その点では、しっかりとしたレースになりやすい宝塚記念の舞台はこの上なく合いそうに感じる。ベストは中山記念のように渋ってこの馬のタフさが活きてくる条件だろうが、展開や馬場を選ばない馬で、上位陣と互角に渡り合える1頭だろう。油断は禁物だ。
天皇賞馬ビートブラックだが、フロック視されているのか、やはりファン投票では16位とやや奮わない結果となった。菊花賞での3着という実績もあった馬で、決して単純なフロックというわけではない。これを結果で見返してやりたいところだが、2200mでスピード面での問題は出てくるかもしれない。特に今回は逃げ馬こそいないものの、いい位置を確保したい馬はかなり多い。この辺りのポジショニング争いで戦っていけるかどうかだろう。ただ、昨年の宝塚記念は武豊騎乗で中団やや後方から伸びあぐねる競馬だったし、現状先行策に活路を見出したこの馬とすれば、今回は違うところを見せたいというのが本音だと思われる。この馬の適性としては比較的高速馬場を得意としていて、天皇賞勝ちを筆頭に、京都大賞典、菊花賞の善戦も高速馬場でのもの。それだけに阪神内回りの2200m、そしてそこまで高速馬場ではない状況を考えると条件面ではマイナスの部分が多いか。持続力は天皇賞で見せたように一級品のものがあるので、それをどの位置で繰り出してくるか。日経新春杯の内容も中弛みで4F勝負、リードを作れなかったことを考えればトゥザグローリーの0.4差は決して悪くない。京都大賞典2着で、意外とトップスピードでも大きく見劣る馬というわけではない。2200mでも問題ないと思うが、阪神内回りと馬場がどうかだろう。
愛らしい名前をもつネコパンチだが、今年の宝塚記念に限って言うならば、展開面で極めて重要な立場にいる。積極的に逃げそうな馬はこの馬しかいない状況で、単騎逃げが濃厚だからだ。この馬が逃げ、番手の位置をだれがとるかで変わってくるのだが、まず切れる脚は皆無。それどころか、良馬場だとそもそもハナに立てるかどうかも怪しいテンの遅さ。日経賞でもかなり押していたし、出は五分。この舞台になって良馬場となると序盤のスピード負けでもしかするとハナを切れない可能性まで考えておいた方が良いかもしれない。阪神内2200mは1角までの距離は長く、外枠ならばなんとか強引にでも行けそうだが。日経賞はラップ的には完全に嵌った内容で、1000通過ぐらいから13秒ペースに落とし、そこから12.9 - 12.9 - 12.5 - 12.3 - 13.0と加速できている流れをあのリードの上でやっていた。良馬場で平均的な競馬になると流石に再現を望むのは酷だろう。ただ、この馬がハナを切れないとなると、かなりカオスな展開となるため、アーネストリーやトゥザグローリー、ルーラーシップと言ったある程度の位置で進めたい馬からすれば、かなり難しい戦いになるかもしれない。ネコパンチには何とかTV馬の役に徹してもらいたい。どのみち4角までにリードがなければ勝ち負けはない馬なのだから。
ショウナンマイティが急上昇のパフォーマンスを見せている。大阪杯、鳴尾記念共に阪神内2000mという舞台で、スローの流れの中から直線あり得ないほどの豪脚を披露している。その脚は、まさに鬼脚というような表現が最もあてはまる、凄まじい破壊力を示した。ただし、大阪杯ではスローで追走が楽になっていたし、その課題を持って挑んだ鳴尾記念でもあり得ないほどスローペースになってしまった。スローに弱いトーセンやフェデラリストは大阪杯で楽に差せたが、同じスローペース適性を持つトゥザグローリーには出し抜かれて届かなかった。序盤の追走力という不安を残したまま本番を迎えることになってしまったのは気がかり。菊花賞では割と平均的な競馬になってしまい、オルフェーヴルやウインバリアシオンには完敗の内容。それでも、あのころとは馬自体が変わってきているし、距離も違う。今の出来の良さをもってすれば、オルフェーヴルやウインバリアシオンを制し、ひいてはこのレースを制することも十分に可能だろう。すべてはペースが上がった時に追走して、脚をしっかり引き出せることができるかどうかに尽きる。1週前追い切りでも抜群の動き、状態面には不安はないはずだ。
