日本ダービー2017で狙うべき馬は?~皐月賞上位馬5頭をラップタイムから徹底分析回顧~

2017 皐月賞(GI) 中山芝内2000m良
レース回顧・結果

1:57.8R 12.1 - 10.8 - 12.2 - 11.7 - 12.2 - 12.4 - 11.9 - 11.4 - 11.4 - 11.7
59.0-58.8 M 

 全体像を見ていくと、まず少し緩みがあった。昨年ほど極端なラップの変動ではないが、向こう正面地点で12.2-12.4と緩んでいる。2角過ぎの下りで緩んでいるので各馬が勢いがついている中で前がコントロールしてきたのでここで馬群が凝縮した。ここでブレーキしてしまうとちょっとしんどいし、逆にここでフラットに勢いをつけて取り付けた馬というのは流れにも噛み合ったといえるかなと。そのうえでL3で11.4と実質最速、L2でも落とさず11.4で入ってラストは11.7。L3は丸々4角地点になるのでここでインを立ち回った方が良かったのは良かったが、絶対的に見ても超高速馬場で11.4なので恐らく有酸素運動の範囲内のレベルだと思う。トップスピード戦には微妙になり切っていないかもしれないと。超高速馬場で基礎スピードを求められ、そこからの4角での立ち回り、中間的な脚をそこからしっかりと引き出せたかどうかが問われた。厳しい流れのマイル~1800で結果を出してきた馬が上位、後ろから最内を通していてばてた馬を交わしたレイデオロが5着、外から動こうとしたクラシックトライアル路線を歩んだ馬がほぼ全滅している。この辺りからも軽い馬場での基礎スピード面というこれまでに問われなかった部分を問われてきたのが波乱の要因にはなってくるんだと思う。


1着アルアイン


 11番枠から何とか五分に出てそこから積極的に先行策、ファンディーナにプレッシャーをかけながら上手く2列目に入って折り合わせつつ進めていく。向こう正面の下りが終わってからはペースが落ち着いていく中で2列目真ん中で我慢、3~4角では少し下げる形で3列目、ファンディーナの内から立ち回りながら直線。序盤でその内からジリッと伸びてくるがここでは内からペルシアンナイトが手強い。それでもラストまでしぶとく踏ん張って最後はクビ差、前に出ての勝利だった。う~む...まあ、ある程度納得と言えば納得ではある。終わってみてそう感じるってことはもうちょっと頑張るべきだったんだろうな...2着ペルシアンは来ているし。まあ正直ダンビュライトは全く買えなかったけど、このパターンでのアルアインの好走は終わってみれば意外ではない。だから予想が下手だったな、に尽きる。前走の毎日杯で感じたのは確かになかなかの好時計だけど、それ以上に感じたのは高速馬場でこの馬自身は離れた番手で無理をせずに入って淀みで取り付いたという競馬だった。実際3Fバランスで見ても35.8-34.3とこれでもスローバランス。この馬としては距離延長でこれまでのマイル戦と比較して結構ゆったり前半入ったことで良さが出たというのはあるし、この感じなら距離延長そのものは問題ないだろうと。なので、それでも狙えなかったということは単に力関係の把握を間違っていたとみるべきで、クラシック戦線、とりわけスプリングS組を少々過大評価しすぎた感はある。ファンディーナに関しては仕方ないにせよ、スプリングS組が想像以上にダメだったわけだし、アーリントンCのペルシアンナイトを評価しているならこの馬も時計的に、かつ距離延長での結果を考えると少なくとも印は回さないといけなかった。まあこれまでマイルでも通用する基礎スピード面をゆったり進めて良さが出た毎日杯、2000なら基礎スピードも活きるし前走見せたスパッとは切れないが長くトップスピードに近いラップを維持してきたというのは噛み合ってきてもというところだったね。なんにしても人馬ともに2000で基礎スピードを活かして積極的な競馬で結果を出せた。基礎スピードタイプは前半いかにうまく乗るか、後半いかにロスを小さくするか。この辺を上手く噛み合わせてくれたかなと思います。松山弘平おめでとう!


2着ペルシアンナイト


 7番枠からやや出負けは仕方ない、そこから無理はせずにひとまず中団馬群の中で入っていく。ただこの辺りは流石ミルコ。内のスペースを突いていって一気に3列目まで押し上げるが3角の手前でファンディーナが内に入ってきたので一旦ブレーキ。3~4角で前にいたファンディーナが我慢していたところで外に出してくれたのでそのスペースを上手く取って加速しながら2列目で直線。序盤で勢いに乗って前を捌いて一気に抜け出しを図るがアルアインが手ごわい。最後は競り負けて2着までも強い競馬だった。流石ミルコというか、調子が良い時は動くタイミングを感覚で分かっているんだろうなという感じ。パトロール見てもかなり狭い最内を取っていて、やはり勝負所までには良いところにいる。ファンディーナが動いた段階でレースが動くというのも嗅覚としてわかっている、そういう進路どりで一気に仕掛けていって最速地点でばてたアダムを交わした分のロスはあったが、他との比較で見ればロスは最小限。その分が直線での伸び、そして3列目からファンディーナのスペースを使って勢いをつけてきた分だけ直線狭いところもすぐに割れた、という感じ。またファンディーナが外に出てくれたことでダンビュライトも外を回すことになったし前目、内に対してのプレッシャーがなくなったことで内のスペースがかなり楽になった。ファンディーナの動きによって最も大きな恩恵を受けた一頭にはなると思う。ただ、それももちろん馬の実力、このペースで中弛みとは言え息を入れずに押し上げていって引き出せる基礎スピード面があってのもの。それはカデナと比較しても確かだろうし、ミルコがしっかりとそういう位置にリカバーしたこと。つまり人馬が能力を最大限に引き出す準備があったからこそ、ファンディーナのスペースを取る権利を得たと。マイラーが上位に来ているように軽い馬場での基礎スピード面が問われていたとみていいと思う。もちろんクラシック戦線のレベルが低かった感は否めず、レベル的に毎日杯やアーリントンCの方が高いパフォーマンスだったのも確かだろうしね。この皐月賞の結果はある程度素直に受け止めたい。


