地方競馬の黄金時代―廃競馬場に消えた伝説の名馬たち(KUROSHIMA氏寄稿)

 はじめまして。私を知っている方には、こんにちは。KUROSHIMAです。

 

 先月行われた競馬ナンデのオフ会に参加したことがきっかけで、この書籍に触れる機会を頂きました。自身、地方競馬にも以前からそれなりに興味はあって、私の住んでる関東以外では、福山、名古屋、旭川、帯広に実際足を運んだこともあります。ただ、事情に詳しいかと言われるとそれもまた微妙ではあります。

 

 読み終えての感想ですが、地方競馬の概要を把握するには読み物として非常に読みやすく、廃止された競馬場巡り、歴史に華を添えた名馬達、人々の記録に残る名勝負、現存する競馬場のガイドと、取り上げたジャンルも多岐に渡り、一競馬ファンとして楽しく読ませて頂きました。学問的に例えるなら総論または概論というのが相応しい感じですか、全国で繰り広げられる地方競馬を様々な角度から幅広く知ることのできる一冊です。

 

 反対に細かいポイント(例えば、ばんえい競馬の構造とか各地の代表騎手であるとか)に対してはそれほど突っ込んだ内容はなくて、地方競馬に相当詳しい方が各論的な話を期待して読んだ場合にはもしかして多少物足りなさを感じるかもしれません。それでも、JRAはある程度分かるが、地方はよく知らないしどうも......という競馬ファンには、地方競馬の手ほどきとして特にオススメできます。

 

 もう少し掘り下げた感想では、個人的に記憶に残ったのは名馬の章で取り上げているコトノアサブキ。私はこの馬を単純に知らなかったのですが、当時のダート1800の日本レコードを馬なりで叩き出したそうで、それも走破タイムは1.49.7とこれは現代でも遜色のない数字。30年以上昔の話とは信じられません。その名馬の章では、アブクマポーロやメイセイオペラといった、私もリアルタイムで知っている馬達も取り上げられてました。彼らの競走生活も改めてこの本で懐かしく思い出しましたが、当時は私がまだ競馬をそれほど知らなかった時分、振り返ると何気に良き時代でした。

 

 また、地方競馬は砂の深いダートが舞台になる故に、脚元に慢性的な問題を抱えた馬達の活躍やエピソードも結構出てきます。この辺もまた実に印象的でして、地方競馬という環境があったからこそ活躍または復活できたケースも、本の中で取り上げている以上に現実もっと多いのではないでしょうか。

 

 残念なことに今の地方競馬を取り巻く状況は、黄金時代からはかなり程遠いものになってきていることを否定できません。私も足利の閉幕当日や開催ラストイヤーの旭川に立ち会って、そんな実感を確かに抱きました。しかし、そういう黄金時代とは真逆の空気に触れてもなお、これまで続いてきた地方競馬を一つの競馬文化として、競馬場が廃止されてもその歴史というか足跡をこの先何らかの形で残してほしいと思う気持ちに変わりはありません。現在開催を続けている競馬場については、存続への希望はなおさらです。

 

 最後に余談ですが、在りし日の上山競馬場が某刑事ドラマ「西部警察」が撮影で使われていたのをこの本で初めて知りました。競馬場を舞台に銃撃や爆破を敢行したかどうかは分かりませんが、あのドラマ、私の贔屓なもので。


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