前走で謎の大惨敗を喫したトレイルブレイザーの巻き返しはあるのか。目黒記念では内伸び馬場でトップハンデだったことは考慮に入れても、あまりにも伸びを欠いた。ただ、ラップを考えると12.6 - 11.8 - 11.1 - 11.6 - 12.1と4Fから加速していく流れの中、加速力を問われる展開となっており、この馬の持ち味であるエンジンが掛かってからの持続力というものが内の瞬発力型の馬にかき消されてしまった印象。ジャパンカップ4着時のラップもこれに近い展開ではあったが、ウインが押し上げていった流れで、わかりやすく加速の準備ができたというのと、内を通れたのも大きかった。この馬はトップスピードはかなり足りない持続戦馬なので、前走に敗因を求めるとしたらそこに尽きるか。京都記念で見せたように、この馬は他馬に先んじて仕掛ける必要がある馬で、スピードに乗ってからそれを維持することに長けた馬。アルゼンチン共和国杯でオーケンブルースリを退けた時も超ロンスパ戦。そういった戦いになりやすい阪神2200mなら巻き返せる要素は多分に残っている。ただし、鞍上が不安。それでも武豊なら、と何度も何度も期待をするものの、以前の武らしい騎乗は影をひそめてしまっている。この馬なら十分波乱の主役に立てる素質はある。ダークシャドウを完封した京都記念の競馬ができれば。
ヴィクトリアマイルで悲願のGI制覇を達成したホエールキャプチャも登録。昨年のエリザベス女王杯では厳しいペースを先行して4着と頑張ってはいるが、アヴェンチュラには完敗、更にその上をいくスノーフェアリーには地力の差で負けた感じ。持ち味は勝負所での動き出しの良さ。ローズSを見てもクイーンCを見ても、勝ったVMを見ても、終始余裕のある手ごたえ、いい位置から一瞬だけスパッと切れる脚を使うが、それは長続きしない。秋華賞でアヴェンチュラに完敗を喫したときも、内有利馬場もあるが、平均ペースでこの馬の持ち味である緩いラップからの動き出しの速さといったアドバンテージが相殺されたからと考える方が良いだろう。今回は総合力が問われる阪神2200mの舞台。まして混合GIと、かなり苦しい立場になるのは明らかだ。この馬として、現役トップクラスと戦える武器は瞬時の反応の良さ。これは牝馬戦線の中ではかなり目立っている武器。上手く緩んで、ロスなく内目の好位を立ち回って来れば、有力馬の足下を掬ってという場面は見られるかもしれない。同タイプでかつ総合力も高いエイシンフラッシュは強敵、まずはこれよりも前で競馬をしたいところだ。
ここ数走の善戦マンぶりも、ナカヤマの冠名に一抹の不気味さを感じさせるナカヤマナイト。ステイゴールド産駒、ナカヤマといえば、ブエナビスタ、ドリームジャーニーを破ったナカヤマフェスタを思い出す。今回もそのドリームジャーニーの全弟オルフェーヴルが出てくる。ステゴ×マックのニックスに対してのアンチテーゼとなりうるか。ただ、AJCCでは持続戦でルーラーシップに完敗していて、大阪杯や鳴尾記念がスローで度外視できると言っても、基本的にはなかなか嵌らないと頭まではという印象はある。この馬自身はディセンバーSで見せたように、後半の持続戦で最後までばてることなく突き抜ける競馬を得意としていて、AJCCはロンスパ戦だったが、ルーラーシップは脚は使い切っていないようなラップ推移だった。もちろんそれこそルーラーシップの強さなのだが、もっとタフな競馬になってくるようなら面白いかも。AJCCも括りとしてはスローペースだったので。上位とはやや差はあるが、この舞台はステイゴールド産駒を無視できない得意コース。不気味さはある。
http://blog.livedoor.jp/catassan/ 06/24 09:19
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