3着ダンビュライト


 10番枠からまずまずのスタート、そこからじわっと先行争いに加わっていくが流石に外の各馬ほどの二の足は見せられず好位の一角で進めていく。道中も好位外目で我慢しながらの競馬だが、下り終えた向こう正面途中で緩んだのを察知したか武豊も3角手前から進出。3~4角では外目を回す競馬になるがファンディーナを内に閉じ込めながら押し上げていく強気の競馬、4角ではファンディーナに出られたので一つ外を回して直線。序盤で瞬間的には見劣るが徐々に伸びてファンディーナは交わす。L1でそのまま最後までジリジリと脚を使って前2頭との差もジリッとは詰めるが流石に3着までだった。勝つチャンスまであったかもしれんねこれ。武豊もナイス騎乗というか流石というか執念が凄かったけど、ファンディーナを内に閉じ込めさせていれば2列目外で前2頭に対してもっと内に絞るような乗り方ができたから内のスペースが恐らくなくなっていたと思う。ファンディーナが外に出てきてしまったのでそのスペースをペルシアン辺りは使えたし、そこで勢いをつけたことと前2頭に対してプレッシャーをかける存在がなくなったので上手く捌けた。ダンビュライト武豊ならしっかりと前2頭の外から同じようにプレッシャーをかけてきたと思うので、もし仮にファンディーナが外に出していなければこの馬が勝っていた可能性まで十分にあったと思う。かなり強い競馬をしている3着で、皐月賞で着順とパフォーマンスのバランス的に見ても一番強い競馬をしていると思う。ただ正直これは戦前に見極めろというのは自分の頭では無理な話。この馬がここまでやれてしまった段階で予想的にはお手上げだったわけだけど、ただ超高速馬場でしっかりと好位、後半正攻法の形で中間的な足を長く維持してきたと考えると前後半のバランスで見てもかなり強い競馬。弥生賞は器用な競馬を強いられたのが良くなかったと考えれば、距離延長で前半の基礎スピード面とポテンシャル面に近いところを引き出してきたとみていいと思う。ダービーでも楽しみが出てきたし、序列もこれは上げるべきでしょう。ただトップスピード面は足りない馬なので、ダービーでも積極的に攻める競馬でペースを引き上げさせる必要は出てくると思う。サプライズだけどフロック要素は何一つないからね。惜しかったと思う。こういう出し切る競馬が良いのであればやっぱり豊かとは手が合ったんだろうね。


4着クリンチャー


 16番枠からまずまずのスタート、押して押して先行策だが流石にアダムバローズやトラストほど速くはなく好位の外からそれでも2列目まで上げて行く。向こう正面で少し緩んだ段階で2列目の外で我慢しつつ3角から進出しだす。3~4角では外から先頭列に並びかけて楽な手ごたえ。4角でアクション、追い出されてしぶとく先頭に立って直線。序盤でそこから伸び切れずにジリジリと伸びあぐねる。L1でも甘くはなって4着も圏内とは少し離された。これがまた、ダービーで怖いなと思わせるには十分な4着だったなと思う。正直前走のすみれSそのものは高く評価していたんだけど、皐月賞で59秒前後の流れでどうかってのは難しいと思っていた。ただこれを2列目で進めながら3~4角で動けたのは立派だった。高速馬場で質的には苦しんだけど、59についていってそこからしっかり加速ができた。ダービーでこの流れならもっと縦長になるしもうちょっと息も入る。ゆったり進めつつ後続に対してリードを取って直線に入ってくれば怖さは出てくるなと。それとディープスカイ産駒というだけで高速馬場は難しいという先入観があったんだけど、それもいい意味で裏切ってくれたかなと。これならダービーでもというのはその辺もある。


5着レイデオロ


 5番枠から出負けして後方からのスタートで、無理をせず後方2番手から入っていく。向こう正面で少し緩んで団子状態という中で最後方近い位置、内内でカデナが押し上げたスペースをそのまま押し上げていく。3~4角でもそのまま最内を無理せず進めて最短距離を通して直線。序盤で前にがっぽりスペースが空くこれ以上ない完璧な流れだがスパッとは切れない。L1までジリジリと前のスペースを押し上げてきて5着になだれ込んだ。まあ、この上位5頭の中では一番内容のない5着。ダンビュライトなんかは外から勝ちに行く強い競馬になっているし、ペルシアンナイトも早い段階で動いている。この馬の位置だと後方で進めているし、まあカデナよりは基礎スピード面で高いレベルにあったとは思うが、それでも詰めるところで鋭さを全く引き出せなかったし、最短距離でコーナーワークで押し上げてきて、しかも終始スペースがある状況と強烈に恵まれた。少なくとも2000mで完璧な競馬をしても1:58.2しか出なかったとみるべきで、2000mは距離的にむずかしかったと思うね。まあ休み明けではあったし、メイチは恐らくダービー、という点ではもちろん次へつながる競馬だから不気味さが無いわけではないけど、後半勝負に特化して鋭さを引き出せなかったから府中向きかは何とも。


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